2025 AUTOBACS SUPER GT Round7
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月18日(予選)
天候:曇り/雨 コースコンディション:ドライ/ウエット 観客数:10,000人
10月19日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:16,000人

決勝での強さは示すが、消火剤不足により失格。規則の理解度を高めることを誓う

 オートポリスはタイヤ、車両のセットアップ、そしてドライバーにとっても難易度が高いサーキットだ。10月中旬開催は暑くも寒くも振れる時期であり、山間部に位置するため天候の変化が起きやすく、タイヤ選択が難しい。気温が低くなれば、タイヤカスがトレッド面に付着するピックアップの発生率も高くなる。

 aprのエースカーである31号車は、オートポリスを得意としてきた。TOYOTA GR SPORT PRIUS PHVを駆った2021年に優勝。レクサスLC500h GTのデビューイヤーとなった2023年は3位表彰台を獲得している。2024年はセーフティカー(SC)のタイミングが悪く順位を落としてしまったが、一時は表彰台、さらに優勝も目前にあった。

 オリバー・ラスムッセンと小山美姫は、LC500h GTでオートポリスを走るのは初めてとなるが、いずれも他カテゴリーや他車での走行経験がある。今回は2回の給油が義務付けられた3時間レースであるため、第3ドライバーに2023年のオートポリスで表彰台に登壇した根本悠生を起用。2年ぶりの表彰台、4年ぶりの優勝を目指す戦いになる。

公式練習/10位 10月18日(土)9:25〜11:30

 公式練習開始時の気温は24℃、路面温度は31℃。当初は雨の予報もあったが、ドライコンディションでスタートした。走り始めのステアリングを握ったのは小山。3周目に1分45秒652をマークし、タイミングモニターのトップにapr LC500h GTの名を刻む。しかし、小山は「完璧なフィーリング」とは感じていなかった。

 7周でピットに入るとラスムッセンに交代。ラスムッセンも7周して根本へ。ドライバー3名とも「1周のアタックは悪くないけど、ロングランになるとグリップレベルが落ちる」というコメントが並んだ。ピュアなタイヤのパフォーマンスは高いがピックアップが付きやすい。その後はドライバーを交代しながらセットアップをアジャストしていき、ピックアップ問題を改善していった。

 GT300専有の時間帯には、2スペック持ち込んでいた「予選・決勝で使わないタイヤ」の新品を投入し、ラスムッセンがアタック。しかし、タイムは更新できず、小山の3周目がベストタイムとなり10位で公式練習を終えた。

公式予選 10月18日(土)

Q1 A/10番手 15:18〜15:28

 公式予選は、31号車も出走するGT300クラスのQ1 A組からスタート。開始時のコンディションは気温21℃、路面温度23℃。WET宣言が出されたが、スリックタイヤで走れる状況だった。

 Q1担当はラスムッセン。アウトラップからウォームラップ2周を入れて、計測4周目からアタックを開始する。4周目のタイムは1分46秒614で、この時点では8番手。しかし、このラップで縁石をまたいだとき、オイルパンにクラックが入ってしまう。オイルをコース上に撒くことはなかったが、やはり走りへの影響はあったのだろう。5周目には1分45秒321にタイムアップするが、ライバル勢の伸び代のほうが大きく、ポジションを10番手に落としてしまう。

 Q2に進出できるのは上位9台であり、31号車は0.026秒届かずQ1敗退。総合結果は19位となってしまった。

オリバー・ラスムッセン選手

「公式練習では、1周のアタックラップに関しては結構バランス良かったけど、すぐにグリップレベルが落ちてしまう状況でした。予選に向けて改善を進めて、Q1ではタイヤのグリップ感も良かったし、クルマとしてはハイスピードコーナーのミドルから出口でアンダーステアがちょっとあったけど、うまくマネジメントして走れたと思う。感覚的にはQ1で落ちるようなフィーリングではなかったし、このラップタイムでQ1落ちしてしまったのは驚いています」

小山美姫選手

「公式練習の乗り始めはコースがダスティな状態だったし、フィーリングとしてもあまり良い感触ではありませんでした。感覚的には後ろから5番目くらいのタイムかなと思っていましたが、そのときのトップタイムで、専有走行直前までは6番手でした。セットアップをアジャストしていって、コンディションもフィーリングも良くなったことが確認できていたし、Q2に向けては『いける』イメージを作れていたので、Q2を走りたかったですね」

根本悠生選手

「持ち込みのセットではピックアップが付きやすい状況にあったので、公式練習とサーキットサファリの時間を利用して、ピックアップが付き難いセッティングにアジャストしていきました。そこは改善していきましたが、ラスムッセン選手の予選は、セクター1は速かったのですが、セクター2とセクター3の高速コーナーでタイムを失ってしまったようです」

