上位進出なるか、秋の富士大会

 2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦・第10戦が10月10日(金)~12日(日)にかけて、静岡県富士スピードウェイで開催された。

 今回は金曜日に2回のフリー走行を行い、土曜日に第9戦公式予選および決勝、日曜日に第10戦の公式予選および決勝と、1大会に2レースが開催される形式である。

 ThreeBond Racingは今大会より、スーパーGT500クラスで10年以上のドライバー経験を有し、レーシングカート時代から三宅淳詞選手と師弟関係にある佐々木大樹選手をドライビングアドバイザーとして迎え、体制を強化して臨んだ。

 チームは前回大会以降、一瀬俊浩トラックエンジニアに加えて、塚越広大監督、三宅淳詞選手、佐々木大樹アドバイザーを含めたチーム全員の知見を結集し、改善方向と思われるセッティングを車両に施してレースウィークの富士スピードウェイに持ち込んだ。

金曜日フリー走行

 10日(金)の午前と午後に行われた計2回のフリー走行では雲間から太陽の光が差し込む天候のなか、さまざまなセッティングを試し、午前は20周、午後は22周の走行を行った。セッティングのテストという意味合いが強い走行とはなったが、午前・午後とも出走22台中20番手のタイムで、翌日の予選を迎えることとなった。

Round.9 公式予選

 翌11日(土)の富士スピードウェイは、朝から空に厚い雲が広がり雨模様となった。雨が断続的に降り続く状況のなか、10時10分から第9戦公式予選Q1A組の走行が始まり、コースインした三宅選手は、水煙を上げながら走行を始めた。

 しかし前日のフリー走行時から感じていた車両の接地感がないという課題が大きく改善せず、なかなかコースを攻めきれないなかで、ラップタイムは出走12選手中12番手の1分34秒132に終わり、悲願のQ2セッション進出はならなかった。

 予選Q2トップタイムを記録した岩佐歩夢選手が、タイム計測終了後にコースアウトしクラッシュ。赤旗の原因となったことと破損が大きく、エンジン交換を行ったことで、予選Q2タイムの抹消とグリッド降格のペナルティを受けたことにより、三宅選手の決勝スターティンググリッドはひとつ繰り上がり、20番手と決まった。

Round.9 決勝

 予選終了後も雨は降り続き、各所でコース内に雨水の川が生じている劣悪なコンディションとなったため、第9戦決勝レースはセーフティカー(SC)先導でのスタートとなった。

 50号車小出峻選手がエンジンの冷却ファンを取り外し忘れて出走したトラブルによりピットインを行ったため、三宅選手の順位はSCラン中に19番手に上がった。しかし、SCラン開始後数周経っても天候が回復する様子はなく、6周のSCランの後、コースには赤旗が提示され、全車がホームストレートに停止のうえで、レース中断となった。

 天候回復を待ち、一時的に雨が弱まる予報となったことから15時48分、レースはふたたびSC先導で再開された。だが、予報とは異なり天候が悪化。雨に加えて、霧も発生し、視界不良となったため、SCラン14周目途中で再度赤旗が提示されてレース中断となった。再開の可能性を探るも、これ以上の天候回復は望めず危険であるとして、第9戦決勝レースは終了となり、三宅選手は走行していた19位のままレースを終えた。

Round.10 公式予選

 一夜明けた富士スピードウェイは、雲が空を覆ってはいるものの、雨は止み、朝から徐々に気温が上がった。10時10分、第10戦公式予選がQ1A組から始まり、三宅選手は10時25分からのQ1B組に出走した。走行ラインの路面はほぼ乾いたが、各所に湿った路面が残っているという難しいコンディションのなか、三宅選手はドライタイヤを装着してタイムアタックに入り、1回目のアタックでは1分23秒449を記録。ホームストレート通過後にそのまま2回目のアタックを行い、1分23秒197とタイムを更新した。

