INGING MOTORSPORT
SUPER FORMULA 2025
SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING
RACE REPORT
第8戦スポーツランドSUGO
2025年8月10日(日)
決勝
天候:雨 路面:ウエット
#38 阪口晴南
決勝:5位
#39 大湯都史樹
決勝:12位
1大会1レース制で行われるスポーツランドSUGOでの第8戦。8月9日(土)に行われた公式予選では、阪口晴南が予選3番手と今季最上位につける一方、ポールポジションを狙う攻めの走りをみせた大湯都史樹は最終コーナーでクラッシュを喫し12番手と、悲喜こもごもの公式予選となったSANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING。チームは深夜までかかってクラッシュに見舞われた大湯車の修復作業を行い、しっかりと元どおりに戻してみせた。ただ、迎えた8月10日(日)の決勝日、スポーツランドSUGOは朝から細かい粒の雨が降り続いていた。
PRACTICE フリー走行
8月10日(日) 9:30~10:00 天候:雨 路面:ウエット
ベストタイム #38 阪口晴南 1分14秒186/#39 大湯都史樹 1分15秒203
予選日前日となる8月8日(金)の時点から、決勝日の8月10日(日)は終日雨となる天気予報が出ていたが、予報どおり9時30分からの決勝日フリー走行はウエットとなった。気温24度/路面温度27度というコンディションのもと始まったセッションに臨んだ阪口と大湯は、コースオープンとともに走行を開始した。
大湯は修復された車両の確認も行いながら、阪口とともに今シーズン初めて実戦で使用されるウエットタイヤも確認していった。走り出しこそ一時雨脚が強くなったが、すぐに雨はパラパラと舞う程度となり、路面コンディションは少しずつ好転していくことになった。
そんな30分間のフリー走行で12周を走り、1分14秒186というベストタイムを記録したのは阪口。順位としては6番手となった。
「ウエットコンディションで走ることができて良かったです。昨年からウエットタイヤが大きく変わっているので、その確認がメインでしたが、比較的グリップもしていますし、昨年よりも安全にレースができそうです」と昨年のSUGOで雨のなかクラッシュしていた阪口はフリー走行を振り返った。
「開発してくださった皆さんに感謝していますし、良いレースができそうです。ただライフなどが難しくなることは予想されるので、うまくマネージメントしたいですね」
一方、大湯は13周を走り1分15秒235というベストタイム。19番手でフリー走行を終えることになった。
「クルマはしっかり直っていましたし、問題はありませんでした。ただ、フィーリングは悪くないのですが、まわりのタイムが速くて、パフォーマンスがまだ見えづらいです。とはいえ予選ではありませんし、タイムばかり追いかけないようにしたいです」と大湯は決勝に向けセットアップを進めた。
RACE 決勝レース
8月10日(日) 14:20~15:35 天候:雨 路面:ウエット
ベストタイム #38 阪口晴南 1分16秒603(7L)/#39 大湯都史樹 1分16秒355(17L)
午前のフリー走行の後も、スポーツランドSUGOはどんよりとした雲がかかり、細かい雨粒が注ぎ続けていた。決勝前のレコノサンスラップではやや雨脚が強くなるシーンもあり、路面コンディションはウエット。そんななか、気温26度/路面温度28度というコンディションのもと14時20分にセーフティカースタートで決勝レースが始まった。
6周目にセーフティカーが退去し戦いの火ぶたが切って落とされたが、3番手からスタートした阪口は、フリー走行の時点でウエットタイヤのライフを心配していたとおり、レース後半を重視したセットアップを施していた。その影響もあってか、1コーナーで4番手スタートの#1 坪井翔にオーバーテイクを許し、4番手にドロップしてしまう。
さらにその後方では、決勝レースに向けて攻めのセットアップ変更を行っていた大湯が2コーナーでスピンしてしまった。オーバーステアが強く「誰が乗ってもスピンすると思います」という大湯だったが、幸い後続車両との接触やグラベルストップはなく、最後尾までドロップしてしまったもののコースに復帰した。
SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGの2台はポジションを下げてしまったが、阪口はペースもトップ3からは大きく離れているわけではなく、また大湯もオーバーステアの車両を手懐けながら、ウエットのなか追い上げを目指していった。そんななか、10周目には8番手を走っていた#64 佐藤蓮がスピン。グラベルにストップしてしまい、レースは二度目のセーフティカーランとなった。
レースは15周目にリスタートを迎え、阪口は4番手、大湯は18番手で中盤の戦いを進めていく。この間にもスピンやコースアウトが起きるなど各所でさまざまなアクシデントが起きるが、19周目には12番手を争っていた#12 三宅淳詞と#14 大嶋和也が接触。#12 三宅がクラッシュしたことで、3回目のセーフティカーランとなった。この時点で、中団グループの中にはレインタイヤを交換するドライバーが現れており、追い上げを進めていた大湯は13番手に浮上した。
レースは28周目にリスタートを迎えるが、再開後、阪口にはペースに優る#8 福住仁嶺が接近。36周目に先行を許してしまった。その後、阪口は#8 福住に仕掛けていったが、#8 福住のペースが良く、#1 坪井もオーバーテイク。阪口も#1 坪井に最後までオーバーテイクを仕掛けたものの、レースの最大延長時間になってしまうことに。阪口は5位でフィニッシュすることになった。
一方、大湯はレース後半、#20 高星明誠や#50 小出峻とバトルを展開。最後は12位でフィニッシュし、ポイント獲得はならなかった。SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGにとっては望んだ結果にはならなかったが、苦闘のなかでさまざまな糧を得ることになった。
COMMENTS
#38 阪口晴南 SENA SAKAGUCHI
「トップのペースが上がらないなかで上位は緊迫したレース展開となりましたが、僕はレース後半を重視したセットアップだったこともあり、セーフティカーラン明けなどは苦しい戦いとなりました。ただそんななかでも自分としても強くならなければと思いますし、パフォーマンスを補う力を見せなければと思うので、その点は本当に反省しています」
「チームとしては良いレースだったかもしれませんし、クルマとしては表彰台に乗るパフォーマンスはあったと思いますが、展開をうまく引き込めなかったと思います。今季最上位タイではあるものの、自分としては納得できないレースでした。今季あと4レースありますし、冷静に強いレースをするために頑張っていきたいです」
#39 大湯都史樹 TOSHIKI OYU
「決勝に向けてエンジニアと話し攻めたセットアップにしたのですが、少し攻め過ぎましたね(苦笑)。最終コーナーは毎周『走りたくない』と思ってしまうくらいシビアなセットで、オーバーステア寄りの方向に敢えて設定していたのですが、度合いを間違えていました」
「ただ、何も得ないよりも攻めていく姿勢の方が得られるものは大きいですし、結果的にタイヤのデグラデーションも大きかったのでポイントは獲れなかったですが、悪くないレースになったのではないかと思っています。これを糧にしていきたいです。チームの皆さんの頑張りでクルマを直してくださったことも感謝しています。ただ現場で直したものなので、再度しっかり見直して次戦臨みたいですね」
立川祐路 監督 YUJI TACHIKAWA
「阪口選手はレース序盤から最後まで良い戦いをしてくれていましたが、表彰台には一歩足りませんでした。ただトップ争いの集団のなかで終始戦うことができていたので、その点は良かったと思います。この経験を次戦に繋げていきたいですね」
「大湯選手については、スタート前に思い切ったセットアップ変更をしたのですが、その影響で思っていたよりもオーバーステアになってしまいました。その後はずっとクルマのバランスと格闘しながらのレースになってしまったので、苦しい戦いとなりましたが、最後までしっかりと戦い抜いてくれました」
「今週は流れがないなかだったので、次戦しっかりと仕切り直したいですね。今回も応援ありがとうございました!」

