2025 AUTOBACS SUPER GT Round1
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km
4月12日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:8700人
4月13日(決勝)天候:雨/曇り コースコンディション:ウエット/ドライ 観客数:14500人
タイヤをミシュランにスイッチしての開幕戦。ウエットでの自信は確信に
2025年シーズン、GT300クラスではルールに一部改定があった。昨季導入された予選のタイム合算方式は2023年までのノックアウト方式に戻されたうえで、2組みに分けて実施するQ1は各組1台増の上位9台がQ2に進出。決勝での入賞はこれまでの10位から15位まで拡大され、優勝者には5点増しの25ポイントが付与される。
車両においては速度抑制策として昨季導入された追加重量を撤廃し、サクセスウエイトが50kgを超えた場合は給油流量リストリクター径を調整することで給油時間によるハンディキャップをつけるようにした。
また、GTA-GT300車両ではフロントタイヤの幅と外径をそれぞれ30mm縮小。これは2024年シーズン前から全チームに通達されていたことであり、30号車apr GR86 GTは昨季先行して小径サイズを試していた。そのこともあり、その対応に車両を大きく仕様変更する必要はなく、細部の見直しによる軽量化と前後重量配分の最適化を中心とした正常進化が今季に向けたアップデートとなる。ただし、30号車は今季、タイヤをミシュランに変更。タイヤに合わせたセッティングの見直しは当然必須であり、今季もチャレンジングなシーズンであることに変わりはない。
ドライバーは2018年からのコンビとなる永井宏明と織戸学のラインアップを継続。長距離レースに備え、第3ドライバーとして小河諒が加入した。
公式練習 24位 4月12日(土)9:30〜11:15
GT300は多彩な車種が参戦しているとはいえ、BoP(Balance of Performance)によって性能調整されており、タイヤが結果に影響する割合は非常に大きい。同じメーカーであっても、スペックが違うだけで走りもタイムも大きく変わる。タイヤメーカーが変われば、その度合いはさらに大きくなる。
今季ミシュランタイヤにスイッチした30号車にとっては、タイヤへの理解を深め、コンディションにも合わせたセッティングをやり直す必要がある。そして、開幕戦岡山に持ち込んだセッティングは、理想とするところから外れていた。オフシーズンテストは雨が多く、ドライタイヤのデータが足りなかったのだ。
公式練習は経験豊富な織戸から走り出し、ピットインを繰り返してセッティングの修正を図った。15周走ったところで永井に替わり、同様の作業を進めていく。ミシュランタイヤはセッティング感度が高く、フィーリングは改善傾向にあったが、理想には届かず。織戸が記録した1分27秒452がベストタイムとなり、24番手となった。
公式予選 4月12日(土)Q1A/14位14:00〜14:10
予選はQ1A組に出走し、織戸が担当。予選に向けてセッティングをアジャストするが、詰め切れない状態で臨むことになった。普段であれば、オーバーステアのクルマも難なく乗りこなす織戸だが、その織戸をしても厳しい状況にあった。フロントが入りよく曲がるクルマではあったが、リヤの安定感が足りない。タイムは1分27秒339と、公式練習からのタイムアップも小さく14番手。Q1敗退となってしまった。
決勝は最後尾からのスタートになるが、天気予報は雨。オフシーズンテストは雨が多かったこともあり、ミシュランのウエットタイヤはデータが十分に取れている。コンディションを味方につけ、追い上げを狙う。
永井宏明選手
「寒いときのオフシーズンテストではドライタイヤでも良いフィーリングだったんですけど、今回のコンディションにはまだマッチングできていませんでしたね。予選は織戸選手に頑張ってもらいましたが、やはり難しかった。明日の決勝は雨予報。ウエットタイヤはテストのときから機能していたので、良くなるんじゃないかなと思います」
