決勝レースが始まると、チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックDPi-V.Rが倒すべきクルマであることが分かった。
僕らは腰を据えてレースをし、最後まで勝負できるトラック・ポジションで、クリーンに最後までレースを戦う、という自分たちのプランを貫こうとしていた。
通常、レースの激しさはオープニングラップ後には少し緩むから、ドライバーとチームはそこで少々落ち着くことができる。
だが今回のレースは非常に高い緊張感のまま、ハイペースで進んでいったので、もしトラブルがなくともクリーンかつシンプルにレースを続けているだけだと、トップ争いから脱落してしまいそうだった。
ピットスタンドから最初の3スティントを見ていると、それはレース最初の2時間のはずなのに、まるで最後の2時間のように見えた。誰もが前に出るためにすべてを振り絞っていたから、今日のレースではトラック・ポジションがとても重要だと分かった。
まだ12時間もレースが残っているというのに、トラック・ポジションを重視して決断を下す24時間レースなんて、これまで体験したことがなかった。
トップに立つことの必要性は、すべてのスティントを非常に意味のあるものとしたから、何時間か経つころには、絶え間ないストレスによって何かが起きてしまう可能性があった。
もしトップ5から脱落してしまえば、ライバル勢は非常に強力であるし、ひとつのポジションを取り返すことすらも難しいのではないか、という心配があった。