さて、今回のマクラーレン対決はピアストリがポール・トゥ・ウイン。ランド・ノリスはリタイアとなり、ふたりのタイトル争いは34ポイント差まで広がりました。フリー走行まではノリスに軍配ありかと思いましたが、Q3終盤の2セット目のアタックで、ふたりともそれぞれミス。ともに自己ベストを更新できない状況となるなか、1セット目のアタックで0.012秒先行していたピアストリがポールシッターとなりました。

 抜きにくいザントフォールトでは、ポールシッターが断然有利ですので、ピアストリの優勝は順当な結果だと思います。ノリスは運悪くマシントラブルでリタイアすることになりましたが、あのトラブルがなくともピアストリをかわすことは難しかったと感じています。

 34ポイント差は決して小さな差ではありませんが、今回のノリスのリタイアのように、何かがあればすぐに逆転する可能性はある状況です。とはいえ、ノリスにとってはレース直後に「痛い出来事だよ。25ポイント引き離されるのはつらい」とコメントしたように、大きなダメージを受ける一戦だったようです。

 そんなノリスは「気持ちをすぐにモンツァへ切り替える」ともコメントしています。次のイタリアGPはノリスが立ち直って逆境を跳ね除けられるのか否か、タイトル争いを占う意味でも見逃せない、答え合わせの一戦となるかもしれません。

2025年F1第15戦オランダGP ランド・ノリス(マクラーレン)

■イタリアGPでレッドブルが再びトップを争える可能性

 イタリアGPを次戦控えるなか、オランダGPでフェラーリは2台ともにリタイアという失意の結果となりました。特にルイス・ハミルトンは、小雨が降るなかターン3へのブレーキングでロックし、そのまま濡れた路面に足元をすくわれ、バリアにクラッシュしました。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第15戦オランダGP決勝 ルイス・ハミルトン(フェラーリ)がクラッシュ

 ちょうど、ハミルトンがバランスを崩した瞬間、右側のタイヤがホワイトライン外側のアラムコのロゴがペイント上にあったこともあり、ペイントの上だったから滑ってしまったと思う方もいらっしゃるかもしれません。通常のアスファルト路面とペイントされた路面で、雨が降った際のグリップの感じ方に違いがある可能性はあったと思います。ですが、当然滑りにくい塗料を使用していると思いますので、ペイントが直接の原因だとは思いません。ハミルトンの珍しいミスだったと感じています。

 さて、次戦イタリアGPの舞台は高速コースのモンツァです。低速コーナーでアンダーステアが出てしまう特性から苦しんでいるレッドブルが、再びトップを争える位置に戻る可能性があると私は考えています。マクラーレンに対し、レッドブルがどこまで戦いを挑むことができるか。そして、地元戦を迎えるフェラーリが、ティフォシ(フェラーリの熱狂的なファン)を前にし、どのような走りを見せるのかを楽しみにしたいですね。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第15戦オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

【プロフィール】中野信治(なかの しんじ)

1971年生まれ、大阪府出身。無限ホンダのワークスドライバーとして数々の実績を重ね、1997年にプロスト・グランプリから日本人で5人目となるF1レギュラードライバーとして参戦。その後、ミナルディ、ジョーダンとチームを移した。その後アメリカのCART、インディ500、ル・マン24時間レースなど幅広く世界主要レースに参戦。スーパーGT、スーパーフォーミュラでチームの監督を務め、現在はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS鈴鹿)のカートクラスとフォーミュラクラスにおいてエグゼクティブディレクターとして後進の育成に携わり、インターネット中継DAZNのF1解説を担当。

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