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F1 ニュース

投稿日: 2019.08.26 12:04
更新日: 2019.08.26 12:06

最速エースの重圧に苦しんだガスリー。前半戦の流れを決定づけた冬季テストのクラッシュ【今宮純のチームメイト対決】

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F1 | 最速エースの重圧に苦しんだガスリー。前半戦の流れを決定づけた冬季テストのクラッシュ【今宮純のチームメイト対決】

*レッドブル・ホンダ チームメイトのポイント比較
 ランキング3位:マックス・フェルスタッペン(181点)
 ランキング6位ピエール・ガスリー(63点)

2019年F1第3戦中国GP マックス・フェルスタッペン、ピエール・ガスリー
2019年F1第3戦中国GP マックス・フェルスタッペン、ピエール・ガスリー

 メルセデス開幕9連勝を止めたレッドブル・ホンダのフェルスタッペン。いまや完全なるチームリーダー、完璧なエースだ。この環境は1990年代中期の『ベネトン/ミハエル・シューマッハー』、2000年代前後の『フェラーリ/シューマッハー』と同じように見える。

 この環境のなかでガスリーは“ナンバー2”を意識せざるを得ず、重圧感を抱え込むようになっていった。そのきっかけが開幕前バルセロナテスト、2月19日(DAY2)と28日(DAY7)にクラッシュ。担当した4日間に2度、それでチームの開発プログラムは狂った。

 最初のクラッシュは12コーナー。中速エリアのここは特有の横・斜め風を受ける緩い登りで、ダイナミック・ダウンフォースのバランスによってコントロールがシビアになる。

 レッドブルRB15で走る初日のガスリーは入口で乱れ、そのまま出口でクラッシュ。彼のミスだがフェルスタッペンも指摘していたように、初試走段階のRB15は「ダウンフォース不足が低中速コーナーで顕著」だった。しかし、加入したばかりの彼はそうは言えない立場だ。

 次のクラッシュは高速9コーナー。ワイドな進入ラインで左フロント・タイヤがコースからはみ出たとたん、制御できずに大破。スペアパーツなどまだ充分ではなく、エースが担当した翌日の最終テストは中途半端な状況で終えることになった。

 ビッグチームに昇格した若いドライバーとしてこの“最悪デビュー”に、ガスリーは落ち込んだ。1年前ブレンドン・ハートレーと組んでいたときとは別人のように変わった(昨年は幸先よく第2戦バーレーンGPに4位している)。

 スランプから立ち直りかけたモナコGPでは最速ラップをマーク。だがひとつ年下のエースは第9戦オーストリアGPに勝ち、ガスリーは周回遅れ。レッドブルでなくてもどのチームであろうと決断すべきタイミングが迫り、8月12日に発表された。

 後半戦もフェルスタッペンの“ナンバー2”でいるより重圧から解放されるトロロッソに戻し、スランプ脱出の機会を与える配慮は今後の彼のためでもある。ガスリー自身が“解雇”ではなく、ポジティブに“転進”ととらえれば後半戦にスランプ脱出も……。

 ベルギーGPからの9レース、ボッタスとルクレールとガスリーたちには新たなシーズンに向かう気概でくじけずに、チームメイト対決に向かってもらいたい。


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