リスタート後、ストレートの速さを活かしアルピーヌ36号車のラピエールが一貴に襲い掛かる。5時間37分経過時点で、ラピエールが2番手に浮上。ラピエールはファステストをマークしながらトップの7号車可夢偉へと迫っていくが、ピットへと向かい一時戦線離脱となる。
その後残り2時間前後のところでトヨタ2台が相次いでピットに向かい、それぞれロペス、ブエミへと最後のドライバー交代とタイヤ交換を済ませると、アルピーヌが再び先行する。この時点でもトヨタの2台にはピットタイミングに2周の差があった。
ここで再び8号車は7号車の直前でピットアウトして逆転に成功するが、数周後にはポジションを入れ替え、7号車が先行する形を採る。
レースは6時間を経過。アルピーヌ36号車は残り2回のピットストップが必要であるのに対し、トヨタは残り1回は確実、加えて燃料スプラッシュのためのピットが必要かどうか、という状況に。トヨタ2台の中では、序盤から燃料をセーブし、7号車に対してピットタイミングじりじりと伸ばしていた8号車の方が、終盤に向けては優位な状況に立っていた。
6時間31分でアルピーヌはピットへと向かい、アンドレ・ネグラオへと交代。トヨタは6時間53分で7号車、7時間2分で8号車をピットに呼び戻し、いずれも給油のみでコースへ送り出す。
これでセーフティカーやFCYの介入がなければ、トップ3台ではトヨタ8号車のみがフィニッシュまで走り切れることが明らかとなった。
7時間20分経過時点で、トップ7号車から3番手36号車までのギャップは約14秒。ここでアルピーヌ36号車が最後のピットに飛び込み、両車の差は1分19秒にまで拡大する。この数字が、7号車にとって“スプラッシュ分”のマージンになるかと思われた。
ところが、予想外の出来事が。LMP2クラスのハイクラス・レーシング20号車がコース上でストップしてしまったのだ。
これによってFCYが導入されると、トップのトヨタ7号車はこのタイミングでスプラッシュのためのピットインを決断。コース上の車列が速度を落とすなか作業を終えたロペスは、8号車ブエミの後方わずか約4秒のところでコースへ復帰することに成功する。
このFCY中のピットにより、スプラッシュを敢行しながらも勝負権を失わずに済んだ7号車ロペスは、残り25分でFCYが解除された後にみるみるブエミとの差を詰めていく。するとトヨタはペースのいい7号車をいったんは先行させるオーダーを出す。
だが、8号車ブエミもロペスから離れずについていくと、再びトヨタの2台はポジションを入れ替え、残り11分というタイミングで8号車ブエミがトップに。結局、この順位のままチェッカーとなった。フィニッシュラインでの8号車と7号車との差は、わずか1.8秒だった。
なお、パルクフェルメでTVインタビューに答えたブエミは、最終盤の順位の入れ替えについて「チーム内部の決めごと」とコメントしている。
8号車はこれにより開幕戦スパから連勝となり、選手権でのリードを広げた。3位にはトップ2台と同一周回でアルピーヌ36号車が入り、修復後も走行を続けたグリッケンハウスの709号車は、54周おくれの総合30位でチェッカーを受けている。