3時間の決勝レースは9番手から上位を目指したがタイヤがコンディションに合わず20位となる
<気象データ>
気温:22℃、路面温度:25℃(決勝レース前)
AUTOBACS SUPER GTの第7戦『AUTOPOLIS GT 3HOURS RACE』が大分県のオートポリスで開催され、10月19日(日)には決勝レースが行われた。
前戦のスポーツランドSUGOで4年ぶりの勝利を飾ったLMcorsaは、今大会も上位で戦いたいところだったが、公式練習ではタイヤのグリップ性能に悩まされ下位に沈んでしまった。ただ、予選に向けてマシンのセットアップを大幅に変更したことが奏功し、河野駿佑選手が予選Q1を8位で突破すると、吉本大樹選手が予選Q2を担当し9位となった。
今大会の舞台となるオートポリスは阿蘇山の外輪山に位置していて、標高が800mと国内の主要サーキットのなかではもっとも高い。そのため、同サーキットは天候に左右されることが多く、昨年は長時間にわたって霧に覆われたことで予選が順延となり、予選と決勝レースを同日に実施するワンデイ開催となったほどだ。
予選日の18日(土)は昼前から雨が降ったが、競技の実施に影響がでるような天候にはならなかった。ただ、決勝レース日の19日(日)は、早朝に実施されたサポートレースでコースの一部が霧に覆われたため、セーフティカーが先導するスタートとなった。ただ、その後は少しずつ霧が晴れていき、スケジュール通りにコンテンツが進んでいった。
11時40分からは3時間の決勝レースを見据えたウォームアップ走行が、20分間にわたって実施された。Syntium LMcorsa LC500 GTには吉本大樹選手が乗り込み6周を走行してピットに戻ると、今度は河野駿佑選手が4周を周回。タイムはGT300クラスの26台中23番手で、路面状況とのマッチングに苦慮している様子だった。
1万6000人が駆け付けた決勝レースは、13時10分に大分県警によるパレードランでスタート。LC500 GTには吉本選手が乗り込み、9番手から3時間後のチェッカーを目指した。オープニングラップでは加速性能に優れるGT3マシンを押さえてポジションを守ると、2周目にはベストタイムとなる1分48秒352をマーク。しかし、3周目以降は8番手を走るGR Supra GTから遅れ取り始め、ポジションは守っているものの周回ごとに先行するマシンにギャップを付けられる。
後方を見ながらの展開となった吉本選手はブロックを続けるが、9周目にGT-Rに抜かれて10番手、10周目にもRC F GT3に先行されて11番手となる。11周目にはGT500クラスのマシンがクラッシュしたことでFCY(フルコースイエロー)が提示され、翌周にはセーフティカーが導入される。一時休戦となり前のマシンとのギャップが縮まったが、15周目にレースが再開すると後続のマシンから一気に攻め立てられる。心配されていたタイヤのグリップダウンが顕著になり、吉本選手はポジションを守りきれず20周目には16番手まで後退する。
今回の決勝レースは3時間のタイムレースで90周以上の周回が想定され、2回の給油を伴うピットストップが義務付けられていていた。タイヤのグリップダウンが激しかったが、早めにピットストップを行うと2スティント目と3スティンと目の走行が厳しくなる。ラップタイムは落ちているものの、チームは1回目のピットストップを30周目まで引っ張った。吉本選手はピットに戻ると4本のタイヤ交換と給油を行ない、河野選手のバトンタッチ。装着したタイヤは1スティント目とは異なるタイプで、コースコンディションと合うことを願っての選択だった。
31周目にコースに復帰したが、スターティンググリッドの9番手から23番手まで大きく順位を落していた。河野選手は追い上げを図りたいが、選択したタイヤは1スティント目よりもさらに状況が厳しく、ライバル勢よりも1周につき2~3秒ほど遅かった。36周目には2台にパスされ24番手に後退すると、45周目にも1台にパスされてしまう。53周目にはGT300クラスのマシンがストレート脇で止まったため、セーフティカーが導入されることを考え、チームは2回目のピットストップを指示。河野選手はタイヤ交換と給油を行ない、そのままチェッカーを目指した。
3スティント目に履いたタイヤは吉本選手が装着していたタイプと同様で、2スティント目よりはラップタイムが向上。しかし、搭載する燃料が軽くなり路面温度が下がる中で他のマシンはタイムアップを果たしていくが、LC500 GTは最後までパフォーマンスを発揮することはなかった。
結果的にトラブルはなく3時間レースを走り切ったものの、スターティンググリッドからはほど遠い21位でのゴール。正式結果では、先行したマシンが失格となり20位となっている。前戦では優勝を果たしたこともあり今大会でも活躍が期待されたが、残念な結果となった。2週間後にはモビリティリゾートもてぎで最終戦が行なわれる。対策を練る期間は少ないが、有終の美を飾れるようにチーム一丸で準備を進めて行く。
吉本大樹選手
「ウォームアップ走行での状況が良くなかったので、決勝レースでのペースが心配だったのですが的中してしまいました。スタートドライバーを務めて30周目まで走ったのですが、良かったのは最初の1〜2周くらいで、そのあとは先行するマシンから引き離されてしまい、防戦一方の展開になってしまいました」
「15周を過ぎるとさらにグリップがなくなり、押さえ込むことができなくなります。ただ、2回のピットストップが義務付けられていて早めにピットに戻れなかったので、河野選手にバトンタッチした時点では後方に下がっていました。予選ではパフォーマンスを引き出せましたが、決勝レースの条件では手も足も出ませんでした」
河野駿佑選手
「2スティント目からピットストップを挟んで連続で走ったのですが、どちらとも厳しい状況でした。吉本選手がスタートから30周目まで走って辛い状況だったため、硬いタイプのタイヤを選択してコースインしました。しかし状況が好転することはなく、ラップタイムはさらに落ち込んでしまいました」
「53周目に2回目のピットストップを行い、今度はスタートと同じタイヤを履きました。2スティント目よりは少しパフォーマンスがあるように感じましたが、ライバル勢にはまったく歯が立ちませんでした。前戦は優勝できたので、期待して挑んだオートポリス大会でしたが、非常に残念なレースとなってしまいました」

