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F1 ニュース

投稿日: 2020.12.30 08:00
更新日: 2020.12.30 01:36

楽勝ではなかったメルセデス陣営。13人が表彰台に乗ったエキサイティングなシーズン/2020年レビュー(1)

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F1 | 楽勝ではなかったメルセデス陣営。13人が表彰台に乗ったエキサイティングなシーズン/2020年レビュー(1)

 日本のファンにとっては間違いなく、角田裕毅の活躍は2020年シーズンの最も大きなトピックのひとつだっただろう。

 4回のポールポジションを獲得し、レース1の結果だけを抜き出せば獲得ポイント数はトップだったということからも、純粋な速さとレースの巧さという点では今シーズンのFIA-F2選手権のなかでトップの実力を持っていたことは間違いない。

 ただし、それも最初からそうだったわけではない。開幕当初はまだタイヤマネージメントが完成されていたわけではなく、タイヤを使い切るという点で手探りのレースをしていた。攻めすぎた末に他車と接触することもあり、未完成の部分はあった。

2020年FIA-F2第8戦イタリア 角田裕毅(カーリン)

 しかしシーズンを経るなかで大きく成長し、純粋な速さだけでなくタイヤマネージメントも身につけてメリハリの利いたレースができるようになった。

 特に終盤のレースがそうであったように、守るべき場面ではタイヤマネージメントに徹し、攻めるべき場面では残しておいたグリップを最大限に使って攻めるレースができた。コース上のバトルについても、相手の動きをよく見て瞬時に判断を下し一発で仕留める生まれ持っての感性があるだけでなく、そこに至るまでいくつも前のコーナーからチャンスを組み立てていく冷静さも持ち合わせていた。

 バーレーンラウンドの予選ではF1昇格のプレッシャーから責めすぎてスピンを喫するというミスを犯してしまったが、レース1で最後尾から6位まで追い上げる見事なレースを見せた。そして最終サクヒールラウンドではポール・トゥ・ウインで完璧なレースをやり切った。

2020年FIA-F2第12戦バーレーンGP 優勝を飾った角田裕毅(カーリン)
2020年FIA-F2第12戦バーレーン 優勝を飾った角田裕毅(カーリン)

 シーズンを通した成長という点でも、シーズン閉幕時点での純粋なパフォーマンスの高さでも、角田裕毅は2020年のFIA-F2で最高のドライバーであることは間違いなかった。FIAのルーキーオブザイヤーに選ばれ、F2の年間表彰式でもひっきりなしに様々な賞を表彰されたことからも、日本人であるという贔屓目なしでも素晴らしい評価を得たことは間違いない。

 彼の戦績やコメントだけを見れば、来たる2021年シーズンに期待が大きく膨らむのは当然だ。ただし生身の彼に接してきた者としては、コクピットから降りればまだ幼さも残る人なつっこいひとりの若者でもあると感じられるし、前述の通り今季もいくつもミスを犯しては成長を繰り返してきた、成長の途上にあるドライバーだとも思う。

 だからこそ、彼がパーフェクトなドライバーであるかのような評価の仕方や期待の寄せ方が急に広がってきた持て囃し方には違和感を覚えるし、彼自身が語っているようにF1デビューを果たしてからも攻めてミスをしてそこから学びながら成長していく過程を見守りながら応援していくべきなのではないかと思う。

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(2)に続く


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