一方、その88号車を追いかけるグループではペナルティによって順位が入れ替わっていた。スタートから1時間後、アンドレア・カルダレッリがドライブする63号車ランボルギーニが3番手を走行中、488号車フェラーリ488 GT3 Evo(リナルディ・レーシング)に追突。相手をスピンさせてしまいドライブスルーペナルティを受けることに。これで7番手に後退した。
また、2番手を走る22号車ポルシェにはピットストップ時の違反によってドライブスルーペナルティが科せられ、こちらはトップ10圏外へと下がることになった。
2番手と3番手の後退によってさらに楽になった88号車だったが、チェッカーまで残り40分あまりのところでコース脇にストップした車両を回収するためのフルコースイエローが出されたことで状況は一変する。リスタート前のSCランによって稼いだマージンが大幅に削られ、数台のバックマーカーを挟んで4号車メルセデスを交わして2番手に浮上した54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)と対峙することになる。
しかし、やはりペースに勝るのは88号車。ふたたびギャップを築いていくなかで2回目のフルコースイエロー、みたびのSC導入によってレース時間残り10分で再度貯金はゼロになったが、残り3分で迎えたリスタート後もグーノンは落ち着いた走りでトップを守り切り、88号車メルセデスにポール・トゥ・ウインをもたらした。
2位は予選5番手の54号車ポルシェで、トップとは2.1秒差。3位には8番手グリッドからスタートし、着実にポジションを上げてきた“オーバーオール&スプリントカップ王者”の32号車アウディR8 LMS(チームWRT)が入り、1ポイント差でライバルのアイアン・リンクスを上回りエンデュランスカップのチームタイトルを獲得。トロフィーをまたひとつ増やすことに成功している。
4位以下は63号車ランボルギーニ、4号車メルセデス、114号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(エミル・フレイ・レーシング)というリザルトとなり、88号車組が優勝した場合には9位以内がタイトル獲得の条件となっていたアイアン・リンクスの51号車組は7位でフィニッシュ。この結果、ピエール・グイディ/レドガー/ニールセン組が4点差で88号車メルセデスのトリオから逃げ切り、エンデュランスカップのドライバーズタイトルを獲得した。
富田竜一郎がチームWRT(31号車アウディR8 LMS)から参戦したシルバーカップでは、エミル・フレイ・レーシング(14号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo)がダブルタイトルを獲得。今ラウンドで総合12位/クラス2位表彰台を獲得した富田はドライバー選手権11位となったが、チームWRTはチームランキング2位となった。
プロ・アマカップに参戦した濱口弘組の19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシングチーム)は最終戦を総合35位/クラス8位でフィニッシュした。同クラスふたつのタイトルはスカイ・テンペスタ・レーシングのもとに渡り、濱口/フィル・キーン組はドライバー選手権4位に。チームはランキング3位で2021年シーズンを終えている。
2022年のファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSのシーズンカレンダーは、週末に行われたSROモータースポーツ・グループのカンファレンスによって明らかにされており、来季開幕戦は3月21~22日のテストデイ(ポール・リカール)の3週間後、4月9~10日にイタリア・モンツァで開催される予定だ。
■ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS 2022年シーズンカレンダー(10月10日発表版)
Round | Date | Circuit | Format |
---|---|---|---|
– | 3月21~22日 | ポール・リカール | テストデイ |
Rd.1 | 4月9~10日 | モンツァ | E |
Rd.2 | 4月30~5月1日 | ブランズハッチ | S |
Rd.3 | 5月14~15日 | マニ・クール | S |
Rd.4 | 6月4~5日 | ポール・リカール | E |
Rd.5 | 6月18~19日 | ザントフールト | S |
– | 6月21~22日 | スパ・フランコルシャン | テストデイ |
Rd.6 | 7月2~3日 | ミサノ | S |
Rd.7 | 7月29~31日 | スパ24時間 | E |
Rd.8 | 9月3~4日 | ホッケンハイム | E |
Rd.9 | 9月17~18日 | バレンシア | S |
Rd.10 | 10月1~2日 | バルセロナ | E |
※E:エンデュランスカップ、S:スプリントカップ