2025 AUTOBACS SUPER GT Round7
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月18日(予選)
天候:曇り/雨 コースコンディション:ドライ/ウエット 観客数:10,000人
10月19日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:16,000人

改善策的中で今季初の予選Q2進出。しかし、ロングランに課題が残る

 オートポリスは国内のサーキットで最もタイヤに厳しいコースであり、10月中旬開催は暑くも寒くも振れる時期のためタイヤ選択を難しくする。気温が低くなれば、タイヤカスがトレッド面に付着するピックアップの発生率も高くなる。また、山間部に位置するため天候が急変することもあり、その読みは難しい。

 コースレイアウトは大小様々なコーナーが連続し、抜き難く、そのため接触によるアクシデントも少なくない。セットアップの難易度は高く、コース全長が長いためにセットアップやタイヤによるラップタイムの影響は大きい。

 #30 apr GR86 GTにとっては、今季から履くミシュランタイヤで初めての走行となり、タイヤ選択もセットアップもバックデータがないところからのスタートになり、条件としては厳しい戦いが予想される。今回は2回の給油が義務付けられた3時間レースであるため、レギュラードライバーの永井宏明、織戸学に加え、第3ドライバーの小河諒という布陣でチャレンジングな一戦に臨む。

公式練習/19位 10月18日(土)9:25〜11:30

 公式練習開始時の気温は24℃、路面温度は31℃。当初は雨の予報もあったが、ドライコンディションでスタートした。まずはGT300でオートポリスを走るのが初めてとなる小河、そして永井がアウトインし、クルマとタイヤのフィーリングを確認しつつドライバー交代の練習。そのまま織戸につなぎ、持ち込みのセットアップを確認する。

 30号車は、10月6〜7日にモビリティリゾートもてぎで開催されたGTE(GTエントラント協会)主催の専有走行テストに参加。今季タイヤをミシュランにスイッチしたことで、その合わせ込みに苦労してきたが、もてぎテストでワンステップ進めた手応えを感じていた。

 だが、課題を完全に解消できたわけではなく、サーキットやコンディションが異なれば、また違った課題が見えてくる。ピットを繰り返し、織戸から永井へ、そして小河へとドライバー交代しながらセッティングをアジャストしていった。GT300専有走行ではニュータイヤを投入し、小河が1分46秒612を記録して19番手で公式練習を終えた。

公式予選 10月18日(土)

Q1 B/7位 15:18〜15:28
Q2/16位

 公式予選のスタートとなるGT300クラスのQ1 A組開始時のコンディションは気温21℃、路面温度23℃。WET宣言が出されたが、スリックタイヤで走れる状況だった。30号車はQ1 B組に出走。小河がステアリングを握る。アウトラップからウォームアップを2周入れてタイヤをしっかりと温め、計測4周目にアタック。小河は1分45秒563をマークし、7番手に着けた。翌周もアタックを続けるがタイム更新はならず。しかし、小河のタイムはその後も抜かれることなく、Q1突破でQ2に進出する。

 Q2担当は織戸。スタート時間を前後して小雨が降り、スリックかウエットか、タイヤ選択が悩ましい状況にあった。織戸はスリックタイヤでコースインするが、そのままピットに戻ってウエットタイヤに履き替える。計測3周目で1分51秒597を記録し、このときのポジションは6番手。ところが、その後は雨が止み、スリックタイヤ勢がタイムを上げていく。最終リザルトは16位となった。

永井宏明選手

「もてぎテストで、これまでとは少し違うセッティングを試して、そこで良い方向性を見つけることができました。オートポリスの持ち込みとしては、やはり改善すべきポイントがありましたが、公式練習ではその延長線で進めていって、まだ完璧ではないですけど予選に向けても改善することができたと思います。Q1では、小河選手がそれをうまく活かしてくれましたね」

織戸学選手

「今回の持ち込みとしては良いところもあれば、まだまとまり切れていないところもありましたが、公式練習中に良い方向へ進んでいきました。今回の成長感はすごく良かったと思います。予選Q1は小河選手のアタックも決まりました。僕のQ2もちょっと期待していましたが、微妙なコンディションになってしまって。アウトラップで路面が濡れていたため、雨が強くなる方向に賭けたのですが止んでしまいました。そこは僕の判断ミスです。でも、良い方向に確実に進んでいる。明日の決勝が楽しみです」

小川諒選手

「公式練習ではドライバー交代の練習後、織戸選手と永井選手がクルマを作ってくれて、僕が乗るときにはバランスも良くなっていました。そこから予選に向けてさらにステップを進められて、任されたQ1を突破することができたのは非常に良かったと思います。でも、自分のドライビングとしては80点くらい。まだまだステップを上げる必要があると感じました。Q2は攻めた結果ですし、明日のレースが同じようなコンディションになったときに活かせる経験になったことはポジティブな要素だと思います」

