──国内外でさまざまなレースに参戦し、ヨコハマ以外のタイヤメーカーも経験してきたと思います。そのなかで、ヨコハマタイヤが持つ強みはどこにあると感じていますか?
サッシャ:僕はこれまで、6メーカーのタイヤを経験してきた。正直に言って、いまのところベストタイヤはヨコハマだ。とくに、スーパーフォーミュラでは本当に素晴らしいよ。
海外のレース経験者、たとえばFIA F3やFIA F2を経験したドライバーが日本に来ると、みんな日本のタイヤのことばかり話すんだ。もちろんクルマも素晴らしいが、みんな「タイヤが最高だ、最高だ」と言っている。それくらい、本当に素晴らしい。
僕の感覚でヨーロッパのレースでは、ニュータイヤで一度プッシュアップすれば、それでグリップは終わりになってしまう。でも、ここ(スーパーフォーミュラ)では、ずっとプッシュし続けられるのでとても良いね。
だから、日本のレースを経験して海外に挑戦しているドライバーが日本の感覚のまま向こうで走ろうとすると、すごく難しく感じると思う。なぜなら、日本ではあらゆるカテゴリーで素晴らしいタイヤを使っているからね。
──とくに、どのあたりが違うと感じますか?
サッシャ:全体的に高いグリップには、いつも驚かされる。スーパーフォーミュラでは、決勝ペースは予選と比べても1.5秒~2秒落ちるくらいで、すごく安定していると思う。これがヨーロッパのF1やF2だと、予選から決勝にかけて(ラップタイムが)4秒ほど落ちることもある。この差は大きいよね。
■「グリップ力の犠牲なし」で達成した環境性能
──現在、スーパーフォーミュラで使用されているヨコハマタイヤには、再生可能・リサイクル原料も使用されています。
サッシャ:世界が目指している環境問題に取り組んでいることは、すごく良いことだと思う。少なくとも僕自身は、2022年のタイヤと比べて、性能面で大きな違いを感じていない。
つまりヨコハマは、同じグリップ力を持ちながら、より環境負荷の少ないタイヤを作ることに成功した。一般的に、よりエコなタイヤを作ろうとすると、コンパウンドが硬くなってグリップが低下することになるだろう。だけど、ヨコハマのタイヤは非常に良いパフォーマンスを維持することができている。
──最後に、サッシャ選手の今後のキャリアにおける目標を教えてください。
サッシャ:もちろん、将来は世界の舞台で戦いたいという夢はあるけど、いまは37号車をさらに良くするために良い仕事をして、良い結果を出すように努めている。まずは37号車で勝つことだ。
最初に話したとおり、この2~3年は非常に厳しい戦いが続いた。だから、第8戦SUGOは僕らにとって非常にポジティブな結果だった。でも、まだ改善が必要だ。来年以降はどうなるか、まだ分からない。今年の終わりまでにどれだけの成果を出せるかによって、決まると思うよ。


