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F1 ニュース

投稿日: 2021.06.17 15:06
更新日: 2021.06.17 16:17

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回】難コースで攻めるためのタイヤ配分と、疑問が残るFIAの取り締まり

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回】難コースで攻めるためのタイヤ配分と、疑問が残るFIAの取り締まり

 FP3では通常の場合ソフトを2セット使いますが、ウチはタイヤの使い方に関して試したいことがあったので3セット使いました(ミックは新品2セットと、金曜日に使ったユーズドを合わせて計3セット)。なるべく多くのタイヤを使って、新人ふたりをできるだけ走らせて予選練習をさせることも目的ですが、これもQ1のことしか考えなくていいからできることです。

 そのQ1では当初は3周走ってタイムを計測し、一度ピットに戻り、再度同様に3周走るという計画でした。ここは黄旗が出る可能性が高く、とにかくラップタイムを出しておくというのが重要なので早くコースに出て行きたかったのですが、最初のランでは結局アウトラップで渋滞の真ん中にはまってしまい、1周目のアタックを始めた段階で予定より20秒遅れていました。

 そこで3周目、最後のアタックラップは諦めよう(時間が足りないので)と思っていた矢先にストロールのクラッシュで赤旗が出ました。僕たちは事前に、もし残り14分の時点で赤旗が出たら再開後に2ランできるし、残り11分だったら1ランだと考えており、赤旗が出たのが残り14分1秒のところだったので、迷わずプランを変更しました。

 ここでニキータが新品ソフトを履かなかったのは、FP3で新品を3セット使ったので、Q1では2セットしか持っていなかったからです。それでもこの時のタイムは1分44秒281で、1分44秒254のミックとあまり変わらなかったのでよくやってくれたと思います。2回目の赤旗の後もニキータはミックより0.5秒ほど速かったのですが、最終コーナーで突っ込みすぎてしまい大きくタイムロスをしました。もしそれがなければ1分43秒6くらいを計測できたはずです。それでもウイリアムズとは0.5秒離れているけれど、新人ドライバーにとっては難しいこのコースでそれくらいのタイムを出せていたら、それほど悪い結果ではなかったと思います。

ニキータ・マゼピン(ハース)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ニキータ・マゼピン(ハース)

 レースは予定どおりソフトとハードを使い、ソフトのパフォーマンスが落ちてきたら早めにピットインする予定でした。結局ミックが8周目、ニキータが9周目にピットインしましたが、トラフィックのことを考えるともう1周早くてもよかったです。というのもニキータはインラップで、先にピットインしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)などに抜かれてタイムロスがあったので、本当はそれを避けたかったです。

 30周目にはストロールのクラッシュがあり、この時点でハードで最後まで走ることは可能でした。でも何かしないとウイリアムズの前には出られないし、失うものもなかったので、ソフトに交換して再スタートでチャンスを伺うことにしました。ただこのピットストップでミックの左フロントタイヤ交換がうまくいかず、かなりタイムをロスをしてしました。

 よってミックはレース再開時に隊列に追いつくことができず、タイヤ交換の狙いだった再スタートでの追い抜きの機会を潰してしまいました。それに加えて、前のクルマに追いつこうとひとりプッシュして走っていたのでタイヤが傷み、結果的に6周ちょっと走った段階でタイムが大幅に落ちてしまいました。後方ではニキータも同じ状況だったので、ふたりとももう一度タイヤ交換するハメになったしまいました。ここら辺りは今回の反省点です。

 残り3周でフェルスタッペンのクラッシュで赤旗中断となりました。ここではソフトタイヤを履き、再スタート後はニキータがターン3でミックをオーバーテイク。そこまではよかったのですが、最後にピットストレートでミックに幅寄せしたことは褒められません。レース後にギュンター(シュタイナー/チーム代表)と一緒にニキータに話をして、ニキータはミックにもチームにも謝りました。

 とはいえ、なんとか荒れたレースを走り切り、13位でミックが完走したので、今までのベストが14位だったウイリアムズを上回りコンストラクターズランキングで9位に上がりました。もちろん、ポイントも獲れていない状況で喜ぶことはできませんが、今年のチーム状況を考えればこれは重要なことなので、素直に受け取っています。

ミック・シューマッハー(ハース)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ミック・シューマッハー(ハース)

■減速が不十分だったドライバーをまたも見逃したFIA

 また今回のレース中にダブルイエローが振られていた際に、十分な減速をしなかったドライバーが大勢いたので、ギュンターがレース後に正式に抗議するかどうかをマイケル・マシ(FIAレースディレクター)と議論しました。

 フリー走行や予選では、もしダブルイエローが振られた場合はすぐにラップを中断しなければいけないのですが、レースではそのような規則はありません。それがグレーなところで、2019年のブラジルGPではカルロス・サインツ(当時マクラーレン)がダブルイエロー下でDRSを使いました。今回はダブルイエローが振られていた時に多くのドライバーが減速せず、問題の区間で通過速度が通常時と比べて0.1秒しか変わらなかったドライバーが4人いたので、それでは減速したとは言えないのではないかと主張しました。

 ところがマシは「全員を罰するのはよくない」「それではレースができない」と言うんです。しかしデータを見れば0.1秒しか減速していないドライバーが4人だというのは明白で、全員ではありません。事実を見て、どうすれば安全面を優先して、的確にペナルティを出せるかを考えるべきです。きちんと細かいところに目を向けて、事実に基づいて建設的に話をするべきだと思いますが、今回の件では残念ながら水掛け論になっていた感があります。

小松礼雄(ハース エンジニアリングディレクター)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP 小松礼雄(ハース エンジニアリングディレクター)
ミック・シューマッハー(ハース)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ミック・シューマッハー(ハース)
ニキータ・マゼピン(ハース)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ニキータ・マゼピン(ハース)


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