シビック・タイプR-GTが今季初勝利&表彰台を独占!

 10月18日(土)、19日(日)にオートポリス・インターナショナル・レーシングコース(大分県)で、2025年スーパーGTシリーズ第7戦『AUTOPOLIS GT 3HOURS RACE』が開催されました。GT500クラスにおいて100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が勝利を飾り、2位64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)と3位16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)とともに表彰台を独占しました。

 今大会は累積サクセスウエイト(SW)が一律半減となり、軽い状態での戦いに。Honda陣営は今シーズン2基目となるエンジンを投入して臨みました。第6戦SUGOで大破した64号車もチームの懸命な作業により復活を遂げ、オートポリスに運び込まれました。

出場メンバーとサクセスウエイト(SW)は以下のとおりです。
8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 野尻智紀/松下信治(SW25kg)
16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 大津弘樹/佐藤蓮(SW18kg)
17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越広大/小出峻(SW23kg)
64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT 伊沢拓也/大草りき(SW9kg)
100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT 山本尚貴/牧野任祐(SW32kg)

 18日(土)午前、公式練習が始まった段階では快晴でしたが、走行セッションが進むにつれて徐々に雲が広がり、GT500クラスの占有走行時にはコースの一部で雨が降り始めました。

 午後は小雨が降ったりやんだりでしたが、ほぼドライコンディションで公式予選Q1のタイムアタックが始まります。シビック・タイプR-GT勢は予選後半の降雨を予測して早めにタイム計測に臨んだものの、予想に反して雨量はなかなか増えませんでした。ライバル車のラップタイムが後半にも更新されていったため、唯一、64号車大草がトップタイム通過でQ2へ進出し、ほかの4台はQ1敗退。その結果、決勝は64号車が8番手、16号車、100号車、8号車、17号車が11~14番手に並んで迎えることになりました。

 19日(日)の早朝は濃霧で、午後の決勝レース開催が危ぶまれましたが、9時過ぎには霧は去りました。曇りで気温22℃、路面温度25℃というコンディションのなか、全車スリックタイヤで決勝レースが始まりました。

 13時10分、3時間のタイムレースがスタートすると、シビック・タイプR-GT勢最上位8番手の64号車伊沢は順位を保ったまま周回を重ねていきます。しかし、12周目に24号車Zニスモとのバトルで接触したことにより、ドライブスルーペナルティーを受け後退してしまいました。

 この3時間レースでは給油を含む2回のピットインが義務付けられ、GT500クラスでは21周を過ぎた辺りから1回目のピットインを済ませてアンダーカットを画策する動きが出てきます。その流れに逆行したのが100号車でした。12番手スタートの100号車山本は、ピットインをできるだけ遅らせるため1時間以上走り続ける作戦を選択。燃費走行を意識しながら安定したラップタイムを刻み続け、37周目に見かけ上のトップに立ちます。そして残り1時間45分となった40周目に1回目のピットインを行い、牧野にマシンを引き継ぎました。

 11番手でコースに戻った100号車牧野は、早めにピットインを済ませた車両を次々とオーバーテイクしていきます。59周目には1号車GRスープラの前に出て2番手へ浮上。61周目には37号車GRスープラが2回目のピットインを行っている間に、ついに先頭に躍り出ます。そして64周目、2回目のピットインでは第1スティントでの山本の走行が功を奏し、給油時間を短縮。タイヤ交換を済ませた100号車は、ドライバー交代もなく再び牧野が事実上のトップでコースに戻りました。

 一方で、100号車と同様にピットインの好機を活かした16号車は4番手ポジション、64号車は7番手ポジションにつけ、5番手38号車、6番手37号車2台のGRスープラを挟んで激しい4番手争いを展開。67周目時点で、2番手につける牧野に続く3番手4番手ポジションを獲得します。

 69周目、100号車の前を走行していた12号車Zニスモが2回目のピットインをしたため、100号車牧野、16号車佐藤、64号車大草のシビック・タイプR-GTがワン・ツー・スリー体制を築きます。ここから100号車牧野が後続とのギャップを広げる一方で、2番手16号車佐藤と3番手64号車大草のテール・トゥ・ノーズの攻防が激化。20周以上にわたって繰り広げられた2番手争いは残り2周となった101周目、ついに64号車大草が16号車佐藤の攻略に成功し2番手に進出しました。この直後、レース開始から3時間が経過し、102周を走破した100号車牧野に優勝のチェッカーフラッグが振られました。2位に64号車大草、3位に16号車佐藤が続き、シビック・タイプR-GTは今シーズン初勝利を収めるとともに表彰台を独占。また、17号車が8位、8号車が10位に入賞して選手権ポイントを獲得しました。