織戸学選手
「今回はちょっとセットアップでハマっちゃいましたね。公式練習からオーバーステアの症状が強くて、予選に向けてアジャストしたけど、それが失敗しちゃったかな。オーバーステアがもっと強くなってしまいました。ドライバーのミスももちろんありますが、タイヤとクルマをうまく合わせ込むことができませんでしたね」
金曽裕人監督
「オフシーズン最後の富士テストで、ある程度ドライの良いセッティングを見つけることができたのですが、富士と岡山ではやっぱり違いましたね。そのズレを修正するのに時間がかかってしまい、理想とするところに辿り着けず予選も走ることになってしまいました。ウエットは自信のあるセッティングが見えているので、雨の決勝になったら期待してください」
決勝レース(79周)/20位 4月13日(日)13:10〜
決勝日は予報どおりの雨。スタート進行の直前に行われた20分間のウォームアップ時は雨脚が強く、危険な状況でもあったため織戸のドライブで確認程度に走行。決勝に向けては大きくセッティングを変えたが、良い方向に進んでいる感触を得ることができた。
決勝は雨のためセーフティカー(SC)先導でスタート。第1スティントは織戸が担当する。5周目にスタートが切られたが、その直後にGT500で多重クラッシュが発生し、赤旗中断となった。約30分後にレースが再開されると、織戸はハイペースで順位を上げていった。
20周目には11ポジションアップの17番手に浮上。しかし、他車に接触されてスピン。コース上にとどまり、すぐにスピンターンして戦線に復帰するが、これによって3つポジションを落としてしまう。だが、織戸のペースはその後も安定して速く、ピットタイミングの違いもあるが、42周目には9番手を走行し、44周でルーティンピットに入った。
雨は徐々に上がっていき、このタイミングでのタイヤチョイスは難しい状況だったが、30号車はウエットタイヤへの交換を選択して永井をコースに送り出す。路面はドライアップしていくなかでウエットパッチが残る難しいダンプコンディションだったが、永井のペースは良い。だが、先にスリックに交換した車両のタイムが上がってきたことで、永井も53周目にピットに入ってスリックタイヤに交換。永井は19番手でコースに戻った。
永井はその後、17番手までポジションを上げて入賞の15位まであと一歩に迫った。しかし、ドライコンディションに対してのマッチングはまだ完璧ではなく、19位でフィニッシュ。さらにピット作業時に違反があったとして決勝結果に10秒加算のペナルティを科され、正式結果は20位に。悔しいリザルトとなってしまったが、ウエットでの自信を確信に変えることができた一戦だった。
永井宏明選手
「織戸選手のオーバーテイクは見事でした。雨のミシュランのパフォーマンスの高さも見事でした。その反面、ドライ状態でのスリックタイヤとマシンがまだまだで、決勝中のドライビングは結構苦労しました。次の富士までにどこまで修正できるかが勝負ですね」
織戸学選手
「決勝のウエットはすごく良い感じで、どんどん抜くことができたんですけど、ぶつけられてスピンしたことでリセットされちゃいましたね。そこから順位を戻していったけど、あれがなければと思うと悔しい。あとはスリックに交換するタイミングで永井選手に交代できていれば、絶対入賞できたと思います。そこまではタイヤがもたなかった。まだタイヤのデータが少なすぎましたね。でも、今後はもっと良いレースができるかなと感じられるレースでした」
金曽裕人監督
「第1スティント、織戸選手の走りは素晴らしかった。できればあと5周引っ張りたかったけど、タイヤのドロップが大きかったのでウエットに換えて永井選手に交代しました。でも、すぐにドライアップしてきて、もう1回ピットに入ってスリックに交換しました。ドライコンディションセットはまだマシンと合ってなかったです。方向性はだいぶ見えました。いまは伸び代しかない状態。ミシュランのスリックに対してもっと勉強します。また、ドライバーの頑張りに報えるようにピット作業ミスを撲滅いたします。次は小河選手もCドライバーとして走りますのでご期待ください」