決勝レースが始まると、チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックDPi-V.Rが倒すべきクルマであることが分かった。

 僕らは腰を据えてレースをし、最後まで勝負できるトラック・ポジションで、クリーンに最後までレースを戦う、という自分たちのプランを貫こうとしていた。

 通常、レースの激しさはオープニングラップ後には少し緩むから、ドライバーとチームはそこで少々落ち着くことができる。

 だが今回のレースは非常に高い緊張感のまま、ハイペースで進んでいったので、もしトラブルがなくともクリーンかつシンプルにレースを続けているだけだと、トップ争いから脱落してしまいそうだった。

 ピットスタンドから最初の3スティントを見ていると、それはレース最初の2時間のはずなのに、まるで最後の2時間のように見えた。誰もが前に出るためにすべてを振り絞っていたから、今日のレースではトラック・ポジションがとても重要だと分かった。

 まだ12時間もレースが残っているというのに、トラック・ポジションを重視して決断を下す24時間レースなんて、これまで体験したことがなかった。

 トップに立つことの必要性は、すべてのスティントを非常に意味のあるものとしたから、何時間か経つころには、絶え間ないストレスによって何かが起きてしまう可能性があった。

 もしトップ5から脱落してしまえば、ライバル勢は非常に強力であるし、ひとつのポジションを取り返すことすらも難しいのではないか、という心配があった。

1月の北半球の夜は長い。その夜の間じゅうも、ミスのできないプレッシャーと戦っていた
1月の北半球の夜は長い。その夜の間じゅうも、ミスのできないプレッシャーと戦っていた

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