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F1 ニュース

投稿日: 2016.05.15 01:17
更新日: 2016.05.15 01:19

メカ分析:パワーがあるからできる、“強者”メルセデスのディテール

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F1 | メカ分析:パワーがあるからできる、“強者”メルセデスのディテール

 それより気になるのは、フロントホイール内側のパネルに施された処理だ。トップ写真の丸囲み内に、ひっかき傷のような処理が確認できる。メルセデスはギザギザ状の細かな処理を多用する傾向にあり、その最たる例がサイドポンツーン開口部前にあるバージボードだ。リヤウイングに目を転じると、メインプレーンとフラップの間にあるスロットギャップ部もギザギザ状の処理が施してある。

メルセデス

 フロントウイングの裏にあるストレーキも同様の機能を持つが、ギザギザはボーテックスジェネレーターとして働くと考えていいだろう。空気の流れにエネルギーを与え、向かわせたい方向に空気を流そうとしているわけだ。その結果、ダウンフォースを効率良く発生させることにつながる。

 その引き替えとしてドラッグ(空気抵抗)は増えるが、ドラッグの増加によるロス(損失)よりも、空力性能向上したことによって得られるパフォーマンスのゲインの方が大きく、ギザギザの多用につながっているのだろう。パワーユニットの性能面で圧倒的に優位に立つメルセデスだからこそ乱発できるワザで、他が形だけ真似してもただ単にドラッグが増えて遅くなるだけ、に違いない。

 見方を変えれば、メルセデスはありあまるパワーを有効にダウンフォースに転換しているので、タイヤをしっかり押さえつけることができ、硬い側のタイヤ、最適温度レンジの高いタイヤでも有効に発熱させることができて、タイヤ戦略面でも優位に立つことができるというわけだ。


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