2025年10月9日
プレスリリース
【スーパーフォーミュラ第9戦・10戦/富士スピードウェイ】大会直前情報
タイヤの空気圧と性能の関係
レーシングカーのタイヤは、一般車同様に空気を入れて膨らませています。この空気の量によってタイヤの中の圧力=空気圧(タイヤの内圧)は変化します。内圧変化はタイヤにさまざまな影響をもたらし、ひいてはレーシングカーの挙動にもかかわってくるため、車両のセットアップと合わせて内圧調整は各チームにとって非常に重要な要素のひとつになっています。
一般的に、空気をより多く入れて内圧を上げると、タイヤがパンパンに膨らみ、剛性が上がります。剛性が上がると同じだけの力を加えても変形しにくくなるため、地面に接地している面積は小さくなります。
例えば風船を膨らませた際、ギリギリまで大きく膨らませたものと、少し余裕を持たせて膨らませたものとでは、上から押さえつけたときに地面に接する面積に違いがあることが想像できるかと思います。
タイヤは地面に接地している部分がグリップして車両が進行方向に進むための力を発揮するため、接地面積は大きい方がそのパフォーマンスをしっかりと出せると考えられます。反対に接地面積が小さいと、グリップ力が小さくなり、パフォーマンスは低下してしまいます。
(グリップについて⇒2025年SF第8戦大会直前情報)
ただし、内圧が低いほどパフォーマンスが向上するかというと、内圧とグリップ力はそれほどシンプルな関係ではありません。
グリップを稼ぐために接地面積を大きくしようと考えて内圧を下げすぎた場合、タイヤの剛性が下がってしまい、操舵時の応答が遅れたり、車両の姿勢変化が大きくなってしまうデメリットが生じます。その結果、欲しいと思っている性能を得られないことがあります。
また、内圧はパフォーマンス以外にも影響を及ぼします。走行中のタイヤ全体で見てみると、接地面でタイヤがつぶれ、離れるとふたたび元の形状に戻るという変形を何度も繰り返しています。
内圧が低すぎると、この変形量が大きくなり、タイヤの構造体が過度に発熱してしまうことでタイヤにダメージを与え、最悪の場合、バーストに至る危険もあります。
このように、適正値よりも低い内圧で走行を続けると、性能が低下するだけでなく、場合によってはタイヤが壊れてしまう原因にもなるのです。
もちろん、走行することでタイヤに熱が加わると、その熱によって空気が膨張し、内圧は上がっていきます。例えば予選では、アタックラップで最大のグリップを引き出せるよう、ウォームアップラップではタイヤ自体の熱入れに加えて適正内圧に上がってくるように走行することが必要になります。
「欲しいときに、欲しい内圧になるように合わせる」ということが、車両セッティングにもドライビングにも求められるひとつです。
以上のようにコースレイアウトや戦略によって、あるいはドライバーのキャラクターによっても、適正な内圧は異なり、唯一の正解はありません。
この週末は台風の影響が心配されますが、土曜、日曜は雨の心配はないと予想されています。ドライコンディションのもと、空気圧さえも緻密にセッティングし最速の称号を得るのはどのドライバーなのか、ご注目ください。
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