2025 AUTOBACS SUPER GT Round3
開催地:セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)/5.542km
6月27日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ
6月28日(決勝)天候:曇り コースコンディション:ドライ

12年ぶりの開催、初のFR+ハイブリッドで挑んだセパン戦で今季初入賞

 2025年シーズン、第3戦の舞台はマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット。セパンでの開催は全日本GT選手権(JGTC)時代の2000年と2001年に特別戦が行われ、2002年から2013年まで(2003年は新型肺炎SARSの影響で中止)シリーズの1戦として組み込まれていた。実に12年ぶりの開催である。

 aprはかつてのセパン大会で、2007年に#101 apr MR-S(大嶋和也/石浦宏明)がポール・トゥ・ウインを果たし、表彰台に計6回登壇。チームとしては得意とするサーキットのひとつだ。しかし、当時はミッドシップレイアウトの車両だったことに加え、危険物の輸出入に関する規制でリチウムイオンバッテリーを輸送できず、ハイブリッドシステム非搭載での参戦。今回はaprにとって、FR車両のハイブリッドで初めてのセパン挑戦となった。

 コースレイアウトは低速から高速まで多様なコーナーで構成され、1〜2コーナー(パンクーラウト・シケイン)から3コーナーまで、鈴鹿のデグナーのような7〜8コーナー(クリア・カーブ)からヘアピン(ベルジャヤティオマン・コーナー)のような複合コーナーも多く、ドライバーにはリズムを保つ集中力が求められるサーキットだ。

 今大会のGT300クラスには、Aシード権を保有する17台に加え、現地枠のワイルドカードで2台、合計19台がエントリー。#31 apr LC500h GTは、オリバー・ラスムッセンと小山美姫がステアリングを握り、根本悠生がテレメトリストとしてインフォメーションの収集や分析でサポートする体制で臨んだ。

公式練習

公式練習1/18位 6月26日(木)16:30〜18:00
公式練習2/12位 6月27日(金)10:30〜11:45

 通常のレースウイークでは、予選日の午前中に公式練習、午後に予選を行い、決勝日には20分間のウォームアップ走行があって決勝が開催される。しかし、今回のセパン大会は、マレーシアの日中の酷暑を考慮して、予選と決勝は夕方(現地時間16時30分/日本時間17時30分)からのスタートとなり、また12年ぶりの開催でセパンが未経験のドライバーも多いことから、予選日前日の夕方には80分間の公式練習が追加設定された。

 その公式練習1で、31号車は海外戦では初めてとなるハイブリッドシステムの制御調整を主目的に、ドライバーと車両の習熟を進める。ラスムッセンと小山はセパン経験者だが、LC500h GTで走るのは初めてであり、aprとしてもFR車両をセパンで走らせるのは初。まずはラスムッセンがステアリングを握り、4回目のピットで小山に交代してトータル28周を走行した。

 タイヤは今回ドライ用の持ち込みが6セット。31号車は酷暑を想定して高温レンジのハードを4セット、低温側のミディアムを2セット持ち込んでいた。しかし、結果から言えば週末を通して路面温度は50℃に達せず、オプションで持ち込んだソフトの適応コンディションだった。そのため、2セットのソフトは予選と決勝に備えて温存し、公式練習1ではハードの1セットのみを使用。タイムはラスムッセンが9周目にマークした2分6秒470がベストで18位となった。

 翌日の公式練習2は小山からスタート。セパン用のセッティングは過去のバックデータをベースとしており、MRとFRという違いをアジャストする程度で十分だった。途中、小山とラスムッセンにそれぞれハードのニュータイヤを投入し、ベストタイムはラスムッセンの2分4秒455で12位。

 タイム、ポジションでは2回の公式練習とも下位に沈んだかたちだが、ミディアムタイヤを温存したためであり想定内のリザルト。31号車はプランを確実に遂行し、予選に挑むこととなった。

オリバー・ラスムッセン選手

「クルマは今回、すごく良かったと思います。公式練習のハードタイヤから予選でミディアムを履けば1.2秒は上がる計算でした。実際、FP2からQ1ではそれに近いタイムアップができたけど、あと0.4秒くらいは詰めることができたと思います。ニュータイヤのミディアムにはまだ余力があったのに、行き切ることができなかったのは心残りですね」

小山美姫選手

「アタックラップで完全にコースを塞がれてしまいました。タイヤもうまく使えていたし、マシンも決まって明らかにペースがあったので、譲ってほしかったのです。残念で、残念で、泣きたい気持ちです。なにも無ければ5、6番手だったとチームから聞いて更に落ち込みました。明日は、明日で行けと言われましたが、今夜は眠れそうにないです。でも、明日は出来る限りを尽くします!」

根本悠生選手

「スーパーGTのタイヤは、レンジやゴムが違うと結構バランスが変わってしまうほどシビアなのですが、今回持ち込んだ2種類は特性が似ていて扱いやすく、チームもドライバーもアジャストしやすかったのは助かりました。セパンはラバーが載るほどタイムの伸び代が大きく、Q2はQ1から1秒以上タイムアップするライバルがいるなかで、僕たちは0.3秒弱しか上げられなかった。前を塞がれてしまった小山選手はアンラッキーで悔しい結果となってしまいましたが、クルマのパフォーマンスとしては高いレベルにあったと思います」

