グッドイヤーは現在、ACOおよびFIAとともに開幕戦のスパにおけるデータを検証し、WECの残りのシーズンに対して(LMP2タイヤに)改良を加える必要があるかどうかを判断しているという。
ル・マン・ハイパーカー(LMH)を走らせるトヨタは、スパのレースで勝利を飾ったあと、プロトタイプクラス間のギャップにさらなる注意を払う必要がある、と述べていた。優勝したトヨタGR010ハイブリッドは、LMP2クラス優勝のユナイテッド・オートスポーツに1周差をつけフィニッシュしたが、これをラップダウンするのにレースの半分以上を費やしていた。
WECの上層部はスパにおいて、LMP2に対するさらなる性能抑制を今年はしないことを明言し、階層化のプロセスの焦点をハイパーカーへと移している。
ただしマクレガーによれば、グッドイヤーとWECは、それでもなお緊密なパートナーシップの一環として、LMP2タイヤを最適化する方法を評価し続ける準備ができているという。
「我々はタイヤに関して多くの経験を積んでおり、どこに“ウインドウ”があるのかを知っている」とマクレガー。
「だからこそ、我々は(昨年)12月にテストをしたスペックのひとつである、この“Cスペック”タイヤへと回帰したのだ」
「我々はこのレンジの範囲内およびその周辺に、いくつかのコンパウンドを持っている。だから彼ら(WEC)が『(ラップタイム的にLMP2が)いるべきポイントはここだ』と指定するなら、我々はそれについてより詳細な精査を進めることができる」
「ブーべのこれまでのコメントは、『スパのレース後にすべてをレビューする』とすでに話し合った、ということである。スパはハイパーカーにとって初めてのレースであり、抑制されたLMP2マシンがどこまでいけるのか、我々が将来どの方向に進むべきかについて、完全に理解できる機会だった」
「我々は単に何かを提示したり、実行しようとしていることを伝えるだけの存在ではない。真のパートナーシップという面では、WECと一緒にその決定を下す必要がある」
「それは彼らが望むもの、彼らが必要とするものに合ったタイヤでなければいけないし、残りのシーズンのどこかにフィットするものだろう」
マクレガーはまた、いくつかの変更が加えられたLMP2クラスにおいて今季から役割が拡大するなかで、グッドイヤーのアプローチは敏捷性を示すことができた、と信じている。
以前に使用されていたコンパウンドと新しい構造を組み合わせた2021年仕様のタイヤは、3月のバルセロナにおける合同テストの後に選択された。
グッドイヤーはそのテストに3つの異なるスペックを持ち込んだが、チームの受け取り方はまちまちだった。ル・マンにおけるラップタイムで2秒、他のサーキットで1〜1.5秒ほどラップタイムが落ちるようにグリップを低下させた設計のタイヤに対し、適応するのが難しいと一部のドライバーは感じていたという。
その後の分析の結果、まったく異なるスペックが導入されることが決定され、4月下旬のスパでのプロローグテストと開幕戦でWECに投入された。
「チャレンジだったよ。だが、我々はとてもうまくやってきたと思う」とマクレガーは述べている。
「タイヤのスペックを変更しているため、少々複雑ではあった」
「バルセロナテスト後の決定事項を反映してプロローグまでに新たなスペックを用意するため、我々の製造施設とそれを支えている人々はすべてをとても素早く変更し、本当に懸命に働いてくれた」
「このことは、ACOやFIAと緊密に連携してタイヤを供給するために、そのような状況下で我々がどれほど機敏に対応できるかを示していると思う」