2026年F1第19戦メキシコシティGPの予選Q3は上位勢が大接戦となるなか、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)がポールポジションを獲得した。メルセデス時代の2023年第12戦ハンガリーGP以来3年ぶり、フェラーリでは加入から33戦目にして初ポール獲得となった。
「最高の気分だよ」と、満面の笑みを見せたハミルトン。
「厳しく、チャレンジングな週末だった。初日はエンジンの問題にも見舞われたしね(注:FP2走行中にコース上にストップ。ロングランの機会を失った)。でもセットアップがうまくいって、感触はずっと良かったんだ」
その言葉どおり、予選前のFP3は首位のランド・ノリス(マクラーレン)から0.4秒落ちの6番手だったのが、ハミルトンは予選Q1でいきなりトップに浮上。Q2も最初のアタックがタイム抹消され、慎重にタイムを出しに行ったラップで4番手につけた。Q3最初のアタックは、ハミルトンを凌ぐ速さを見せていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が暫定首位につけ、ハミルトンは0.4秒落ちの4番手に留まっていた。
しかし最後のアタックでハミルトンは自己ベストを0.5秒近く縮めるスーパーラップで、見事F1キャリア通算105回目となるポールポジションを獲得した。
メキシコGPの舞台アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは標高2200m以上に位置し、海抜0mの平地に比べると気圧は20〜20パーセント低い。ターボにかかる負荷はここが一番大きく、ターボラグも大きくなる。だが小径ターボを搭載するフェラーリは、より早く過給圧を高めることができる。そのため「メキシコシティはフェラーリが絶対有利」と、見られていた。
予選結果はある意味、その予想を裏付けたものと言える。ただしフロントロウのジョージ・ラッセル(メルセデス)との差は、わずか0.009秒。0.178秒差の4番手に終わったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も、スタジアム区間入り口でブレーキロックのミスがなければ、ポールポジジョン奪還もありえた。フェラーリのふたり、ラッセル、フェルスタッペンの4名は、誰がポールポジションを獲得してもおかしくない僅差の戦いだった。
当然ながら、決勝レースもかなりの接戦となるだろう。フェラーリの最大の懸念は、小径ターボゆえに最高出力が頭打ちになり、トップスピードが伸びないことだ。約1.2kmに及ぶ長いストレートのあるここでは、大きなハンデになりうる。実際、フェラーリの最高速は全区間で下位に沈んでいる。その差はせいぜい数km/hだが、ターン4手前だけは最速フェルスタッペンより12〜15km/h遅い。ここで順位を落とす恐れは、十分にありそうだ。
とはいえハミルトン、ラッセルというフロントロウの顔ぶれには、かなりのワクワク感がある。ドライバーズランキングでラッセルが暫定2位、ハミルトンが暫定3位で、両者は今回勝たないと逆転タイトル獲得の可能性が消えるからだ。一方、今回の決勝で9位以上に入れば史上最年少タイトルが決まるアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、ウイルス性疾患による体調不良が完全には治っていないのか、予選は5番手が精一杯だった(フェルスタッペンが1グリッドダウンとなるため、アントネッリは4番グリッドスタートの見込み)。
ちなみにハミルトン、ラッセルのフロントロウは、6月のバルセロナ・カタルーニャGP以来となる(この時のポールシッターはラッセル)。そして決勝レースはハミルトンが制し、ラッセルが2位表彰台。アントネッリはトラブルもあり16位に終わっている。この展開が再現されれば、アントネッリ初戴冠は次戦サンパウロGPまでお預けとなるのだが……果たして。
(取材・文 柴田久仁夫)


