S-GT2025 rd3 MALAYSIA Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa LC500 GT
16番手からポジションアップを図ったが、全体的にペースが上がらず
コース上での順位変動がほぼなく15位で1ポイント獲得
<気象データ>
気温:32℃、路面温度:42℃
ゴールデンウイークに富士スピードスピードウェイで開催された第2戦から約2カ月のインターバルを経て、スーパーGTの第3戦がマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットを舞台に実施された。レースウイークは、6月26日(木)の公式練習でスタートし、翌27日(金)は2回目の公式練習と予選、そして28日(土)には待望の決勝レースが行なわれた。
コロナ禍によって中断されていたスーパーGTの海外ラウンドが5年ぶり復活し、マレーシアでの開催にいたっては12年ぶりとなる。レース期間中に設けられていたスーパーGTを主催するGTAの会見では、マレーシアの運営者とは長期にわたったパートナーシップを結んでいて、2026年も継続的にマレーシア大会が開催されるようだ。
前戦の3時間レースでは9番手から追い上げを図る戦略だったLM corsaだが、緊急ピットインの影響で順位を落して15位でのチェッカーとなった。その後に鈴鹿サーキットで今大会を想定したテストが行なわれ、Syntium LMcorsa LC500 GTは第3戦の舞台となるセパン・インターナショナル・サーキットへ輸送された。
チームは6月24日(火)に同サーキットでマシンや機材を受け取り、ピットなどの準備を整えていった。走行は前述のどおり26日からスタートし周回を重ねていったが、ラップタイムは想定したようには伸びていかなかった。鈴鹿でのテストをもとに装着しているダンロップとともに第3戦に持ち込むタイヤを決定したが、想像どおりのパフォーマンスが得られなかった。今大会は決勝レースが300kmだが、練習走行の機会が多いため6セットのドライタイヤが各チームに供給されている。その中で2タイプのコンパウンドを持ち込んでいたが、ともに路面コンディションと合わせることに苦慮してしまう。
2回目の公式練習では良いところが見つかったように思えたが、予選では状況が好転することなく、予選Q1を担当した河野駿佑選手のアタックでは9番手となり予選Q2への進出を逃した。
決勝レース日となった28日は午前中からお昼過ぎまでサポートレースやセレモニーなどが行なわれ、スーパーGTのプログラムは15時10分からのウォームアップ走行で始まった。LC500 GTには吉本大樹選手が乗り込み6周を走行。最後は河野選手が2周して、決勝レース前の最終確認を行なったが、公式練習や予選と同じ症状に悩まされていた。
300kmの決勝レースは予定された16時30分(日本時間17時30分)にフォーメーションラップで始まる。スタートドライバーを務めた吉本選手は、ポジションを守り16番手で1周目のコントロールラインを通過。先行するRC F GT3をテールトゥノーズで追うが、LC500 GTと得意なコーナーが異なるため抜くことができない。3周目には自己ベストタイムをマークするがトップグループから3秒ほど離されていて、ウォームアップから状況が改善することはなかった。RC F GT3とのバトルは10周を超えるところまで続くが、12周目にパスして15番手に浮上した。
16周目になると決勝レースの走行距離の1/3が経過するタイミングで、義務化されているピットインが可能となった。16周目に1台、17周目に3台がピットレーンにマシンを進めた。吉本選手はタイヤをマネージメントした効果もあり20周目にタイヤ交換と給油、ドライバー交替を行なうためにピットに戻った。
チームはミスなくLC500 GTをコースに送り出すと、後半のスティントは河野選手がステアリングを握った。17番手でコースに復帰するとベストタイムを更新していき、24周目には2分6秒843をマーク。全車が1回目のピットインを終えた27周目には、14番手まで浮上していた。しかし先行するマシンとは18秒ほどのタイム差があり、淡々と周回を続けることになる。37周目にはGT500のマシンに抜かれる際にピックアップがタイヤについてしまい、3周ほどラップタイムを落してしまう。このタイミングで後方から追い上げてきたFERRARI 296にパスされて15番手に後退。さらに、40周目を超えると序盤にパスしたRC F GT3に迫られる。46周目には0.6秒差までギャップを縮められたが、最後は粘って50周目に15位でチェッカーを受けた。
今季からGT300クラスは15位までポイントが付与されるため1ポイントの獲得となったが、レースウイークを通してパフォーマンスを発揮することができなかった。LC500 GTがチームの元に戻ってくるのは次戦の直前となるが、マレーシアで得たデータを検証してウイークポイントを克服する対策を行なっていく。
<飯田章監督>
「決勝レースもグリップ感が薄く、ライバル勢に対して大きく遅れを取ってしまいました。ペトロナスがスポンサーに付き同社のブランドを背負って走っているつもりなので、地元で不甲斐ないレースとなり申し訳ありません。同じタイヤを使っている車両もあるなかで、特にパフォーマンスが引き出せていないところがあるので、マシンの方向性にも問題があったはずです。マシンは日本に戻るまで時間がかかりますが、今回のデータをしっかり検証して次戦に臨みたいと思います」
<吉本大樹選手>
「決勝レースも非常に厳しい展開となってしまいました。スタートを担当したのですが、先行するRC F GT3と得意なセクターが異なり抜くのに手間取り、パスしてからはペースが伸びませんでした。ソフト側のタイヤを履いていたためミニマムのタイミングでピットに入る予定でしたが、多少のマネージメントが効き20周まで伸ばせました。後半のスティントは異なるタイプのタイヤでしたが、こちらもパフォーマンスは低いままとなります。今回は武器がなく、セットアップを調整していくという状況に至りませんでした。悔しい状況が続いていますが、次戦までに現状の問題点を洗い出せればと思います」
<河野駿佑選手>
「後半のスティントを担当し、吉本選手とは異なる硬いタイプのタイヤで走りました。ニュータイヤだったのですが、路面コンディションが良くなるなかでもペースがなく苦労しました。途中でGT500のマシンに抜かれる際にピックアップを拾ってしまい、ペースが落ちたところもあり全体的に難しいレースとなりました。ただ、15位ですが最低限のポイントは獲れました。また普段は走ることのないサーキットが舞台で、我々のマシンの弱点が明確に見えたことは良かったです。次戦までにウイークポイントを改善する方法を考え、チームとともに対策を施していきたいと思います」

