ガナッシの01号車は最強のクルマだった。ペナルティとパンクを乗り越え、上位勢にプレッシャーをかけ続けていた。
だが、フィリペは躊躇することも、ミスをすることもなかった。
ピットスタンドから見守っていると、時間はじりじりと過ぎていった。残り8分というところで01号車はパンクに見舞われ、最後の数分になって僕らのプレッシャーは取り除かれた。
フィニッシュラインを超えたときは、驚くべき安堵に襲われた。まずは、キャデラックからのプレッシャーを克服したこと。そのあと、僕らはWTRとアキュラARX05で初めてのロレックス24を制したという素晴らしさを感じた。そして当初の計画を成し遂げ、彼らの信じられないほどの努力が報われたと感じた。
自分の父がこのような素晴らしい人々によるチームを作り上げるために、彼の人生において取り組んできたことを、誇りに思っている。
最後になるが、フィリペと、そしてトリオとしてはレースに勝利できなかった『7号車(※昨年までドライブしていたペンスキーでのカーナンバー)のチームメイト』であるアレックスとエリオとともに、ついに勝利を味わうことができた。僕らの誰もが、これを決して忘れることはないだろう。
レース全体にわたって、全員が信じられないほどの仕事をした。
これまでで最強の戦場ではあったが、僕らには弱い鎖はひとつもなかった。誰がどんな状況におかれても、やるべき仕事ができた。それは素晴らしいチームであり、僕がそこに参加できたことを誇りに思う。