悔しさは残るも、フリー走行トップで存在感を示す
San-Ei Gen with B-Max(チーム代表組田龍司)は、8月9~10日、スポーツランドSUGOで行われた、全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦に参戦し、小出峻選手は雨のレースを13位で完走しました。
開幕大会以来、ポイント獲得のない小出選手とチームは、年一度の東北大会を、シリーズ終盤に向けてのターニングポイントにすべく、万全の準備をして臨みました。
■第8戦予選(8月9日(土)14時~14時40分)
午前中に行われたフリー走行で、小出選手はライバル勢を抑え、自身初となるセッション・トップタイムを記録。フリー走行とはいえ、終了間際には予選さながらのアタック合戦が繰り広げられただけに、予選に向けて期待が高まりました。
しかし、好事魔多し。小出選手が丁寧にタイヤを温めアタックに入った周に、ヘアピンコーナーで右の足回りにトラブルが発生。S字カーブを曲がりきれずに縁石に乗り上げ、跳ね上がってコースサイドにストップしてしまいました。これにより予選は中断。その原因を作ったことでタイムは抹消となり、最後尾からのスタートとなりました。
■第8戦決勝(8月10日(日)14時20分~48周)
レインコンディションとなった決勝。小出選手は果敢に攻めますが、後方集団のなかで順位を上げることは難しく、チームは、22周目、セーフティカー(SC)の入ったタイミングで、状況を打開するためのタイヤ交換を敢行。小出選手は18番手でコースに復帰しました。
フレッシュなレインタイヤに交換してからは、ペースも上がり30周目には自身のベストラップをマークする走りで16番手へ。その後も36周目15番手、38周目14番手、39周目13番手と着実にポジションを上げていきました。
レースは、SCランが長かったことで、上限時間の75分を経過した48周でチェッカーとなり、小出選手は最後尾スタートから9つポジションを上げ13位でフィニッシュしました。
今大会は、結果だけ見れば、これまでと変わらない順位でしたが、そこに至る過程は大きく異なりました。フリー走行においてトップタイムを記録したことは、ドライバーとチームの存在感を示すことになり、自信につながりました。
次の大会は2カ月後、10月の富士スピードウェイです。今回の良い流れをさらに加速させ、7月の富士大会のリベンジを果たすべく、万全の準備で臨みます。
予選のトラブルについて
チームでトラブル原因を調べたところ、右フロントハブの金属疲労と思われる破断を確認しました。これは非常に稀なトラブルであり、チームとしては、当該部品についてダラーラ社から提示されている交換スパンを遵守しているのはもちろんのこと、破断した部品はその交換指定期間の1/3しか経過していないものでした。破断に至った原因については、引き続き調査をしています。
チーム監督 本山哲コメント
「クルマも含め、チーム全体としてパフォーマンスが悪かった部分を見直して、菅生入りしました。フリー走行は、その成果が早速形になりました。クルマもピンポイントではまった感じで、小出選手も良くプッシュしてくれました。トップタイムを記録できたことは、この週末で一番の収穫でした」
「決勝は最後尾スタートでしたので、あそこまで上がるのが精一杯でしたが、雨でもトップ6に入る速さは示せましたし、内容は悪くなかったと思います。次は10月の富士ですが、7月の富士とは違う、進歩した姿をお見せできると思います。リベンジしますので期待してください」
チーフエンジニア 村井寛太コメント
「富士では悩んで迷走してしまったので、開幕の鈴鹿まで立ち返って、基本的な部分について分析し直しました。その結果、今回持ち込んだセットがかなり良い感じになり、土曜日のフリー走行の間も、自分が思い描いた方向にクルマが進化していきました」
「予選のトラブルは、このタイミングか、という想いはありましたが、トラブルを完全になくすのは無理なので、自分としては常にクルマを高い状態にして、チャンスを作り続けるしかないと思っています。決勝もウエットのベースセットは悪くなかったですし、終盤のペースは前のクルマより良かったので、できれば10位に入りたかったですね。今後に向けては、もっとバトルに強いクルマを造っていかないといけないと感じました」
ドライバー 小出峻選手コメント
「土曜日の走り出しから、すごく良い感じで、結果的にフリー走行をポジション1で終え、僕たちにポテンシャルがあることを証明できたのは、この週末で一番大きな成果でした。ファンや関係者の方々の印象にも残ったと思いますし、残る富士や鈴鹿に向けても大きな一歩になりました」
「予選のトラブルで最後尾スタートになってしまい、ポイント獲得とはなりませんでしたが、ペースは良かったので、スタート順位がもっと上だったら、という悔しさは残ります。でも、他のコースでも安定して⼒を発揮できる基盤は、今大会で出来つつあるように感じています。残る富士、鈴鹿が楽しみです」