金曽裕人監督

「公式練習のリザルトからは『今回ダメそう』という雰囲気に見えたと思いますが、僕たちのプランとしてはまったく心配していませんでした。Q1はラスムッセン選手がしっかりと突破してくれて、Q2の小山選手もノリノリだったのですが……。でも、前車にとってもアタックラップだったので譲ってもらうわけにはいかず、ペナルティが出たわけでもない。小山選手のセクターベストをつなげると2分2秒9になる計算で6番手にはなれたことを考えると悔しいですが、これがレースと割り切って決勝で巻き返します!」

apr LC500h GT
apr LC500h GT(O.ラスムッセン/小山美姫) 2025スーパーGT第3戦セパン

決勝レース(51周)/12位 6月28日(土)16:38〜18:26

 気温33℃、路面温度42℃というコンディションで16時30分に2周のフォーメーションラップが始まり、レースがスタート。第1スティントは小山が担当した。9番グリッドは1コーナーに対してイン側のポジションで渋滞に巻き込まれやすい。1〜3コーナーのなかで、中間加速に勝るターボ車に先行を許し、10番手にポジションを落としてしまう。

 その後は6番手から11番手までが数珠繋ぎとなる展開が続いた。小山は前車を抜きあぐねるが、後続車をしっかりと抑え込む。17周目の14コーナーでは後続車にインを突かれて並ばれてしまうが、冷静に立ち上がってオーバーテイクを許さない。18周目にはその14コーナーで前車と軽い接触があり、31号車の左フロントのブレーキダクトの一部が飛散するシーンもあったが、小山は続く最終コーナーで前車を抜き去りポジションアップ。そして翌周、ピットに入る。

 ピットではタイヤ交換と給油を行いラスムッセンに交代。ピットタイミングの違いもあってラスムッセンは13番手で走行を続ける。前車とは3秒前後の差があったが、ラップタイムは安定して速く前車とのギャップを詰めていった。しかし、11番手を走る28周目の最終コーナーでスピン。コース上に留まったためレースに復帰できたが、ここで12秒ロスして13番手に後退してしまった。

 その後は前車より1秒前後速いペースでラップを重ね、36周目にはすぐ後方につけるが、抜き難いセパン、さらにF1経験もあるロベルト・メリ・ムンタン(#6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI)の巧みなブロックラインによってなかなか抜くことができない。それでも43周目に攻略して12番手に浮上するが、11番手とはすでに12秒のギャップがあり、12位でチェッカーを受けることになった。

 スピンを喫するまではシングルフィニッシュが見えていただけに悔しい結果ではあったが、今季初入賞で4ポイントを手にすることができた。この結果をポジティブに捉え、次戦からのさらなる加算を誓う。

オリバー・ラスムッセン選手

「スピンは完全に僕のドライビングミスです。限界のときのクルマの動きと、自分が想像していたものが違ってスピンしてしまいました。コース上に留まれたものの反対方向を向いて止まってしまい、12秒もロスしてしまいました。チームのみんなに申し訳ないです。そのなかでペースがあることは実感できていて、それはポジティブな要素。次の富士が楽しみです」

小山美姫選手

「決勝はもっとポジションを上げたかったのですが、抜きづらいセパンではポジションキープにとどまってしまいました。やはり昨日の予選が非常に悔やまれます。大きなミスもなく確実に走り切れたしマシンに対してもかなり理解と慣れが出てきました。いままで嚙み合わないレースでしたが、今回はポイントも獲れたし前向きです。ここからもっと上を目指します」

根本悠生選手

「オープニングラップのスタートで抜かれてしまったのは仕方がない。あそこで無理していたらぶつかってしまうかもしれないし、小山選手は懸命な判断でした。後続からの猛追もしのぎ切って頑張っていました。ラスムッセン選手はクルマの限界でずっと走っていて、ちょっと輝きすぎちゃったというか、そのラインを少し超えてしまったのがスピンの原因だったと思います。僕としては今回、ドライバーが欲しい情報をまとめて伝えるテレメトリスト的な立場で仕事をしていましたが、週末を通しての流れは良かったと思います」

金曽裕人監督

「小山選手は『最高!』とまでは言えないが、予選も決勝も合格点の走りでした。これからが勝負の時に、ラスムッセン選手のスピンは残念でしたがプッシュした結果、ブレーキングで突っ込みすぎました。チームとしての反省点は、接近戦が続くなかで数周早くピットに入れるべきでした。実際、前後を走っていて1〜2周早くピットインしたクルマが僕たちよりも前でゴールしていますからね。マシンのパフォーマンスを生かすためにも、スーパーGTでの経験値が少ないふたりのドライバーコントロールも改善が必要。次の富士は2レース制のスプリント。時間がないなかで、僕たちのバックデータとドライバーのコメントをいかに融合させるかが一番重要だと思っています」

apr LC500h GT
apr LC500h GT(O.ラスムッセン/小山美姫) 2025スーパーGT第3戦セパン

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