レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2019.10.24 21:14
更新日: 2019.10.24 21:15

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第13回】「1ストップ戦略しかない」と臨んだ鈴鹿。FP2ではアタックのタイミングがカギに

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第13回】「1ストップ戦略しかない」と臨んだ鈴鹿。FP2ではアタックのタイミングがカギに

 日本GPでは、台風の影響で土曜日の走行がすべてキャンセルになりました。レギュレーション上では、予選が行われなかった場合はフリー走行3回目(FP3)の順位がそのまま決勝レースのグリッドになりますが、FP3が行われなかった場合のことは書いてありません。

 結局、予選とFP3が中止になった場合にフリー走行2回目(FP2)の順位でグリッドを決めるという最終決定が正式に出たのは、フリー走行1回目(FP1)が終わった後でした。何日も前から台風が来るとわかっていたのに、もう少し判断を早くできないものかなと思いました。ラグビーのワールドカップを見てみれば、木曜日(10日)の時点で土曜日の試合をキャンセルすると決まっていましたからね……。

 この決定により、FP2は通常とは異なるプログラムで進めることになりました。これは普段とは状況が違うということで、個人的にはおもしろかったです。FP3が無くなったのでFP2ではFP3用のタイヤも含めて、計4セット使いました。そして、日曜の朝に予選が出来ない場合はFP2の結果がグリッドとなる可能性があることも考えると通常のFP2のプログラムに加えて、実質上の予選アタックもFP2でしなければいけません。

 通常の予選では時間がかなり限られているので、みんな大体走り出すタイミングが決まっています。ですから、ある意味、ウチもライバルチームもお互いに予定を立てやすいんです。しかしFP2の90分という時間のなかでロングランとアタックラップの両方をこなさなければいけない状況では、予選アタックをかけるタイミングにバラつきがあります。もし他チームとアタックのタイミングがずれ、多くのチームがロングランをやっている時にウチがアタックすることになったら、トラフィックに引っかかってしまいます。ロングランをやっているのであれば予選アタックをしているクルマにラインを譲る義務はないので、予選アタックをかけているクルマがタイムを出すのは難しくなります。

 しかし路面状況はFP2終了間際が最も良いと考えるのが普通なので、ここでは路面状況をとるか、他車に引っかかるリスクを避けるかを天秤にかけます。ルノーは前者をとり、セッション終盤に2度アタックを試みましたが、いずれもロングランを行っているクルマに引っかかり、タイムを出せませんでした。

2019年F1第17戦日本GP ケビン・マグヌッセン(ハース)
ケビン・マグヌッセン(ハース)

 ウチはまずセッション序盤に1度目のアタックをかけた後に、2度目のアタックも比較的早い段階で行いました。この時のタイムはかなり良いものが出そうだったのですが、運悪くボッタスが最終コーナーで黄旗を出してしまい、2台ともにタイムを計測することができませんでした。結果、この時点で15番手と16番手。本来は3回目のアタックを出来る限り遅らせて行おうと思っていたのですが、この状況ではリスクを負えません。そこでまた比較的早い段階で最後3回目のアタックをかけ、その後は燃料を積んでロングランに入りました。最終的にFP2は13番手と16番手で終えましたが、作戦としては悪くなかったと思います。

 現在F1の将来について様々なことが話し合われていますが、そのひとつに、レースを2日間で開催するという議論があります。当然サーキット側はお客さんを入れたいので3日間の開催を望んでいますが、そのためには金曜日の走行をもっと意味のあるもの、つまりレース結果に影響するものにしたいという意見があります。

 もし土曜と日曜の両方でレースをやるのでしたら、予選のひとつをこの様に金曜にやるのも良いかもしれません。まあしかし、どんな新しい形式を考えても、3イベントぐらいやると、大体みんな同じ結論を出すので、結局やることは同じになってしまうのですが……。それでも金曜の走行にもっと意義を持たせるのは良いことではないかと思います。

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第13回】「1ストップ戦略しかない」と望んだ鈴鹿。FP2ではアタックのタイミングがカギに
ハースのギュンター・シュタイナー代表、小松エンジニア


関連のニュース