 100号車は選手権ポイントを52点に伸ばし、トップの1号車GRスープラから8.5点差のドライバーランキング3番手へ浮上。シリーズチャンピオンの座をかけて、最終戦もてぎラウンドに臨みます。

優勝した100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐) 2025スーパーGT第7戦オートポリス

Masahiro Saiki

「予選結果は芳しくありませんでしたが、決勝がドライコンディションで路面温度が低い状態からのスタートならば我々に勝機があると考えていました。ピット作業が2回ある3時間レースではピットのタイミングとピットでの給油時間短縮のための燃料消費などの戦略が重要になると考えて、チームと綿密なミーティングをしてレースに臨みました。そのとおりに作戦をきっちりとこなした100号車をはじめとする3台で、1-2-3フィニッシュを達成することができました。100号車はランキングトップに8.5点差まで迫れたので、最終戦もしっかり勝利をつかみにいきたいと思います」

Naoki Yamamoto #100
STANLEY TEAM KUNIMITSU

「CIVIC TYPE R-GTでの残り少ないレースでなんとしてでも自分たちの手で勝ちたいと思っていたので、すごくうれしいです。戦略として最初と第2スティントをできるだけ引っ張って、2回目のピットストップを短くしようと考えていました。牧野選手のスピードと強さが出たレースだったし、チームも戦略とセットアップを含めて仕事をしっかりとこなしてくれたので、みんなに勝たせてもらったと感じています。チャンピオン争いの権利を持って最終戦にいけるので、みんなで一丸となって戦いたいです」

Tadasuke Makino #100
STANLEY TEAM KUNIMITSU

「ここまでCIVIC TYPE R-GTはまだ1勝。僕たちも優勝できていない状況だったので、本当に勝ててよかったですし、チャンピオン争いの可能性も残せたので完璧なレースウイークでした。チーム国光らしいレースが久々にできました。土曜日は燃費走行も含めてどうなることかと心配しましたが、決勝では追い上げつつ燃費もかせげたので、ピット作業を短くできました。その結果ギャップをかなり築くことができて、本当にうまくハマったレースでした」

Takuya Izawa #64
Modulo Nakajima Racing

「予選は難しいコンディションでしたが、タイヤが本当にいいパフォーマンスを発揮してくれました。走り出した段階で、これはいけるという手応えがありました。決勝の担当スティントでペナルティーをもらってしまいましたが、自分を含めてあきらめずに取り返せたことが結果につながったと思います。残り2戦でようやく表彰台に立てて、みんなに感謝しています」

Riki Okusa #64
Modulo Nakajima Racing

「オートポリスに入って、今回はいけるだろうと感じていました。決勝で前を走る佐藤選手(16号車)は速かったのですが、速い場所と遅い場所が僕と違っていたので、そこが攻略ポイントだと狙っていました。それがうまく決まってよかったです。GT500で表彰台に上がったのは初めてで、ここまで長かったです。最終戦につながるレースができたと思います」

Hiroki Otsu #16
ARTA

「天候に左右された週末で、予選はコンディションの読みが外れて後方からのポジションとなってしまいましたが決勝レースには自信がありました。僕たちは決勝のペースが課題でしたが、そこが改善されたうえ、チームが戦略で頑張ってくれました。優勝が100号車だったので悔しい思いもありますが、僕たちも結果が残せてよかったです」

Ren Sato #16
ARTA

「予選は下位に沈みましたが、決勝はクルマの調子も戦略もきまって上位にいけました。最後、クルマとタイヤが苦しくなり、あと2周のところで抜かれてしまったのは非常に悔しいですが、表彰台を獲得しHondaとして上位を独占することができたのはよかったです。決勝では今までと違う新しいチャレンジをして、それがうまくいきました。この方向性で進めていけば、課題をもっと克服できると感じています」

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