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F1 ニュース

投稿日: 2020.12.22 13:11
更新日: 2020.12.22 13:07

角田裕毅インタビュー(後編):F1デビューする2021年の抱負と故アントワーヌ・ユベールへの思い

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F1 | 角田裕毅インタビュー(後編):F1デビューする2021年の抱負と故アントワーヌ・ユベールへの思い

──2021年シーズンのチームメイト、ピエール・ガスリーは手強いドライバーだと思いますが、こんなところで対抗したい、あるいはここなら勝てるという部分はありますか。
角田:僕もガスリーのことはすごく気になっているんですが、今まで一度も一緒に走ったことがないので、正直よくわかってません。最終戦アブダビGPに帯同して、クビアトとのデータ比較をした時に、ふたりのドライビングの違い、どういうブレーキの踏み方をしてるとかは見ました。僕自身のドライビングとの比較では、まだ未知の部分ばかりですね。

 いっしょに走っていないので、彼のレースでの凄さも目の当たりにしてない。ただ来季少なくとも中盤までは、最初にも言ったようにあまり他のドライバーのことは気にせず、自分の走りに集中しようと思っています。もちろん本物の実力の持ち主だと思うし、彼から多くを学んで、自分の成長に活かすつもりです。最終的に彼を負かせるような、そんなシーズンになれたらいいですね。

──角田くんが今のハミルトンと同じ35歳になる15年後、その時もぜひF1を続けていてほしいですが、その時のF1はどうなっていると思いますか。
角田:
F1のクルマ自体が、どうなっているか。おそらく燃料はバイオ系の、環境に優しいものになってるでしょうね。ドライバーとしては、エンジン音がどんどん静かになっていくのは少し寂しい。でもそこは、仕方ないんでしょうね。もしかしたら、電気F1になってしまうかもしれない。でもそうなった時のファン離れもF1は危惧して対策を講じるでしょうし、何よりF1の速さ自体は変わっていないでしょうね。内燃機関は残して、電気エネルギーの比率を増やすとか、いろいろ変わっていくと思います。

 2030年までF1に残れてるとしたら、この世界で実力を示して、何度か優勝もしてるんだと思います。自分としては2035年ぐらいまで、乗り続けたいですね。ハミルトンがシューマッハに並ぶ7回目のタイトルを取りましたし、それを抜けたらいいですね。

──日本人のファンに、自分のどんなところを注目してもらいたいですか。
角田:
自分の強みは攻めるドライビングだと思うし、見て迫力のあるドライビングには自信があります。これからF1をご覧になる方には、F1にしかない速さ、見たことのないコーナリングの速さとかを堪能してもらえれば嬉しいです。まだまだ厳しい状況が続いていますが、来年の日本GPがぜひ予定通り開催されて、そこで僕の走り、中でもオーバーテイクや、ブレーキングをギリギリまで遅らせる技術を、直接ご覧になって、体感していただければと思います。

──オフの時はどんなふうに、気持ちの切り替えをしてるんですか。今ハマっていることとか、ありますか。
角田:
日本に帰ってきて、久しぶりの日本食を堪能しているところです。と同時に、初めてF1マシンに乗った時に首への負担があまりに大きかったので、レースをちゃんと戦えるよう、とにかくトレーニングに励んでいます。それ以外ではオンラインゲームが好きで、レース関係や学校時代の友人とゲームしてますね。イギリスがロックダウンで外出できない時も、友達と話しながらゲームに興じて、楽しみながらロックダウンを切り抜けることができました。アウトドアも好きで、こういう状況じゃなかったらウェイクボードやゴルフも楽しみたかったです。

──今年様々な賞をもらったことへの気持ちを聞かせてください。
角田:
F2新人賞のアントワーヌ・ユベール賞は、特に感慨深いというか。僕がF4を走ってる時に、彼はGP3/F3でチャンピオンになって、一度はいっしょに走ってみたいと思っていたドライバーでした。僕もF3でその場にいたベルギーで亡くなってしまった時には、本当に衝撃を受けました。

 彼の最初から最後まで攻めるスタイルは、僕も憧れていました。なので自分のドライビングに一度取り込んでみようと、ベルギー翌週のモンツァで試してみたんですね。そのおかげもあって、ヨーロッパに来て初めて勝つことができた。彼のスタイルが、僕に合ってるんだなというのもわかった。彼がヒントを与えてくれたというか、僕のドライビングに磨きをかけてくれた存在でした。本当に感謝しています。いっしょに戦うという願いは叶いませんでしたけど、この賞を彼からもらったのは本当にありがたいし、大切にしたいです。

 FIAの新人賞は、正直取れると思っていませんでした。驚きでしかなかった。この賞の対象にはF1のルーキーも含まれるし、世界的な大きな範囲の中でルーキートップになるのは簡単なことじゃない。そこで選んでいただいたのは、驚きでした。ヨーロッパに来て2年目という短い時間の中での受賞は光栄ですし、来年以降の励みになります。

帰国後に行われた角田裕毅のリモート会見
帰国後に行われた角田裕毅のリモート会見


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