【スーパーGT第5戦/鈴鹿サーキット レポート】
今シーズンから参戦するCARGUY FERRARI 296 GT3が予選2番手からの逆転で初勝利を飾る

 2025年のスーパーGT第5戦が鈴鹿サーキットで開催。昨年は台風の影響により延期され異例の12月開催となった同大会だが、今年はカレンダーどおりの8月下旬開催がかなった。富士でのスプリントレースから3週間、今回はレース距離が約300kmの通常フォーマットとなる。サクセスウエイトもふたたび搭載され、ヨコハマタイヤ勢ではGT300クラスのグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝選手/片岡龍也選手)が、搭載ウエイト最上限の100kgに到達。給油ホースの径に制限をかけるリストリクターを装着し、車両へのウエイト搭載は50kgとなっている

 8月下旬の鈴鹿サーキットは週末を通して天気に恵まれたが、その分連日猛暑に見舞われた。公式予選日はセッション中の最高気温が35度を記録。決勝日には36度を記録する猛暑日に。あちこちで様々な暑さ対策が施されるなか、コース上では火花散る戦いが予選から繰り広げられた。GT500クラスでは、リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生選手/名取鉄平選手)がQ2を担当した名取鉄平選手の好アタックで4番手。WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資選手/阪口晴南選手)もQ2に進出したものの、走路外走行でタイム不採用となり9番手となった。

 GT300クラスはCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン選手/小林利徠斗選手)のザック・オサリバン選手がQ1でグループトップタイムを奪うと、Q2では小林利徠斗選手のアタックで2番手に。今季から参戦を開始したチームにとって、初めてのフロントロウスタートとなった。また、前戦富士大会で目覚ましい活躍を見せたマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介選手/木村偉織選手)が3番手で、こちらも今季ベストグリッド獲得となった

リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平) 2025スーパーGT第5戦鈴鹿

 予選日は薄い雲に覆われる時間帯もあり、やや日差しが和らいだこともあったが、決勝日はその雲もなくなり、焼けるような日差しが降り注いだ。最高気温を記録したのは決勝レースを前に行われた20分間のウォームアップ走行の時間帯で、気温36度、路面温度は56度に達していた。直後のグリッドウォークは、走ってきた車両から発せられる熱に参加したファンの熱量も相まって、息苦しいほどの熱気に

 15時30分、いよいよ52周にわたる決勝レースがスタート。CARGUY FERRARI 296 GT3のザック・オサリバン選手は、スタート直後こそトップの車両に差を拡げられてしまうものの、5周目にセーフティカー(SC)が導入された後の、10周目のリスタートではしっかりと前に食らいつき、相手の隙を狙っていく。この相手はGT300クラスでチャンピオン経験を持つベテランで、なかなか逆転のチャンスは訪れなかったが、終始プレッシャーをかけ続けていった。

 18周を終えて、上位陣の中では最初にピットへと向かい小林選手に交代。その3周後に、CARGUY FERRARI 296 GT3よりも後ろを走っていた1台がオーバーカット作戦を成功させて小林選手の前に出てくるが、ターゲットとしていた暫定トップ車両は給油時間が長く、小林選手よりも後ろへ。CARGUY FERRARI 296 GT3はふたたび2番手からレース後半を戦っていった

 終始1秒を切るギャップの2台のバトルは、全車がピット作業を終えた35周目には名実ともにトップ争いとなる。そしてその35周目、デグナーカーブで相手のテールにぴったりと貼りついた小林選手は、続くヘアピンコーナーで相手のイン側にマシンをねじ込んでいく。サイド・バイ・サイドの戦いが続いたが、スプーンカーブの入り口で小林選手がわずかに前に出ると、そこから一気に相手を抜き去り、これでトップに浮上した。

 ここから先はぐんぐんと2番手とのギャップを拡げていき、17秒という大差をつけてチェッカー。チームにとっても、またGT参戦2年目の小林選手、デビューイヤーのオサリバン選手にとってもうれしい初優勝を達成した。

 また、予選3位からスタートしたマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号は、終盤まで表彰台圏内の3番手を死守していたが、残り僅かのところで発生したアクシデントによりフルコースイエロー(FCY)が宣言され、解除直後のシケインで後続の先行を許し4番手でチェッカー。ただレース後、上位の車両が1台車検不合格となったことから繰り上がり3位となった

 GT500クラスは、リアライズコーポレーションADVANZが13位、WedsSport ADVAN GR Supraが14位でそれぞれ完走した。

マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織) 2025スーパーGT第5戦鈴鹿

ザック・オサリバン選手(CARGUY FERRARI 296 GT3)
【今回の成績:GT300クラス優勝】

「僕たちのクルマは参戦後から常に速さがありましたが、なかなか結果につなげることができていませんでした。ですから今日の優勝は本当に素晴らしいですし、非常にうれしく思っています。僕のスティントではトップの車両にプレッシャーをかけ続けることが重要な役目で、毎周予選のような状況でしたが、最後までしっかりと走り切れたと思います」

「そこからの小林選手の走りも本当に素晴らしかったですね。彼のスティントでも最後までペースを崩さずに走れたのは、タイヤのパフォーマンスも良かったからだと思っています。残り3戦も自分たちのベストを尽くしていきます」

小林利徠斗選手(CARGUY FERRARI 296 GT3)
【今回の成績:GT300クラス優勝】

「ドライバーふたりが速く走れたことはもちろんなのですが、ピットワークなども含めたチーム力、クルマとタイヤ、その総合力が良かった結果だと思うので、本当にうれしいです。僕のスティントでは無線のトラブルでまったく状況が把握できなかったのですが、なるべく安定して速く走ることと、前にクルマがいればそれを抜いて、ひとつでも前に出ることを考えて、そこを徹底しました」

「スティントの後半でもある程度ペースが良かったのですが、まさか優勝できているとは思っていなかったので、戻ってきてからは驚きの方が大きかったです。本当にいいレースができました」

中崎敬介[横浜ゴムタイヤ製品開発本部MST開発部技術開発1グループ・リーダー]

「予選、決勝ともに予想よりさらに高い気温や路面温度だったので少し心配もありました。ただGT300のタイヤとしては夏場のレース・高い路面温度にしっかりとパフォーマンスを維持できるコンパウンドや構造開発に取り組んでいて、それがセパンあたりから良い結果も出ているので今回の上位入賞の可能性は感じていました。予選から好調だった7号車では、若いふたりのドライバーのアグレッシブな走りをサポートできて良かったと思っています」

「残り3戦は徐々に気温が下がるわけですが、開発やテストのデータを元に適切なタイヤ選択で挑みたいと思います」

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初優勝を飾った小林利徠斗とザック・オサリバン(CARGUY Ferrari 296 GT3) 2025スーパーGT第5戦鈴鹿
WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南) 2025スーパーGT第5戦鈴鹿

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