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F1 ニュース

投稿日: 2022.08.24 13:02
更新日: 2022.08.25 17:36

ゼロポッド・メルセデスの真価/楽勝気配のレッドブルに警鐘【後半戦ココだけは抑えたいF1技術トピック(1)】

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F1 | ゼロポッド・メルセデスの真価/楽勝気配のレッドブルに警鐘【後半戦ココだけは抑えたいF1技術トピック(1)】

 今年のフェラーリとレッドブルの戦いは実に魅力的だ。正反対の性格を持つマシン同士でありながら、パフォーマンスが非常に僅差なのだ。2022年の技術レギュレーションが発表された時には、この規則ではマシンを開発する上でエンジニアが得られる自由度が非常に小さいと激しく批判された。だが実際にはレッドブルRB18とフェラーリF1-75のデザインにはこれ以上不可能と思えるほどの違いがある。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第11戦オーストリアGP決勝 シャルル・ルクレール(フェラーリ)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ふたつのマシンは細かい部分までほとんどすべてが異なっている。最も明白な違いは、サスペンションのレイアウトで、レッドブルはフロントにプルロッド、リヤにプッシュロッドを採用しているが、フェラーリはフロントはプッシュロッド、リヤはプルロッド式という選択をした。

 サイドポッドの違いも明らかだ。フェラーリはこれ以上ないほど大きなサイドポッドを備え、レッドブルはサイドポッドをできる限り小さくしようと試みた。

2022年F1第1戦バーレーンGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のバトル

 ふたつのマシンは得意とする部分も異なる。フェラーリはハイダウンフォースのサーキットで強く、低速コーナーで一貫して速い。トラクションがよく、パワーユニットが素晴らしい加速を見せるのだ。一方レッドブルは逆に、ホンダ製パワーユニットの力によりトップスピードが極めて高く、低ドラッグのデザインだ。高速コーナーでも際立って速い。データを見るたびに分かるのは、フェラーリはストレートではレッドブルより明らかに遅いが、コーナーでは速いということだ。

 総合的に見ると、F1-75が最速のマシンだ。だが、信頼性が非常に低く、その上、チームがレース戦略において何度かひどい失敗をしていることで、ポイントにおいてレッドブルから大きく離れてしまった。

2022年F1第11戦オーストリアGP カルロス・サインツ(フェラーリ)車にパワーユニットトラブルが発生
2022年F1第11戦オーストリアGP カルロス・サインツ(フェラーリ)車にパワーユニットトラブルが発生

 残り9戦、トップ2の戦いはどのような展開を見せるのか。タイヤ選択やピットストップのタイミングでミスをする可能性を今は除外し、ふたつのマシンの純粋な能力だけを考慮して、後半戦、どちらがどのサーキットで有利なのかを見ていこう。

 ベルギーとイタリアの高速レイアウトのサーキットでは、レッドブルが強いだろう。同じホンダ製パワーユニットを搭載するアルファタウリにも期待できる。フェラーリはホームグランプリであるイタリアで敗れることになりそうだが、それは如何ともしがたい。しかしフェルスタッペンは、イタリアで勝利を収める代わりに、母国のザントフォールトでは敗北を喫する可能性がある。このサーキットのツイスティなレイアウトは、フェラーリとの相性がいいはずだ。

 ヨーロッパラウンドが終わった後、シーズン終盤戦ではエンジンペナルティあるいはギヤボックスペナルティがトップ2チームの争いに影響してくる。フェルスタッペンはすでに今シーズン中に許される最後のトランスミッションに達しており、シンガポール・マリーナベイのストリートサーキットは彼のマシンにとって厳しいものになるかもしれない。その上、このレイアウトはフェラーリの方に有利だ。従って、レッドブルはここで大きなペナルティを消化してしまうという決断をする可能性がある。ここでパワーユニットを交換してしまえば、日本GPの鈴鹿では最新のホンダパワーユニットで戦えることになる。鈴鹿はレッドブルとの相性がいいが、フェラーリはセクター1で強さを見せるだろう。

 アメリカCOTAとブラジル・インテルラゴスは、レッドブルとフェラーリのどちらかが圧倒的に有利ということはないので、かなりの接戦となるだろう。標高が高く、ハイダウンフォースレベルのメキシコシティでは、フェラーリの方がわずかながら勝るかもしれない。

 そして最終戦アブダビGPだ。ヤス・マリーナはフェラーリが圧倒的に強いだろう。シーズン終盤には、サマーブレイク前ほど2チームのポイント差が大きくはなくなり、接戦になっていることを期待する。

2022年F1第6戦スペインGP 予選後のレッドブルRB18とフェラーリF1-75


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