ハミルトンに科せられたふたつ目のペナルティは何なのか。

「ひとつ目の違反は、スタート練習位置に関してのもので、これはレースディレクターズイベントノートに記されている。ふたつ目の違反は、ピット出口を一定の速度で走行しなければならないというもので、これはスポーティングレギュレーションの第36条1項に規定されている。ピット出口とは、ピットレーン出口の白線から(第2)セーフティカーラインまで定義されている」

 これにより、ハミルトンには合計10秒のタイムペナルティが与えられたが、当初は、ハミルトンにはタイムペナルティと共にペナルティポイントも1点ずつ合計2点科されていた。

2020年F1第10戦ロシアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年F1第10戦ロシアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 しかしレース後、スチュワードは、ハミルトンがスタート練習を禁止された場所で行う際にチームが指示を与えたとの報告をメルセデスから受け、その事実を無線で確認できたとして、ハミルトンへのペナルティポイントを取り消し、チームに対して2万5000ユーロ(約300万円)の罰金を科すという決定を下した。

 この決定の裏にどのような背景があったのか。

「レース後、メルセデスのスタッフとカーナンバー44号車のドライバーがスチュワードを訪れ、説明を行った。そして、チームが異なる位置でのスタート練習を行うことを最終的に許可したことを認めた」

「それを踏まえたうえで、スチュワードは、(ドライバーにペナルティポイントを与えることは)不適切であると考え、両方のペナルティポイントを取り消し、指示を出したチームに2万5000ユーロの罰金を科した」

「確かにマシンに乗っていたのはドライバーで、彼が実際にスタート練習していた。しかし、その時点でその指示を彼に出したのはチームであり、スチュワードは決定を修正するのがふさわしいと考えた」

 2点のペナルティポイントを科すという決定が取り消される前、ハミルトンは「だれかが僕を止めようとしている」と発言したことについて、マシは、ドライバーとの話し合いもいとわないと明言した。

「私の立場いえば、それは非常にシンプルだ。ルイスが(我々に)何か不満があり、言いたいことがあれば、私は以前にすべてのドライバーにも言ってきたように、我々の扉は常に開いている。ドライバーと話し合うを行うことを私はいとわない」

「ただし、スチュワードは別だ。独立した司法機関なので、ルイス・ハミルトンであれ、ほかの19人のドライバーであれ、許可なく自由に出入りすることはできない。それは規制違反が発生した場合、彼らがすべての重要な要素を考慮に入れて、状況に応じて公平かつ公正に裁定しなければならないからだ」

2019年F1アゼルバイジャンGP マイケル・マシ(FIAレースディレクター)
2019年F1アゼルバイジャンGP FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシ。2019年の開幕戦直前に亡くなったチャーリー・ホワイティングの後任として就任した

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