デイ2の舞台は岐阜。これまではサービスパークで過ごすことが多かったので、今年は恵那に足を運んでみました。岐阜の風景はなんとのどかなことか。里山育ちの筆者にとっては馴染みやすい雰囲気でした。阿木川ダムを通過して木曽川沿いの恵那峡へ向かいます。
恵那峡ワンダーランドへ向かう道中、笠置山のステージへと向かう勝田選手と遭遇。突如前から現れたもので、慌てて助手席の同僚に撮影してもらいました。岐阜にも多くのファンが集まっていて、いくつかの交差点には集まって旗を振るファンの姿もありました。
そんなこんなで、無事に恵那峡ワンダーランドに到着。ここではタイヤフィッティングゾーン(TFZ)が設置されており、サービスパークでのミッドデイサービスの代わりに、タイヤ交換を含む簡単な整備のみを行います。
整備の時間は各車細かく管理されており、それまでは各選手インタビューに対応。こちらは、午前中に猛烈なペースで追い上げ、首位エバンスを追い詰めていたソルベルグです。降りた直後はかなり暑そうでしたが、マシンには自信が持てている様子で答えていました。
実は昨年「ソルベルグのセットアップはかなり変わっている」とWRC2のライバル複数名から聞いていたので、今回のセットの方向性を聞いてみたところ「僕はソフトなクルマが好みで、今回もその方向にした。僕は快適に乗れるマシンが好きなんだ」と回答。一方、オジエのマシンは回頭性の良い印象だが、もしオジエのセットに乗ったらどう感じるだろう?と問うと、「ナーバスすぎて僕には乗れないと思う」とのこと。
試しにRally.TVのオンボード映像で、SS8『恵那1』のソルベルグとオジエの映像を見比べてみると、ソルベルグのクルマは柔らかい足で路面を蹴りながらコーナーを曲がっていき、狙ったラインをトレースしながら進んでいく雰囲気。一方オジエのクルマはとにかく向きが変わりやすく、おつりでリヤが出る分も腕でコントロールしている感じ。ステアのきっかけで一気に顔が振れる雰囲気は確かに「ナーバス」にも見える。
同じステージの攻略でも、走らせ方にここまで差が出るものなのかと驚きましたが、これも世界中のあらゆるコンディションで走るラリーならではでしょうか。タイムはソルベルグの方が1.0秒速かったですね。TFZには父ペターも駆けつけて、マシンの自信やタイヤの感触を綿密に相談していました。
こちらは整備中の様子。金属の柵で仕切られたコンパクトなスペースで各車作業し、終了と同時に午後のステージへ出発していきます。






午後、我々は『恵那2』のステージへ向かいました。1ファンとして同じエリアから観戦です。開けた斜面から、峠を登っていくマシンの姿を観ることができます。大型ディスプレイを備えたトラックも配備されており、恵那に来る前のステージの様子も確認可能。実際のマシンが近づいてくると、会場スタッフの手でサウンドがミュートされ、ラリーマシンの走行音が峠にこだまします。





実際に見えたマシンの雰囲気はこのような感じ。目の前をすごい速度で通り過ぎる観戦をイメージしていましたが、1台につき20秒ほどアタックを目の前で感じることができ、思ったよりも長くマシンの姿を見られました。それぞれのドライバーごとにマシンの曲げ方が違ったり、目前で技巧を実感できるスポットでもありましたね。




全車通過後、急いで豊田スタジアムのサービスパークへ。ちょうど我々がスタジアムに着くころ、レッカー車に載ったソルベルグの99号車とすれ違ったのでガレージを覗くと、悲痛にも右リヤタイヤがあらぬ方向を向いておりました。豊田章男チームオーナーも言葉をかけ、ヤリ-マティ・ラトバラ代表、ユハ・カンクネン代表代行とともにソルベルグを励ましていました。


■5月31日(日):競技最終日、4日間の激戦を終えた各選手が見せた表情
気づけばあっという間に最終日。ここまでくれば、クルマのナビを操作するときに手が自ずと『豊田スタジアム行』を設定するくらいにはラリージャパンモードに仕上がってきます。
ちょっとこの混み具合はなかなかのモノ……と思い、この日は早めにお昼ご飯を買い出しへ。ラリージャパンは豊富な出店をローラーするのが醍醐味。今年はたこ焼きに焼きそば、牛串などを満喫しました。
日曜日は地元のご家族の来場が多かった様子。ラジコンからピット作業体験、会場内のスタンプラリーコンテンツ『ラリー大学』も大人気でした。


自分も幼少期に父の手ほどきでタイヤ交換を体験し、自信を感じた思い出が蘇りました



※ファン本人の掲載許可確認済み
この日は残る6本のステージが比較的コンパクトにまとまっている行程だったため、あっという間に最終ステージを終えたマシンたちが返ってきました。まずはラリー2勢からご帰宅です。


