GP2にステップアップし、F1チームのリザーブドライバーを務めるようになってからは、拠点をフランスに戻した――家族や友達と過ごす時間を、少しでも確保するために。

 エキップ・ド・フランスでもレッドブルでも、ライバルたちは常に身近にいた。そこで勝ち抜いていくために必要なのは、常日頃から競争を意識しつつ、過剰なライバル意識で自らを追い詰めないことだ。誰かに追い越されてもそれを良い刺激と捉えて冷静に思考できる、精神的な強さが必須だ。ライバル=仲間。その存在を自らの成長に活かす構図は、オリンピックスポーツのナショナルチームに似ている。

「トロロッソがダニール(クビアト)の残留を決めたときにはショックだったよ。でも、僕らはみんな同世代だし、けっこう仲がいいんだ。カルロス(サインツ)やダニールとは09年に、マックス(フェルスタッペン)とも10年にカートで一緒に走った。だから彼らのことはよく知っているし、友達だよ。もちろん、レッドブルの中ではダニールやカルロスとの間に小さなライバル意識がある。でも、彼らもF1に進む前には“誰かのポジションを奪わなきゃいけない”という、今の僕の立場にいたわけだから。ライバル意識があるのは当然。でも、いい関係を築けていると思う」

ピエール・ガスリー
決勝での強さもさることながら、予選では時折ライバルが驚くタイムをマークすることも。

 サーキットだけではない。トレーニングや合宿でも、一緒に過ごすのが育成プログラム――その仲間を、ガスリーは迷わず“友達”と表現する。

「FFSAのみんなとも、すごく仲がいい。ノルマン・ナトー、アルチュール・ピック、アントワーヌ・ユベール……」

 サーキットレースの“エキップ・ド・フランス”の仲間の名前が次々に挙がった。

 カートにはイバン・ミューラー、サーキットレースにはジャン・アレジ、ラリーにはセバスチャン・ローブという“キャプテン”がいて、トレーニングを共にしたり、的確なアドバイスを与えてくれる。

「僕のキャプテンはジャンだ。トレーニングも一緒にするし、すごくいい関係だよ。息子のジュリアーノがGP3で走っているから、去年はサーキットでも頻繁に会うことができた。ジャンが僕にくれたアドバイスは『今のままの努力を続けて、自分自身に集中しろ』ってことだったね。『F1は簡単な世界じゃないし、受け入れがたいことだってしばしば起こる。でも戦い続けなきゃいけない。このまま続ければ、到達できる大きなチャンスがあるんだから』って。ジャンはいつも、こんなふうに僕を励ましてくれるんだ」

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