金曽裕人監督

「公式練習では小山選手が“乗れていた”ので、彼女のQ2に期待していました。でも、『通るだろう』と思っていたQ1で落ちてしまいました。ラスムッセン選手は、スーパーフォーミュラでのオートポリス経験はありますが、GTカーでは初めて。経験不足が出てしまいましたね。ここは簡単に抜けるサーキットではないので、グリッド順位が重要だっただけに残念です。明日の決勝は戦略で前にいけるように、今晩手立てを考えます!」

決勝レース(95周)/失格 10月19日(日)13:16〜16:18

 13時10分、大分県警察車両によるパレードラップで始まり、SC先導のフォーメーションラップを経て3時間レースがスタートした。雨予報も出ていたが、気温は23℃、路面温度は25℃のドライコンディションだ。

 スタートドライバーは根本。上位勢で1台がグリッドに並べず、18番手からのスタートになる。根本はスタートの混乱を切り抜け、オープニングラップを17番手で通過。装着するブリヂストンタイヤはライバルタイヤに対してウォームアップに少し時間が掛かるが、ロングランは安定している。17周目、19周目にはコース上で1台ずつオーバーテイクし、25周目に早めのピットに入る。

 昨年までの31号車は、ブリヂストンタイヤの安定したロングラン性能を活かし、タイヤ無交換を武器としていた。しかし、今季のGTA-GT300車両はフロントタイヤが小径化され、ライフが短くなったためにその戦略が採れない。タイヤを4輪交換して給油し、ラスムッセンをコースに送り出す。ラスムッセンもタイヤが温まってからはペースが良く、接戦のなかで順位を上げていき、ピットのタイミングもあって8番手を走行していた59周でピットへ。

 小山の最終スティントもタイヤを交換して給油。小山も接戦を繰り広げながら、10番手前後を争っていた。ところが、チェッカーまで残り7分の所で左リヤタイヤがバーストして88周目に緊急ピット。31号車は第2スティントの混戦時に追突されており、破損したパーツが長時間レースの終盤になって脱落、タイヤに干渉していたことが原因だった。チームはピットロスを最小限に抑えるべく左リヤタイヤのみを交換。なんとか入賞圏内の15位でチェッカーを受けた。

 しかし、レース後の再車検で車両規定違反により失格の裁定が下された。メンテナンス中に消火剤が突然漏れ出し、その後消火器の起動確認をしていたが、規定の消火剤容量に足りていなかったためだ。チームとして、あらためて規則の理解度を高めることを誓うレースとなった。

オリバー・ラスムッセン選手

「ほかのタイヤメーカーに比べるとウォームアップに時間は掛かるけど、温まってしまえば問題なく走れました。GT300はいろんなクルマがいて、僕たちの弱いところで速いクルマがいたり、逆にライバルが弱いところで僕たちが強かったりする。今回の僕たちはセクター3が苦手で、そこで後続からアタックされるのはすごく大変だったけど抑えきることができたのは良かったし、レースはすごく楽しめました」

小山美姫選手

「ペースはあまり良くなかったですけど、ポイントは確実に獲れていた10番手くらいを争えていました。破損した部品がタイヤと干渉していてのバーストなので、バーストするまでもタイムや走りに少なからず影響はあったと思います。すぐに破損に気づいて応急処置しておけばバーストは防げたことだと思うので、結果としては残念です」

根本悠生選手

「僕の第1スティントはショートでいって、トラフィックがないところでフレッシュタイヤでトラックポジションを上げるというアンダーカット戦略は成功したと思います。僕自身も順位を上げることができたし、ラスムッセン選手と小山選手も頑張ってくれて、タイヤのバーストがなければ8位、9位も見えていました。スタートから10ポジション上げられたとなれば、すごく良いレースだったと言えたと思います」

金曽裕人監督

「ショート、ロング、ロングでつなぐ戦略もハマって、10番手くらいまで上がることができました。でも、第2スティントでぶつけられて破損したカウルが第3スティントで耐えられなくなってタイヤに干渉、バーストしてしまいました。ドライバーは3名とも、いまできる範疇で良いレースをしれくれたと思います」

「再車検による失格裁定は、消火剤が漏れてしまった後の確認で起動していたため、問題ないと判断したのが大きな間違いでした。消火剤が規定に足りていなければ問題外。我々がそこを理解せず、軽視した結果です。応援してくださる皆様、GTファンの皆様、関係者の皆様に、心からお詫び申しあげます。最終戦はすべてを嚙み合わせ有終の美を飾りたいと思います」

apr LC500h GT
apr LC500h GT(オリバー・ラスムッセン/小山美姫/根本悠生) 2025スーパーGT第7戦オートポリス

本日のレースクイーン

織田真実那おだまみな
2025年 / スーパー耐久
2025マツキヨアンバサダー
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円