【全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦/オートポリス】
大会直前情報
1シーズンをカバーする1スペックのタイヤ開発
多くのモータースポーツカテゴリーではプロモーターがタイヤ供給メーカーを指定し、一社供給の形をとっています。全日本スーパーフォーミュラ選手権も同様で、横浜ゴムは2016年から継続してタイヤ供給を続けています。
当初は、ソフトコンパウンドとミディアムコンパウンド、2種類のドライタイヤを供給するなど、“ワンメイク”ではあるものの、戦略の幅を広げバトルシーンをより多く生み出せるように数種類のタイヤを用意していましたが、コロナ禍で開催された2020年シーズンには1スペックになりました。そして、2023年からは、原材料の一部に再生可能原料・リサイクル原料(以下、再生可能・リサイクル原料)を使用したタイヤを供給し、今シーズンでは、その比率が約46%※1となっています。
供給するタイヤはドライ用・ウェット用ともにシーズンを通してそれぞれ1スペック。その1スペックで、凍えるような開幕戦や最終戦も、暑さでうだるような真夏の戦いも、どのようなレースにおいてもドライバーが安全に、かつ魅力的なバトルを繰り広げるために安定して性能を発揮するタイヤを供給しなくてはなりません。そのためには温度域の広いタイヤを開発する必要がありますが、たとえばキャップトレッドでは各温度域で硬さをできるだけ最適化できて、摩擦力を向上させる材料を加えたり、タイヤの構造面で言えば、発熱がコントロールされて、コンパウンドの特性を活かしやすくする構造を探し、開発していきます。再生可能・リサイクル原料をできるだけ高い比率で採用しながらも、高いパフォーマンスをフルシーズン1スペックで両立させるタイヤ開発は難易度の高いものでした。
今シーズンの開幕戦は3月。気温は10度、路面温度は15度を下回るような走行時間もありました。スーパーフォーミュラに供給しているタイヤは、15~50度という路面温度で使用できることを想定して作っています。ただし、最大限のパフォーマンスを引き出せる最適な温度レンジは20~40度程度を想定しており、開幕戦はその想定を下回る環境での戦いとなりました。そのためタイヤをウォームアップさせるのが難しく狙ったグリップが発揮されなかったり、無理に走ると表面にグレイニングが発生しタイヤを痛めてしまう一因ともなってしまいますが、国内トップフォーミュラを戦うドライバーたちはタイヤの特性を理解し、そのパフォーマンスをしっかりと出してくれました。
※1ドライ・ウェット用タイヤの平均値
今回のオートポリス大会はラウンド5で既にシーズンの中盤に入ります。今週末は雨の予報が出ていますが、この先は大会ごとに徐々に気温が高くなっていきます。この1スペックタイヤを使って、ドライバーたちが安全にレースを戦い抜き、素晴らしい戦いを見せてくれることを願っています。
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