【スーパーフォーミュラ第8戦東北大会/スポーツランドSUGO】大会直前情報
レーシングタイヤのグリップについて
モータースポーツの世界でタイヤについて語るうえで避けて通れないのが“グリップ”の話。各チームのエンジニアやドライバーは、このグリップを如何に最適に引き出すかを考え、車両のセットアップを調整したり走り方を工夫しています。
このグリップとは何なのか。
車両が進行方向へ進むために、タイヤが地面をとらえようとする力のことを指します。タイヤの接地面がしっかりと地面をとらえる、つかむ、くっついていれば、タイヤが回転することで車両が進行方向へ進むことができます。反対に地面をとらえられなければ、タイヤが回転しても地面の上をすべるだけで、進行方向へ進む力に変えることはできません。自動車レースのスタンディングスタートや、ピットアウトしていく車両がホイールスピンをする場面がありますが、それは車両が前に進もうとする力(アクセルを踏む量)に対してグリップの力が低いため、地面をとらえられずに滑っている状態です。
タイヤの接地面はハガキ約1枚分とも言われますが、その小さな面積の4つ分で660kgもある車体を前に押し出す大きな力を引き受けていることを考えると、グリップという力の大きさを想像できるのではないでしょうか。
タイヤのトレッド面に使用されているコンパウンドは、熱を加えることで軟らかくなり(これを“溶ける”と表現されることがあります)、接地した路面の細かな凹凸に引っかかることでグリップ力を発揮します。
ヨコハマタイヤは、2017年の途中から2019年まで、ソフトタイヤとミディアムタイヤというコンパウンドの異なる2種類のタイヤを供給してきました。熱が入りやすく、比較的早くグリップ力が発揮されるのがソフトタイヤなので、短い時間でスピードを競う予選セッションなどではソフトタイヤが好まれる傾向がありますが、暑い時期には最適なタイミングよりも早くグリップが発揮されてしまい、タイムアタックのときにはすでにピークを過ぎている場合があります。
また、前述のとおりタイヤのコンパウンドは熱が加わると軟らかくなりグリップ力を発揮するため、トレッド面のゴム量は走るにつれて減っていきます。これがタイヤの消耗、摩耗と呼ばれるもので、これによる性能低下のことを“デグラデーション”と呼びますが、ソフトタイヤはミディアムタイヤと比べると早く消耗していくため、決勝レースのように長距離を走る場合には、ソフトタイヤと比べて長い時間で高い摩擦力を維持できるミディアムタイヤで走行する時間や距離を伸ばしていくのが一般的です。
スーパーフォーミュラでは2020年からはソフトタイヤ・ミディアムタイヤの2スペックに分けず、1スペックのタイヤで競うレギュレーションに変更されました。タイヤマネジメントや戦略の差によるレース展開の面白さの追求や、またタイヤ本数を減らすことで環境面でも貢献できます。このタイヤの特性をつかみ、“最適なタイミングでグリップを引き出し、如何に長くグリップを保たせることができるか”は、レースに勝つうえで必要な要素です。ぜひタイヤグリップという観点からも、このスーパーフォーミュラにご注目ください。
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