WEC世界耐久選手権でLMP1クラスに参戦するアウディとポルシェは今週、アメリカのセブリング・インターナショナル・レースウェイでテストを行っているが、両者ともにそのパフォーマンスを比較するのは難しいと考えているようだ。
WEC開幕初年から2連覇を達成しているアウディと、今季から耐久レースの最高峰クラスに16年ぶりに復帰するポルシェ。両者はそれぞれ、今季の新規定に沿った新型車両にアウディR18 e-トロン・クワトロ、ポルシェ919ハイブリッドを1台ずつ持ち込み、セブリングでの4日間のテストに臨んでいる。
両者はこれまで、今季開幕に向けて昨年から走行テストを実施してきているが、新型車両でこうして相見える形でテストに臨むのは初めてのこととなる。
とはいえ、4月20日に決勝レースが行われる開幕戦シルバーストンに向けて、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのそれぞれのエネルギー量の割り当てが決まっておらず、アウディ、ポルシェともに、ライバルとのパフォーマンスを比較するのは難しいと見ているようだ。
「面白くはなるだろう。ただ、あまり多くのことは分からないはずだ」と語るのは、ポルシェLMP1のテクニカルディレクター、アレックス・ヒッチンガー。
「双方とも、自分たちがどこにいるのか分かるかもしれないが、確実ではない。我々は彼らがどのエネルギーレベルで走っているのか知らないし、彼らも同様だからね」
それぞれの1周あたりの燃料消費量に関する基本的なルールは、アウディとポルシェ、そしてトヨタの3マニュファクチャラーの提供するデータによって決定される。2回のデータ提供のうち、すでに1度目のデータ提供は締め切られており、2度目の締め切りは今月末に行われるポール・リカール公式テスト前に設定されているという。
ただ、アウディ、ポルシェともに今回のテストではそれぞれの優先事項のもとプログラムを進めるとしており、ポルシェは919ハイブリッドの最新バージョンでのパフォーマンスと耐久性の複合テスト、アウディは4日間で6000kmを走破することを目的とした耐久テストを行うということだ。
今季は2号車R18 e-トロン・クワトロをドライブするマルセル・ファスラーは、「彼らが行っていることから目は離さないよ。ただ、比較は難しいだろうね。それぞれ、各自のプログラムを行うことになるからね」と語っている。
また、4日に919ハイブリッドのカラーリングをお披露目したポルシェは、同日から行われているこのセブリングテストに最新のエアロパッケージを持ち込んだ。ヒッチンガーによると、最新バージョンのマシンは、外見を除きこれまでのものとは“別物”ともいうことができるという。
「モノコック(外見)は別として、同じところはないと思っている」
「細部に数多くの変更がなされているんだ。だから、最新バージョンを見ても、2台が別のマシンだとは思わないだろうね」