公式練習ではタイムが伸びずに出遅れたものの予選Q1を河野選手が突破し、予選Q2で吉本選手が9位を獲得

 AUTOBACS SUPER GTでは九州を舞台にした唯一の大会となる『AUTOPOLIS GT 3HOURS RACE』が、大分県のオートポリスで開催されている。レースウイークは10月18日(土)に公式練習と予選、19日(日)に決勝レースというスケジュールが組まれている。

 9月20〜21日にスポーツランドSUGOで開催された第6戦で、LMcorsaは2021年以来の優勝を遂げて、今季から変更したSyntium LMcorsa LC500 GTでの初勝利となった。勝因はさまざまだが、新コンパウンドを採用したダンロップタイヤの性能がコース状況にマッチしたことが挙げられる。またドライバーもメカニックもミスなく67周を走破し、改めてチーム力の高さを示すこととなった。

 迎えた第7戦は、コースの舗装が特殊でタイヤへの攻撃性が高いといわれているオートポリス。前戦では大きな武器となったダンロップタイヤが、厳しい環境とされる同コースでどのようなパフォーマンスを発揮するか注目された。

 走り出しとなった公式練習は、9時25分から11時30分までの2時間5分の設定で、FCY(フルコースイエロー)のテストとGT500、GT300クラスの専有走行が含まれている。

 まずは第1ドライバーの吉本大樹選手がLC500 GTに乗り込んで、持ち込みの状況をチェック。5周目に自己ベストタイムの1分47秒260をマークするが、1分45秒~46秒台で走行するマシンが多く、ライバル勢には遅れを取っていた。その後は、1-2周ごとにピットに戻りセットアップを調整して、最適な状態を探っていく。公式練習が開始されてから約1時間後には第2ドライバーの河野駿佑選手にバトンタッチ。タイヤはユーズドのままで、10周を走行した。

 今大会は、富士スピードウェイで開催された第2戦以来の3時間レースで、通常の2選手に加えて第3ドライバーが登録できる。そのため、LMcorsaは伊東黎明選手を起用し、3選手でオートポリスを戦うこととした。公式練習がスタートしてから1時間25分が経った10時50分前には伊東選手がLC500 GTに乗り込む。すでに第2戦の決勝レースでも走行していて、慣れた様子でFCYテストを含めて9周を走行。

 終盤は再び河野選手がステアリングを握ることとなり、GT300クラスの専有走行のタイミングだったためにタイヤを換えてコースイン。1周をウォームアップに充てると翌周にはセクター1、2でベストタイムを更新、セクター3ではトラフィックに引っかかったが、翌周もアタックを行ない1分46秒970の自己ベストタイムをマークした。結果として、公式練習は3選手がLC500 GTに乗り40周を走行。河野選手のタイムが最速だったが22番手となり、ライバル勢には遅れをとっていて、予選に向けては修正が必要となった。

予選

気象データ:気温:21℃、路面温度:23℃(予選Q1)

 公式練習の終盤からコースの一部で小雨が降りだし、その後のサーキットサファリでもレインタイヤを履くことができるウエット宣言が出された。12時過ぎからのピットウォークやサポートレースでもコースは雨雲に覆われていたが、本格的な降雨にはならなかった。しかし、予選開始の30分ほど前から大粒の雨が一時的に降り、アスファルトは色が変わるほど濡れることとなる。

 今大会の予選Q1もGT300クラスの28台が2クラスにわけられ、各クラスの上位9台が予選Q2へ進出しポールポジションを競うことになった。A組に振り分けられたLMcorsaは、河野選手を予選Q1のドライバーに指名。路面の一部は濡れていたが、全車がスリックタイヤでアタックを開始した。コースオープンとともにウォームアップを始めると、計測3周目にアタックを行ない、1分45秒163をマークする。翌周もアタックを継続し、セクター1はタイムアップを果たしたがセクター2では更新できず、そのままピットに戻った。結果はクラス8位で、予選Q2への進出を果たした。

 GT300クラスの予選Q2は15分遅れの15時53分に、18台のマシンがコースへ入っていった。天候は小雨のままで数台のマシンがレインタイヤを選択したが、LC500 GTに乗り込んだ吉本選手はスリックタイヤを履いた。アウトラップと計測2周をウォームアップに充てて、タイヤやブレーキにしっかりと熱を入れる。そして計測3周目には、各セクターで全体ベストタイムを更新しながら周回していき1分45秒554をマーク。

 この時点でタイミングモニターの最上位にLC500 GTが表示される。翌周もアタックを続けた吉本選手はセクター1でタイムを伸ばしたが、その後のセクター2、3ではタイム更新が叶わなかった。終盤にはタイムを伸ばしたマシンが現われたため、最終的には9位で予選Q2を終えた。

 公式練習ではタイヤとのマッチングに苦慮したが、予選までに大幅なセットアップの変更を行ない、両ドライバーの優れたドライビングもあって9番手のスターティンググリッドを得た。

吉本大樹選手

「公式練習は走り出しからグリップが足らず、前回のスポーツランドSUGOとはまったく逆のスタートとなりました。セットアップを変更していったのですが、根本的なところは変わらず厳しい状況でした。今回は伊東選手が第3ドライバーとして登録されていて、彼のマイレージを稼ぐ必要もあり、途中から河野選手とふたりに任せました」

「予選前に大きくセット変更をしたことが功を奏して、Q1を突破できました。予選Q2は徐々に雨が強くなると思い、最初にスリックでアタックしました。途中までトップタイムだったので残念ですが、公式練習の状況を考えると良かったです。決勝レースは荒れることが予想されますが、しっかり自分達らしいレースをすれば結果は付いてくるはずです」

吉本大樹(Syntium LMcorsa LC500 GT)
吉本大樹(Syntium LMcorsa LC500 GT) 2025スーパーGT第7戦オートポリス

河野駿佑選手

「公式練習は吉本選手が乗ったあとにコースに入ったのですが、前戦の良い感覚がまったくなくグリップ感を得られませんでした。途中で伊東選手がステアリングを握り、最後に再び乗ったのですが状況は厳しいままでした。専有走行のタイミングでベストは記録できましたが、ライバル勢には離されていて、多少のバランス調整では太刀打ちできない状態でした」

「そのため予選に向けて大幅にマシンをいじってもらいQ1を走ると、まわりのタイムが伸びなかったこともあり予選Q2へ進出できました。結果は9番手となり、公式練習のときには考えられなかった状態で終えられました。決勝レースは3時間レースなのでミスなく走り切ることが大事です。今回も上位でチェッカーを受けられればと考えています」

伊東黎明選手

「先週のモビリティリゾートもてぎでのテストではLC500 GTに乗ったのですが、レースウイークでは久しぶりでした。また、GTマシンでオートポリスを走るのは2年ぶりだったのですが、初めから違和感なく周回できました。FCYのテストも問題なく、限られた走行時間でしたが決勝レースを想定して、いろいろと試せました」

「公式練習の最初はグリップ感がなく苦戦している様子で、その後は調整を重ねていましたが、私が乗ったときも同様の症状はありました。周回を重ねていけばもう少しタイムアップが図れると思いましたが、まずは習熟することを優先して走行しました。明日の決勝レースは、前回からの良い流れを切らさないようにしっかりと役目を果たしたいです」

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