首位争いが2.8秒差で迎えた最終パワーステージでは、猛アタックで逆転も見えたアレハンドロ・カチョン(トヨタGRヤリス・ラリー2)が限界を超えてスピンを喫し、ニコライ・グリアジン(ランチア・イプシロン・ラリー2 HFインテグラーレ)が2年ぶりのラリージャパン勝利を果たしました。




ホイールとタイヤサイドにキズがあり、こちらもカチョン同様にクラッシュギリギリで攻めていたことが分かる
続いてラリー1勢も無事にフィニッシュ。今年もトヨタ勢の上位独占となって完勝ムードの一方、ライバルの悔しげな表情も、ホッとした表情も印象的でした。

ヒョンデのi20 Nラリー1は今季ターマックで苦戦しており、トヨタ勢に太刀打ちできない悔しさをメディアペンで度々語っていた

アームがストロングだったので、すかさずシャッターを切った

勝田選手も無事に戻り、総合4位フィニッシュ。日曜日はスーパーサンデー2位、パワーステージ2番手タイムとボーナスポイントを多く確保し、「金曜日のパンクから考えれば、悪くない挽回」と振り返りましたが、多くの地元ファンへは「感謝とともに申し訳なく思う気持ち」があると話し、母国ラリー制覇の夢は来年に持ち越しとなりました。思えば元王者カッレ・ロバンペラも、地元ラリー・フィンランドでの勝利までに2度も大きなクラッシュがありましたし、取材陣としても、母国戦制覇がいかに至難の業なのかを実感させられる2026年大会となりました。
一方、コドライバーのアーロン・ジョンストンにも話を聞くと、「最終日は結果を残せたから、パフォーマンス自体にはかなり満足している。金曜日には苦労した部分もあったが、ラリーではこういうこともある」とコメント。今年は勝田選手と待望の総合優勝を果たしたが、その時のことを尋ねると「本当に特別な感覚で、ケニアでの勝利は一生忘れない」と笑顔をみせました。
勝田選手との関係性の変化についても「タカとは、お互いのことをより個人的なレベルで深く理解できるようになった。何がうまくいき、何がうまくいかないのかが分かるようになったので、やりやすくなったと思っているよ。彼自身も日々強くなっているし、それは、スーパーサンデーとパワーステージでポイントが撮れたように、タイムにも表れている。これからの将来は明るいと思うよ」と進展を実感している様子。今季後半のラリーでも、力を合わせた好走に期待したいところです。
遅れて全日本勢も戻りまして、トヨタGRヤリス・ラリー2で戦った新井大輝選手も勝田選手のもとへ。ふたりはTGR WRCチャレンジプログラムの1期生で、ラリージャパンは顔を合わせる機会でもあります。
2年前にはシュコダ・ファビアR5でラリー2マシンに割って入る表彰台を手にした全日本チャンプ。「今年はようやく最新GRヤリスで戦える」と意気込んでの参戦でしたが、速さを発揮しきれず悔しい5位フィニッシュとなりました。後で話を聞くと、苦戦の真相を次のように語ってくれました。
「ハンコックタイヤの癖を見抜くのも苦戦しましたが、あとはデフのセッティングがダメでした。デフはレギュレーションでスペアはひとつと決まっていて、ともに封印されているので、載せ替えるしかセットを変える方法がないのですが、今回はともに近いセットで組んでいたので、為す術がありませんでした」
「初日を終えて、改善方法が絶たれたことを把握して、もう超悔しくて眠れなかったですよ。デフがクローズすぎてコーナーでプッシュされて曲がれず。もっとオープンにしたくてもできないし、バネとか、他のあらゆる部分をガラッと変えていろいろなことを試したのですが、それでも満足な改善はできませんでした。もしできれば、トップ2のあの戦いのイメージもできるくらいだったのに!」
表彰式が終わると、トップ3のクルーとチーム代表がメディアセンターに登場し記者会見を実施。昨年と全く同じ顔ぶれだったことに、この会見でようやく気付きました。ただ、今回勝ったのはエバンスで、オジエへのリベンジ達成というかたちです。このまま、チャンピオンシップでも初のタイトル獲得なるでしょうか。ここからのグラベル(未舗装路)連戦での走りにも注目です。
今年は参戦台数こそやや控えめでしたが、ラリー1とラリー2の両クラスで日本人が勝利をつかむ未来が、少しずつ現実味を帯びてきたと感じられる大会でもありました。来年は名古屋でのステージ追加の噂も聞こえてきていますが、どんな姿で戻ってくるのかは、これからのお楽しみといったところでしょう。
今回はこのあたりで締めくくりたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました! また来年のラリージャパンで!