金曽裕人監督

「もてぎテストは、すごく価値あるテストでした。そこで発見したことが、30号車として今季初めての予選Q1突破という良い流れのベースになりました。Q1に関しては、小河選手の走りも素晴らしかったですね。Q2は、オートポリスは抜けないサーキットだからこその賭けでした。直前の天気予報は雨が強まる方向で、ミシュランのウエットタイヤはパフォーマンスが高い。ウエットコンディションになれば上位を狙える。だから、悔いはありません」

決勝レース(95周)/22位 10月19日(日)13:16〜16:18

 13時10分、大分県警察車両によるパレードラップで始まり、セーフティカー先導のフォーメーションラップを経て3時間レースがスタートした。気温は23℃、路面温度は25℃のドライコンディションだ。

 スタートドライバーは小河。上位勢で1台がグリッドに並べず、15番手からのスタートになる。第1ヘアピン(Astemoコーナー)を過ぎて9コーナーまでポジションをキープするが、第2ヘアピンで前方が詰まり、それを避けるためにコースアウトしてしまう。ここでポジションを失って20番手に後退。

 その後は同じ集団のなかではペースも良かったが、抜き難いオートポリスでポジションを上げることは叶わず。それでも1回目のピットを引っ張ることで、順位を7番手まで上げた31周目にピットに入った。

 給油とタイヤ交換を済ませ、永井にドライバーチェンジしてコースに戻ると、ポジションは23番手だった。永井もペースは良く、38周目には21番手を走行。しかし、これは小河の第1スティントでもそうだったが、タイヤのタレが想定よりも早く、スティント後半に向けてラップタイムを落としてしまう。

 43周目の第1ヘアピンでは、強引な追い抜きを仕掛けてきたGT500車両に、軽くではあるが接触されてしまった。ここでのタイムロスはあまりなかったが、この接触により左フロントのエアロにダメージを負ってしまう。永井はそれでも堅実に走り、18番手を走行する59周目に2回目のピットに向かった。

 最終スティントのステアリングを握るのは織戸。ここでもミスなく給油とタイヤ交換を済ませてコースに送り出す。織戸もペース良く前車を追走。65周目、67周目には1台ずつオーバーテイクして20番手に浮上するが、その後はやはりタイヤのデグラデーションが激しく、77周を過ぎたところで抜き返されてしまう。最終的には23位でチェッカーを受けることになった。

永井宏明選手

「決勝のロングランになると、やはり課題のアンダーステアは解消できていませんでしたね。たぶん温度レンジが合っていなかったと思いますが、タイヤの摩耗が早く、その後はコントロールするのが大変でした。第1スティントの小河選手、第3スティントの織戸選手も同じようにタイヤで苦労して、走りきるのが精一杯という感じでしたね」

織戸学選手

「僕の担当は最後のスティントだったので、とにかくクルマをもたせよう、タイヤをもたせようということに集中していきましたが、きつかった。タイヤに厳しいオートポリスという影響も間違いなくあると思いますが、今回はタイヤのタレがいつも以上に大きく感じました。悔しいですけど、正直レースになっていない状況です。それでも、予選まではすごく良かった。だからこそ決勝も楽しみにしていたのですが、ダメでしたね」

小川諒選手

「スタートを初めて任せてもらえて、織戸選手に『気をつけろ』とアドバイスされていた1ヘアまでは良いポジションを取れていたのですが、2ヘアで前が詰まったのを避けるときにコースアウトして順位を落としてしまいました。あれがなく、もうちょっとクリアに走ることができていればフロントタイヤを守れたと思うし、そうなれば永井選手と織戸選手のスティントをもっと短くして、ふたりにはタイヤが残った状態で走ってもらえたと思うので、非常に申し訳なかったです。また乗れるチャンスがあれば、しっかりと良いバトンを渡せるように準備したいと思います」

金曽裕人監督

「結果的には、タイヤが路面温度に合っていませんでしたね。とくにフロントタイヤは非常に厳しくて、マイレージ的にはもう1スティントぶんのタイヤ交換が必要な状況でした。ドライバーは3名ともスティント序盤は良く、頑張ってくれました。タイヤがタレてからも、クラッシュなどせずしっかり走りきってくれました。今回はミシュランユーザーの走行が我々の1台だけ。バックデータが少ないというのも、難しい状況ですね」

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apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/小河諒) 2025スーパーGT第7戦オートポリス

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