一方、イタリアのムジェロにて3月20~22日に開催されたTCRヨーロッパ開幕戦は、予備エントリーリストからMMモータースポーツとチーム・クレーレ・スポーツが外れ、プロモーターが設定した最大エントリー台数の26台から24台に減少することに。
それでも、昨季ドライバーズとチームタイトルの双方を獲得したスペインのモンラウ・モータースポーツは、元ホンダ使いのマルコ・ブティ、北欧出身のヴィクトル・アンダーソン、そしてTCR UK王者のアダム・シェパードという強力なトリオを擁し、『クプラ・レオンVZ TCR』の3台体制を構築する。
さらに世界戦運営チームでもあるBRCレーシングは、こちらも既報のとおりガブリエレ・コヴィーニとアレックス・レイの2名が『ヒョンデ・エラントラN TCR』でフル参戦し、TCRイタリアで2度の優勝経験を持つニコラス・テイラーは、ベテランのニコラ・バルダンとともにPMAモータースポーツに残留してアウディRS3 LMS2を走らせる。
さらにTCRサウスアメリカのトップチームであるスクアドラ・マルティーノは“アルゼンチンの帝王”を父に持つティアゴ・ペーニャを擁し、RC2レーシングチームのサポートを受けFL5型『ホンダ・シビック・タイプR TCR』のシングルカー体制で欧州挑戦を開始する。
そのホンダ系有力チームであるALMモータースポーツは、レースウイーク直前にルベン・ヴォルトの残留に加えてマイク・ハルダーの新加入を発表。すでに発表済みのマックス・ハートを加えた2026年シーズンのラインアップを確定させた。
「ALMモータースポーツからTCRヨーロッパのグリッドに並ぶことを発表できて、本当に光栄だ。チームとともに、すべてのレースウイークエンドで高いレベルのパフォーマンスを発揮し、つねにトップ争いに加わることに集中している。全力で臨み、勝利を目指したい」と2022年のTCRヨーロッパで総合8位、過去2年はTCRデンマークとTCRスペインに参戦し、後者で2度のタイトルを獲得したハルダー。
同じく残留のヴォルトも「同じチーム、同じマシンだがチームメイトは変わった。TCRヨーロッパ残留を実現するために多くの努力がなされたし、心から感謝している。開幕が待ち遠しい」と抱負を述べた。
そんな実力者揃いの週末は、予選からヒョンデ陣営がワン・ツーでフロントロウを固めると、レース1は序盤のセーフティカー(SC)導入にもかかわらず、スタートからゴールまでトップを走り続けたアレックス・レイが独走状態に。
グリッド3番手からストールを起こし、最後尾まで順位を落とす最悪のTCRヨーロッパ・デビューとなったティアゴ・ペーニャと対照的に、初参戦レイがジュネスン・パク(ソライト・インディゴ・レーシング/ヒョンデ・エラントラN TCR)、僚友ガブリエレ・コヴィーニを従え、ヒョンデがトップ3独占でのシリーズ初優勝を飾った。
「ポールポジションと優勝という最高のスタートを切ることができ、言葉では言い表せないほどだ、最高にうれしいよ」とレイ。「ヒョンデ、BRC、そしてダニエル・ジェームス・モータースポーツの素晴らしい仕事ぶりに感謝している。この勢いを維持していきたいね!」
続くレース2はリバースグリッドのポールポジションからスタートしたニコラス・テイラーのアウディが、ふたたびのSCで2度の中断を経た混戦を乗り越え、こちらもレイとハルダーを従えてのシリーズ初優勝となった。
「TCRヨーロッパで初優勝できて本当に嬉しい。母とガールフレンドが来てくれて、この瞬間を一緒に見ることができて最高だったよ!」とテイラー。「カナダとマルタにいる家族もテレビでレースを見てくれていた。本当に厳しい選手権だし、シーズンは長いから、一戦一戦に集中していくつもりだ。次戦のスパ・フランコルシャンに向けて大きな自信を得られたね」
■リア・ブロックが初めてのラリー2マシンでステージウイン
その前週、3月13~14日にアメリカはミズーリ州セーラムに位置するマーク・トウェイン国有林で開催された北米屈指の高速イベント、ARA第2戦『ラリー・イン・ザ・100エーカー・ウッド(100AW)』では、最高峰カテゴリーのRC2クラスにARA記録となる9台、FIA公認車両13台がエントリーした。
