FIA F2に参戦するVARは、シーズン開幕前にリッコ・シュライムーンというドライバーをFIA F2リザーブドライバーに起用すると発表した。F1を筆頭に、各地域や国のプロドライバーが参戦するトップカテゴリーにおいては、リザーブドライバーの起用は不思議ではない。
しかし、FIA F2はF1関係者からの注目度が高いとはいえ、若手が参戦する育成カテゴリーであり、リザーブドライバーの起用は異例だ。
VARチーム代表のブラッド・ジョイスは「リザーブドライバーを起用することはF1では既に定着している。このアプローチをFIA F2プログラムにも取り入れることに真の価値を見出している」と、コメントしている。
ただ、シュライムーンは2024年フォーミュラ・リージョナル・アメリカズの最高位は6位。ポイントランキングはスポット参戦のドライバーにも届かないランキング12位(フル参戦中最下位)だった。なお、同年以降のシングルシーターレースへの参戦は確認できていない。
VARはシュライムーンについて、「2025年はGTアメリカに参戦し、ロングビーチのストリートレースで2度の表彰台を獲得するなど、レース活動の幅を広げた」という文言を用いてプレスリリース内で紹介している。
ただ、その際の参戦車両はポルシェ718ケイマンGT4・RSクラブスポーツ。彼は新旧GT3車両が参加可能なSRO3クラスではなく、ジェントルマン向けハイパワー車が集うGT2クラスでもなく、GT4クラスにスポット参戦したドライバーだった。
このような経歴から、シュライムーンのFIA F2リザーブ起用を不思議に思う熱心なジュニアフォーミュラ・ウォッチャーは少なくない。とはいえ、現在のFIA F2で、たとえチーム内の肩書きとはいえ“役割”を得ることは容易でない。シュライムーンは何らかのかたちでVARにメリットをもたらしていると考えるべきだろう。
VARといえば、F1参戦を目指すアメリカの組織に協力してきた元アルピーヌF1チーム代表のオットマー・サフナウアー(アメリカ国籍)がCEOとして加入したばかり。アメリカ人ドライバーのFIA F2リザーブ起用との関係は果たして。
■「攻撃的で不必要な動き」アレクサンダー・ダンにペナルティ。FIA F2次戦で5グリッド降格
3月8日に行われた2026年FIA F2第1戦メルボルンのフィーチャーレース。序盤トップに浮上したマルティニウス・ステンスホーン(ロダン・モータースポーツ)と、2番手アレクサンダー・ダン(ロダン・モータースポーツ/アルピーヌ育成)が揃ってリタイアしたアクシデントは、ダンに接触要因があると審査委員会は判断を下した。
フィーチャーレース3周目、ホームストレートでダンがDRSを使用してステンスホーンをかわすが、その直後にダンは幅寄せするかのようにステンスホーンの前にラインを変えた。その瞬間、ステンスホーンのフロントウイングがダンのリヤと接触。2台のマシンはダメージを負ってターン1先のコースサイドにそれぞれ止まった。レースをリードしていたロダン勢が同士討ちというかたちでレースを終えることになり、チームスタッフが激昂する様子が国際映像に映し出された。
レース後、2台の接触についてドライバー、チームの代表者を召喚した上での聴取、映像確認を含む審議が行われ、審査委員会は接触要因はダンにあると判断した。審査委員会の判断内容は下記のとおりだ。
「15号車(ダン)はメインストレートで14号車(ステンスホーン)を追走し、DRSを有効化して左側から追い抜いた。15号車(ダン)は14号車(ステンスホーン)をほぼ追い抜いた時点で、右側に激しく移動した。この攻撃的で不必要な動きにより、14号車(ステンスホーン)は回避行動を余儀なくされ、接触が生じた可能性がある」
「15号車(ダン)が14号車(ステンスホーン)の前方に入った直後、14号車(ステンスホーン)は予想より早くブレーキングを開始し、その結果15号車(ダン)のリヤに衝突した。両車は接触によりリタイアした」
この判定により、ダンに対し10秒のタイムペナルティが下ることになった。ただ、ダンはフィーチャーレースをリタイアしたため、スポーティング・レギュレーションに則り、10秒のタイムペナルティは次戦フィーチャーレースでの5グリッド降格に切り替えられた。また、ダンに対してはペナルティポイント2点加算の処置も行われている。
2025年シーズン中にマクラーレンとの関係が終焉を迎え、2026年はアルピーヌ育成として心機一転のシーズンを迎えたダン。『速さはあるが、アクシデントも多い』という印象を払拭するには、まだ時間がかかりそうだ。



