■2度目のタイトルは家族に負担を強いるほどの価値を持たない

 ロズベルグには意欲が足りないと考える者もいるかもしれない。けれどもそれは、悲しむようなことでない。2016年のロズベルグのように全てを投げ打ってきたのならば、結果はそれを反映したものになるべきだ。以前の彼はチャンピオンではなく、エリートクラブの一員でもなかった。その状況を変えたということが、彼にとっての褒美だったのだ。

 あと一回勝ったところで、何も変わりはしないだろう。ロズベルグにとって再度のタイトル獲得は、まだ2歳に満たない娘のアライアを育てる妻のビビアンを置き去りにするほどの価値はない。引退発表にあたって、ロズベルグはこんなコメントを残している。

「僕と関わってきた全ての人々とともに、全方位において死にもの狂いで頑張った。家族も含めて、みんなが大いなる犠牲を払ってくれた。たとえば妻は、僕が家にいるときには休息が必要だと理解してくれていた。だから夜には何もしなくてよかったし、娘の世話もしなかった。難しいことは何ひとつ、やらなくてよかったんだ。彼女はできるかぎり楽をさせようとしてくれたけど、それは僕ら全員がしてきたことの、一例にすぎない」

親子二代でのタイトルを獲得したロズベルグ家
親子二代でのタイトルを獲得したロズベルグ家

 31歳のロズベルグと、2016年でレギュラードライバーの座から降りた36歳のバトンを比較するならば、違いは明らかだ。バトンのキャリアは自然な形で終わりに向かっていた。ロズベルグより5歳年上のバトンは、その分の5年間で何を失っただろう? 彼には娘はいないし、望むのであれば今からでも子供の成長を見守ることは可能だ。一方でロズベルグは、家族思いで有名だ。そして彼には、ふたつの思いがある。F1のタイトルを追い求めることと、妻と娘。前者を達成した彼にとって、引退という選択はまったくもって当然のことなのだ。

「子供のころの夢を成し遂げたいま、もう1年こんなふうに身を投じる意欲は持てないし、だからといって4位やそこらになることにも興味はない。僕はファイターであり、(やるからには)勝利を収めたい。でもそれを再度やってみることに面白みを感じないし、やりたいとも思わない」とロズベルグは語っている。

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