3時間経過時点では予選2番手だった77号車フォード・マスタングGT3(プロトン・コンペティション)がリードしていたLMGT3クラス。リスタートが切られるとすぐ、95号車、59号車というマクラーレンの2台が、77号車フォードの後ろに浮上してくる。
さらにマクラーレン勢2台の背後には、60号車メルセデスAMG GT3 Evo(アイアン・リンクス)がつける展開に。
一方、好走を見せていた46号車BMW M4 GT3(BMW Mチーム WRT)のバレンティーノ・ロッシには、VSC時の違反でドライブスルーペナルティが科せられた。
4時間目から5時間目に入るところで導入されたVSC〜SCのタイミングで、2番手95号車には佐藤万璃音が乗り込んだ。リスタート後には、92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ファースト・フォーム)のリヒャルト・リエツが3番手と表彰台圏内へと浮上してくる。
残り1時間18分のリスタートでは77号車フォードのベン・タックが挙動を乱し、佐藤の95号車マクラーレンが首位に立つ。しかしバックストレートではサイド・バイ・サイドになると、ターン12に向けたブレーキングではマシンのサイド同士で接触。ターン13でも再度接触ののち、77号車のタックが抜き返して再度トップを奪った。
残り1時間4分で迎えたリスタート直後には、54号車フェラーリ296 GT3のダビデ・リゴンが躍動。59号車、95号車のマクラーレン勢を相次いでパスして2番手へと浮上していった。
首位77号車フォードから最後のルーティンピットが始まると、残り40分、92号車ポルシェが59号車マクラーレンをかわし、3番手へ。
そして首位を目指す54号車フェラーリは残り35分でピットインすると、スリックタイヤへと交換。同タイミングでピットに入った59号車マクラーレンもスリックでコースへと復帰していく。1周遅れてピットへと向かった95号車マクラーレンの佐藤はスリックを選ぶが、ここで同時ピットの92号車ポルシェに逆転を許してしまう。
残り30分を前に導入されたFCYの時点で、首位はウエットタイヤの77号車フォード。その後ろには92号車ポルシェが浮上し、88号車フォード、54号車フェラーリと続き、95号車マクラーレンの佐藤は5番手にまで順位を下げてしまった。さらにリスタート直後には、21号車フェラーリが佐藤をパスしていった。
残り10分、ウエットを履く首位77号車フォードと2番手ポルシェはテール・トゥ・ノーズに。しかし、ここに追いついてきた54号車フェラーリが最終盤にケタ違いのペースを見せつける。最終コーナーで2番手に浮上した54号車のリゴンはそのまま77号車フォードに襲いかかるが、ターン11では両者接触。互いに引かない2台だったが、次のターン12でフォードを攻略、残り5分というタイミングで首位へと躍り出た54号車フェラーリが、そのままフィニッシュラインまで逃げ切った。
夕陽が差し、急速に路面が回復するなかでは各車のスピードが大きく変化するなか、このトップ争いの背後には95号車マクラーレンの佐藤がポジションを急激に回復。ターン16〜17で77号車フォード、92号車ポルシェをアウト側からまとめてパスして2番手を奪い返す好走を見せる。さらには、46号車BMWのケルビン・ファン・デル・リンデも3番手へと浮上する。
最終ラップ、46号車BMWのファン・デル・リンデは佐藤のテールに迫るが、佐藤が逃げ切り2番手でチェッカーを受けた。
チェッカー後に1周してピットレーンに戻り、勝利を祝っていた54号車フェラーリ勢だったが、77号車フォードとのターン11での接触について5秒加算のペナルティが科されることが通告される。これにより、95号車マクラーレンが繰り上がりで勝利を手にすることとなった。2024年からフル参戦を開始した佐藤にとっては、嬉しいWEC初優勝。表彰台は2024年ブラジル戦以来の獲得となった。2位に46号車BMWが繰り上がり、トップでチェッカーを受けた54号車フェラーリは3位へ降格となった。
次戦のWECは、いよいよ日本戦。静岡県の富士スピードウェイで9月26〜28日に行われる。


