ジュリアン・アンドラウアーがアタックを担当した5号車ポルシェ963は8番手で予選で終えた。ペンスキー・レーシングの社長であるジョナサン・ディウグイドは、予選前にポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマシンのいずれかがハイパーポールに進出できれば「うれしい驚きだ」と認めていた。
ディウグイドは、ハイパーカーチームがミシュランのミディアムとハードコンパウンドタイヤを利用可能であり、多くのチームがコンパウンドを組み合わせて使用する可能性が高いと予測している。同氏はSportscar365に対し、「バーレーンでは毎年そうであるように、タイヤ選択がレースの勝敗を分けるだろう」と述べた。「現在の我々のレース運びの能力からすると、トラックポジションがかなり重要になる。いかにトラックポジションを獲得し、維持し続ける方法を見つけ出すことが私たちのターゲットになるだろう」
先月、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最終戦『モチュール・プチ・ル・マン』で記者団に話した際、ポルシェ・モータースポーツの責任者であるトーマス・ローデンバッハは、トップクラスのプロトタイプで“LMDhルート”を選択したことに後悔はないと述べ、「当時としては正しい決定だった」と断言した。
ローデンバッハは次のように付け加えた。「振り返ると、我々にとっては、そうするためにはアメリカとWECの両方でレースをしたいという明確な意思があった。当時はLMDhカーを製作する必要があり、同時に我々は実現可能な予算でそれを行う解決策を見つけることに非常に尽力しており、それは正しい決定だった。約3年が経過した今、あらゆる面でうまくいっていないのは、おそらく事実だ。しかし、『我々は間違った決定をしたのか?』と問われれば、私はノーと言うだろう」
フェラーリのグローバル耐久レース責任者であるアントネッロ・コレッタは、ジェームス・カラドの複数年契約更新の最近のニュースを受けて、このイタリアのメーカーが、2026年シーズンも2台のファクトリーカーのドライバーラインアップを変更しない可能性が高いと示唆した。
コレッタは金曜日の朝、「通常、我々は最終レースの後にラインアップを決定するが、すべてのフェラーリドライバーは(ファクトリードライバーとして)確認されている。ラインアップは多かれ少なかれ同じままだと思うが、選手権終了後に検討するつもりだ。率直に言って、我々はドライバーたちに非常に満足しており、これはレース後に検討する事項だ」と記者団に語った。
2024年1月に最後の契約更新が発表されたアレッサンドロ・ピエール・グイディの状況について具体的に尋ねられたコレッタは、このイタリア人ドライバーのフェラーリとの契約は2026年まで続くことを明らかにした。「契約は何年も前から署名されている」とコレッタは述べた。「彼は我々のレガシーの一部だ」
一方、コレッタは、日曜日のルーキーテストで83号車フェラーリをドライブするアレッシオ・ロベラが2026年のラインアップに加わる可能性を軽視した。「現時点では、これは議題には上がっていない。しかし、もし冬の間に何らかの状況が変われば、それもあり得るだろう。彼はフェラーリにとって、もっとも重要な若手ドライバーのひとりだ」
■ポルシェとの別れに際し、特別なヘルメットを制作
JOTAスポーツの共同オーナーであるサム・ヒグネットは、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAのラインアップにおけるジェンソン・バトンの後任についての決定が下されたことを明らかにした。ジャック・エイトケンがその最有力候補として広く見なされており、これは2026年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でのプログラムが確定したエイトケンが、デュアルプログラムに就く見込みであることを意味する。
ヒグネットはエイトケンの立場について明確な言及を避けたが、今年の初めにプレマ・レーシングでのNTTインディカー・シリーズにおけるカラム・アイロットの将来に関する憶測があったにもかかわらず、JOTAの卒業生であるアイロットはバトンの後任候補には入っていなかったことを明らかにした。
また同氏は、日曜日のルーキーテストでエイトケンとリッキー・テイラーの両名を起用するという決定は、キャデラックのウェザーテック選手権チーム(ウェイン・テイラー・レーシングとアクション・エクスプレス・レーシング)のそれぞれから1名のドライバーにJOTAのマシンを試乗させたいという願望によるものだと説明した。「これは彼らがWECのクルマを試すことができ、我々がどのような状況にあるかを理解し、チーム間の相互学習を促進するためだ」とヒグネットは述べた。
彼はまた、新進気鋭のNASCARスターであるコナー・ジリッシュが、もしテストでの運転資格があれば、エイトケンとテイラーに加えてキャデラックのLMDhカーをドライブしていただろうとも明らかにした。
マシュー・ジャミネは、ポルシェドライバーとしての10年間の在籍期間の終わりを記念して、ヴァイザッハのメーカーでの在籍中に達成した主要な功績のリストを特徴とする特別なヘルメットを製作した。これは2015年のポルシェ・カレラカップ・フランスでのタイトルから始まり、今年マット・キャンベルとともに獲得したIMSA GTPタイトルで頂点に達している。
ジャミネは「このような旅の後、ヘルメットでそれを祝うのが適切だと感じた。ポルシェと過ごした10年間に対して、どれほど感謝しているかを示したかった。それは僕たちが一緒に経験したすべてへのオマージュだ」とSportscar365に語った。
■現在のスポーツカーレースに多大な貢献
ポルシェ963とキャデラックVシリーズ.Rは今週末、WECとIMSAのレースで通算50回目のレーススタートを切る。両車とも、BMW MハイブリッドV8とアキュラARX-06とともに、2023年のデイトナ24時間レースでデビューした。
なお既報のとおり、ポルシェはWECにおいてもっとも成功したLMDhカーとしてファクトリー・ハイパーカープログラムから撤退する。その功績には3回の優勝と15回の表彰台、3回のポールポジション、2回のレース最速ラップが含まれ、ケビン・エストーレ/ローレンス・ファントール/アンドレ・ロッテラー組による2024年のドライバーズ世界選手権タイトルも含まれている。
2023年のセブリング1000マイルでのデビュー以来、このファクトリーチームの車は、WECで合計7万8289kmを走行し、さらにレース週末の公式練習および予選セッションで3万6754kmを走行している。
伝説的なイギリスのモータースポーツエンジニア、ピーター・ライト氏が死去した。79歳だった。チーム・ロータスでのF1における先駆的な仕事でもっともよく知られているライト氏は、後にFIA国際自動車連盟のマックス・モズレー会長と協力し、2005年にFIA GT選手権にBoP(性能調整)の概念を導入することで、スポーツカーレースに大きな貢献を果たした。
ライト氏に敬意を表して、SROモータースポーツ・グループの創設者兼CEOであるステファン・ラテルは次のように述べた。「非常に悲しいことだ。彼は個人としても、プロフェッショナルとしても偉大な人物であり、そのキャリアを通じて非常に多くのことを成し遂げた。F1での功績が当然中心となるだろうが、マックス・モズレーとともに“BoPの父”としての彼の功績は、おそらく世界のモータースポーツにより広範な影響を与えている。それがなければ、GT3、GT4、ハイパーカー、TCRは存在しなかっただろう。このスポーツは彼に深く感謝しなければならない」
2025年シーズンを締めくくる『バプコエナジーズ・バーレーン8時間』の決勝レースは、現地8日土曜の14時(日本時間22時)にスタートが切られる予定だ。

