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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.11.07 05:11
更新日: 2021.11.07 06:11

中嶋一貴組トヨタ8号車が有終の美。タイトルは小林可夢偉組に。激戦のGTは残り12分で接触【WEC第6戦バーレーン決勝レポート】

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ル・マン/WEC | 中嶋一貴組トヨタ8号車が有終の美。タイトルは小林可夢偉組に。激戦のGTは残り12分で接触【WEC第6戦バーレーン決勝レポート】

 LMGTEプロクラスは、ポルシェGTチーム92号車ポルシェ911 RSR-19とAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoが同点に並んでタイトルを争う状況に。92号車ポルシェ、51号車フェラーリ、91号車ポルシェ、52号車フェラーリというグリッド順でレースがスタートするが、3周目の最終コーナーでは51号車のジェームス・カラドが92号車ケビン・エストーレとのブレーキング競争に勝利し、トップを奪う。

 次の周のターン6〜8では51号車と92号車がサイド・バイ・サイドの状態となり、カラドはコース外を走行しながらも首位をキープ。しかし6周目、今度はエストーレがターン4でトップを奪い返し、その後は1秒以内のギャップで接近戦が展開された。

 1時間が経過する直前、51号車のカラドが最終コーナーで再逆転しトップへ。同時にピットインしたこの2台の位置関係は変わらなかったものの、先にピットを済ませていた91号車ポルシェのジャンマリア・ブルーニがアンダーカットを成功させ、クラストップに躍り出る。

 ブルーニにカラド、エストーレが追いつき、今度は3台1パックの戦いに。2時間を前に導入されたFCYでは、まず2&4番手のフェラーリ勢がピット作業を行い、それぞれアレッサンドロ・ピエール・グイディ、ミゲル・モリーナへと交代。次の周にはポルシェ2台もピットへ向かい、91号車はリヒャルト・リエツ、92号車がニール・ジャニへと交代してコースに戻ると、91号車、92号車、51号車というオーダーとなる。

 3番手に落ちたピエール・グイディは、それでも執拗に92号車ジャニに食らいつき、2時間を過ぎても依然タイトルを争う2台はテール・トゥ・ノーズの状態が続いた。

 3度目のルーティンピットのタイミングで91号車が3番手へとポジションを下げると、タイトル争いがそのままこのレースのクラストップ争いに。3時間半経過時点で導入された3度目のFCYでは、またもテール・トゥ・ノーズ状態のまま2台が同時にピットに飛び込むと、ここでカラドへと交代した51号車がわずかに先行。マイケル・クリステンセンに交代した92号車が追う展開となった。

 92号車の背後には52号車が迫ったが、レース折り返しとなる4時間を過ぎたところで、GTEアマクラスのトラフィックが出現した隙をつき、52号車のダニエル・セラが92号車をかわして2番手浮上に成功する。

 4時間半を過ぎ、51号車が5回目のピットストップで左側2本のタイヤを交換してコースに戻ると、先にピットを終えていた92号車のクリステンセンが先行。カラドは2番手へと後退する。

 その直後のFCYでは、92号車がピットへ。一方の51号車はステイアウトし首位浮上と、タイトルを争う2台の戦略が明確に分かれることに。FCY解除後、2台のギャップは10秒ほどとなる。

 しかし92号車のステアリングを引き継いだエストーレはカラドとの差をどんどん詰めていき、5時間20分を前に1コーナーへのブレーキング勝負を制すと、トップに立つ。その後も92号車はリードを少しずつ広げていった。

 6時間経過を前に、51号車はピーエル・グイディへと交代し、4輪にフレッシュタイヤを装着し、追い上げを敢行。両車のギャップは12秒ほどとなる。

 残り1時間13分、デブリ除去のため5回目のFCYが導入されると、トップ2台はここでピットイン。92号車のステアリングを握ったクリステンセンが約6秒差でリードをキープする。

 ここから51号車のピエール・グイディはじりじりと間合いを詰めていき、残り35分の時点では、その差が約1秒となる。残り1回の燃料スプラッシュが必要がどうかも焦点となり、燃費走行が続くなか、2台はまたしてもテール・トゥ・ノーズに。

 そして残り12分、議論を呼ぶ接触は起きた。

 最終コーナーでLMP2にオーバーテイクされるタイミングで、92号車に51号車が追突する形で接触。51号車は走行を続けたが、スピンアウトした92号車はコース復帰に時間を要し、51号車が10秒ほど先行する形になった。

 ここで、すぐさま「ポジションを戻せ」というレースコントロールからの指示が51号車に対して出される。しかし51号車がポジションを戻すよりも前に、92号車はスプラッシュのためピットへと向かった。

 次の周、51号車がピットへ向かい、同じく燃料を補給。残り7分でコースへと戻ると、51号車はレースコントロールからの指示には従わず首位をキープ。ポルシェ陣営に困惑の色が見えるなか、51号車のピーエル・グイディがそのままクラス首位でトップチェッカーを受けた。

 本稿執筆時点で発行されている暫定リザルト上では、クラストップは51号車となっており、ピエール・グイディ/カラド組の手に年間タイトルが転がり込んだ。

LMGTEプロクラスでトップチェッカーを受けたAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evo
LMGTEプロクラスでトップチェッカーを受けたAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evo

■藤井誠暢が躍動するもペナルティ。GTEアマのタイトルは83号車フェラーリに

 日本勢の活躍にも注目が集まるLMGTEアマクラスでは、序盤、クラス11番手スタートだったDステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMRの藤井誠暢が、今回のレースでも俊足ぶりを見せつける。

 15分が経過する頃には2番手へと浮上。さらに藤井はPPスタートのチェティラー・レーシング47号車フェラーリのロベルト・ラコルテを追う。

 40分すぎ、1コーナーでラコルテに仕掛けた藤井だったが、両車は接触。藤井はトップ浮上に成功するも、ラコルテがコース外に押しやられる形となったため、777号車にはドライブスルー・ペナルティが科せられてしまう。

 一方、木村武史がスタートを担当したケッセル・レーシングの57号車フェラーリも順調にポジションを上げ、一時4番手付近を走行する場面も。

 チェティラーの47号車フェラーリは、一時チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェにトップの座を譲ることもあったが、56号車にペナルティが科せられたことにより、再びトップを奪い返す。

 5時間を前にした4度目のFCYでのピット作業を終えると、今度はランキング首位のAFコルセ83号車(フランソワ・ペロード/ニクラス・ニールセン/アレッシオ・ロベラ)がクラス首位へ。83号車はこのままクラス優勝を飾り、同時にLMGTEアマクラスのタイトルも決めている。2位にはデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェ、3位にはチーム・プロジェクト1の56号車が入った。

 木村のケッセル・レーシングはクラス5位、星野敏と藤井のDステーション・レーシングはクラス8位で、最終戦を終えている。

 これで2021シーズンのWECは全レースが終了。最終戦の地・バーレーンでは、11月7日(日)に『ルーキーテスト』が開催される。そしてWECの2022年シーズンは3月、アメリカ・セブリングで開幕予定だ。

LMGTEアマクラスのタイトルを獲得したAFコルセ83号車
LMGTEアマクラスのタイトルを獲得したAFコルセ83号車

木村武史も好走したケッセル・レーシング57号車
木村武史も好走したケッセル・レーシング57号車

星野敏、藤井誠暢がステアリングを握りフル参戦してきたDステーション・レーシング777号車アストンマーティン
星野敏、藤井誠暢がステアリングを握りフル参戦してきたDステーション・レーシング777号車アストンマーティン


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