 しかし、最終的にはトップタイムから0秒546遅れとなり、出走11台中8番手となり、上位6名が出走できるQ2セッションにはあとわずか0秒153届かず、進出できなかった。この結果から三宅選手のスターティンググリッドは出走22台中15番手と決まった。

Round.10 決勝

 15時の決勝レースに向けて、チームは準備を進めていたが14時を過ぎ、まもなくエンジンを始動させるというタイミングで会場全体に濃い霧が降り、視界不良となったことにより、決勝レースのスタートは延期となった。

 その後、10分おきに状況確認とスタート時刻の延期が繰り返されたが、最終的には15時35分に天候回復が見込めないとして、第10戦の決勝レース中止が発表された。第10戦予選結果と決勝レースの扱いについては今後協議のすえ、決定されることになった。

ThreeBond Racing 2025スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦富士 レースレポート
三宅淳詞(ThreeBond Racing) 2025スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦富士

ドライバー:三宅淳詞 コメント

 前戦SUGO大会が終わった後にさまざまな分析を行い富士大会に臨みましたが、金曜日のフリー走行時から、コースを攻めようとすると車両後部が横に流れてしまう感覚で接地感がなく、自信を持って走れませんでした。決勝は水しぶきが激しくて前が全く見えず、(レースの打ち切りは)お客様には申し訳ないですが、安全を考えると仕方がない状況でした。

 ただ、翌日の第10戦予選では、佐々木アドバイザーが新しいセットアップのアイディアを出してくれて、その思想を盛り込んだ所、予選のトップタイムから約0.5秒遅れと比較的良いタイムが出ました。Q2進出は叶いませんでしたが、車両の成長を感じ取ることができ、良いフィーリングで走ることができたことから、トップとのタイム差も少なくなりました。変更を加える前に想定していた通りの車両挙動となったので、次の鈴鹿大会に向けて、さらに改善を加えていきたいと思います。

監督:塚越広大 コメント

 前戦のSUGO大会からインターバルがあったので、パフォーマンスを上げられない原因をさまざまな角度から検証し直し、この期間で少し理解が深まった部分がありました。その点を頭に入れて今大会に臨みました。走り出し初期では、他車と比較した時に結果には繋げられませんでしたが、佐々木アドバイザーがドライバーとのコミュニケーションのなかで、さまざまな意見やアイディアを引き出してくれたように感じます。(意見を集約したことで)車両が新しいセットアップの方向に進むきっかけとなり、日曜日の予選については新しい方向性でのパフォーマンスに手応えがありました。

 次の鈴鹿大会は、年初良い感触で走れていたので、そこに今回の新しい方向性の調整を車両にどう取り入れるか、チームでミーティングを重ねて、しっかりと準備を行い臨みます。

トラックエンジニア:ー瀬俊浩 コメント

 前戦のSUGO大会から2カ月空いたので、起きている問題に対して、チームで分析を進め、課題となっている点を見直して持ち込みましたが、走り始めはあまり調子が良くありませんでした。

 しかし、今回からチームメンバーとなった佐々木アドバイザーが、ドライビングの仕方はもちろん車両のセットアップに関しても豊富な知識を持っており、(セットアップ目線でも)一緒に考えてくれたことで、セッション中もテンポ良く車両の改善が進みました。第9戦は雨の予選となってしまい、変更がうまく機能しなかった部分もあるのですが、決勝に向けてさらに変更を加えたところ良さそうな兆しが見えました。

 第9戦での改善を基に、第10戦ではドライコンディション用に車を調整し、Q2進出は叶いませんでしたが、トップ車両とのタイムとの差はこれまでで1番小さくなりました。本当に少しずつですが、成果が出てきたように感じます。次の鈴鹿大会では、まずはQ1通過を目標に戦います。

ThreeBond Racing 2025スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦富士 レースレポート
三宅淳詞(ThreeBond Racing) 2025スーパーフォーミュラ第9戦&第10戦富士

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