同大会は、北米ラリーレイド界のスター選手であるセス・キンテロが初参戦する記念すべきイベントとなり、WRC世界ラリー選手権の強豪でもあるTGR-WRTが、ラリー2やR5、N5といった車両がひしめく激戦区のRC2カテゴリーに新型『GRカローラ・ラリーRC2』を投入する。
「トヨタ・ガズー・レーシングからこのような機会をいただき、本当にうれしく、感謝している」と『DKR GRハイラックス』からより小型で機敏なGRカローラに乗り換え、初のステージラリーに挑むキンテロ。
「このチームと連携できることは本当に光栄だ。この経験を楽しみ、多くのことを学びたいと思っている。ステージラリーは僕にとって新たな挑戦だ。W2RC世界ラリーレイド選手権では1日に500km以上走るのが当たり前だし、1日100kmまでというのはまた違った感覚だね」
「軽量で俊敏なGRカローラと、より大型のDKR GRハイラックスを乗り換えるのはまったく別世界だが、多くの点で共通点もあり、ドライビング特性も似ている。テスト走行は最高だったし、チームの皆も温かく迎えてくれた。関係者全員に心から敬意を表したいし、皆に誇りに思ってもらえるよう、そして一緒に楽しい時間を過ごせるよう頑張りたい」
トピ・ルティネンがコドライバーを務めたGRカローラ・ラリーRC2は、全13ステージ、2日間にわたる125マイル(約200km)のステージに挑むと、最初のループを学習の機会と捉え、このステージセットを終え総合7位につける。さらに翌日にはペースを上げSS6では4番手タイムを記録したが、続くSS7のウォーターハザードで停止を余儀なくされ、その際、別のライバル車が車両後部に接触。サービスに戻り徹底的な点検と修理を終えたのち、キンテロは非競技エントリー(NCE)として最終ループに復帰し、チームは開発目的でステージ走行を続けるなか総合5番手相当のタイムを記録した。
「最初は謙虚な気持ちで臨んだが、そうして良かったと思っている」とキンテロ。「簡単ではないが、本当に楽しんでいるし、一瞬一瞬が最高で本当に楽しい。このファミリーの一員として迎え入れて貰ったことは、本当に素晴らしい気分だよ。ニッチな世界だとは分かっているが、ここにいられることが本当にうれしいね」
このデビュー戦で収集したデータを基に、今後もTGR-WRTはGRカローラ・ラリーRC2の改良を続け、2026年シーズンを通して北米プログラムを展開していく予定だ。
一方、2023年のオープン2輪駆動(O2WD)部門のタイトルを獲得し、ARA史上最年少チャンピオンとなったリア・ブロックは、開幕戦のスノーラリーで総合優勝にあと一歩まで迫ったあと、この第2戦ではロックスター・エナジードリンクがスポンサーを務めるヒョンデi20でラリー2クラスに初参戦。
前述のとおりARA史上最多のRC2参戦台数を誇った同大会で、自身初のラリー2マシンでの参戦にも関わらず、彼女は総合上位争いに加わっただけでなくARA初のステージ総合優勝も達成。SS6ではスバル・モータースポーツUSAのトラビス・パストラーナを1.8秒、トム・ウィリアムズのシュコダ・ファビアRSラリー2を7.2秒も上回る最速タイムを記録し、SS8でもふたたびのトップタイムをマークした。
「ヒョンデのラリー2マシンでRC2に参戦するのは初めての週末だったし、これまで乗ってきたラリー3や後輪駆動車とはまったく違うスピード感だった」と、このラリーで総合優勝を果たすリミテッド部門のパストラーナを凌ぐ速さを披露し、総合4位となった19歳のリア・ブロック。
「週末はあらゆる段階で学び、改善することに重点を置いた。そして実際に多くのことを学び、大きな進歩を遂げることができた。ここ数年でARA選手権の優勝争いがこれほどまでに拮抗しているのは本当に驚くべきことね。これほど接戦になったのは本当に久しぶりだと思う。今季は多くの選手が競い合う、素晴らしいシーズンになりそうね」








