【SUPER FORMULA第6・第7戦/富士スピードウェイ】大会直前情報
レーシングタイヤの構造について

 一般自動車とレーシングカーにはさまざまな違いがありますが、一般タイヤとレーシングタイヤにも同じようにさまざまな違いがあります。一般タイヤは私たちが通常自動車でいろいろなところに出かける際に必要な安全性や、乗り心地に関わってくる快適性、そして経済性を考慮して作られています。一方レーシングタイヤは、一般タイヤとは異なる速度域、異なる負荷がかけられる中で、速さを追求し限界時での操縦性と高い摩擦力(グリップ力)を優先して作られます。ときに時速300キロを超えるようなスピードで走行、強力なGにも耐えなければならないレーシングタイヤには高い剛性と強度が必要となるため、それに見合う構造を採用しているのです。

 一般タイヤとレーシングタイヤは、タイヤの骨格を形成するためのカーカスという層の貼り合わせ方が異なります。カーカスとは、ゴムで覆われた繊維やスチールでできたシート状のものですが、一般タイヤはこのシートの繊維方向がタイヤ径に対して放射状、つまりタイヤが転がる方向に対して垂直に向いたラジアル構造が採用されています。これに対し、レーシングタイヤは回転方向に繊維の角度を持たせ、さらにこれをクロスさせるように複数枚重ねていく方式を採ることで必要な剛性と強度を作り出しています。

横浜ゴム 2025スーパーフォーミュラ第6&7戦富士 大会直前情報
構造図とカーチス

 安全性が確保できていることを前提として、レーシングタイヤがパフォーマンスを最大限に発揮するためには、タイヤと路面が接地している面積を最適な広さにする必要があります。そのためには、骨格は固めすぎてもいけず、カーカスを締め付けるスチールベルトの構造を調整することで、車両そのものの重量やダウンフォースによりタイヤが押しつぶされるときの変形具合を調整していきます。変形が大きければ走行中の接地面積は広くなりますが、車両を曲げていく方向の力が出にくくなるため、そのバランスをとるのがレーシングタイヤを開発し、仕様を決める難しい点のひとつと言えます。

 また一般タイヤとレーシングタイヤの大きな違いはタイヤ重量です。一般タイヤは、長寿命のためや縁石にぶつかってしまった時の外傷、あるいは紫外線から守る目的でトレッド部分やサイド部分の厚みが決められていきます。一方レーシングタイヤは縁石にぶつかってタイヤが切れてしまうようなケースはほとんどなく、一般車のように長期間使用することもないため紫外線の影響も小さいので、走行性能や操縦性を高めるためにトレッド部分やサイド部分の強度を保ちながら非常に薄く設計しています。このように使用するゴム量が大きく異なり、レーシングタイヤは軽量化されています。

 求められる性能に応じて、さまざまなパーツを吟味、開発し作られているレーシングタイヤ。シーズンの折り返し地点を迎え、各チームの今シーズンのタイヤに対する理解度も深まっている中、この週末の2レースではどのような熱い戦いが繰り広げられるのか、トップドライバーたちの走りに期待が高まります。

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全日本スーパーフォーミュラ選手権で使用されている横浜ゴムのアドバンタイヤ

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