2024年にドライバーズタイトルを獲得し、昨年もフェラーリとチャンピオンシップを争ったポルシェが衝撃的な撤退を決定したこともひとつの要因となり、今オフのドライバーマーケットではいくつかの動きがあった。

 IMSA GTP王者マシュー・ジャミネのポルシェ離脱はそのひとつで、彼はアルピーヌから移籍加入したポール・ループ・シャタン、GTのスペシャリストでハイパーカー初挑戦となるダニエル・ジュンカデラとともに“新参”ジェネシス・マグマ・レーシングの19号車GMR-001ハイブリッドをドライブする。

 姉妹車の17号車をシェアするのは、若手育成プログラムを経てハイパーカークラスにデビューするマティス・ジョベール、キャデラックなどで活躍したピポ・デラーニ、日本でも長年にわたり活躍したベテランドライバーのアンドレ・ロッテラーだ。ともに経験豊富なデラーニとロッテラーは、この韓国の高級車ブランドで開発ドライバーを担ってきた。新チームの船出は決して容易なものではないはずだが、初年度からル・マンを制したフェラーリのような例もあるため、チェックしておきたい存在だ。

2026年からWECに新規参戦するジェネシスGMR-001ハイブリッド(ジェネシス・マグマ・レーシング)

 シャタンが離脱したアルピーヌには、スポーツカー復帰となるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが加入。また、NTTインディカー・シリーズへの転向を決めたミック・シューマッハーの後任として、FIA F3王者でウイリアムズF1のテスト&開発ドライバーを務めるビクトール・マルタンスの起用が決まっている。なお、アルピーヌは今季の開幕に向けて『A424』をアップデートしているが、残念ながら今年限りでのハイパーカー撤退をアナウンス済み。昨年は富士で悲願の初優勝を果たしたフランスチームは、最後のル・マンでフランス国歌を流すことができるだろうか。

 同じくフランスのメーカーであるプジョーには、以前からロイック・デュバルとストフェル・バンドーンという日本のファンにとって馴染み深い名前があったが、今季の変更されたドライバーラインアップは、こちらも日本でのレース経験があるニック・キャシディとテオ・プルシェールを含むものとなっている。キャシディはGTカーでの参戦経験があるがハイパーカークラスへは初参戦。プルシェールはリザーブドライバーを経て初めてフルシーズンに挑む。

■王者フェラーリに新生トヨタ・レーシングが挑む

 ウイリアムズの元F1ドライバーであるローガン・サージェントは、今季のLMGT3クラスで注目すべきドライバーのひとりだろう。2027年のデビューに向けて始動しているフォード・ハイパーカー・プログラムのドライバーに選ばれたサージェントは、今季のWECデビューシーズンでは88号車マスタングGT3エボをドライブする。また、同じくハイパーカープログラム加入が発表されたセバスチャン・プリオールも、姉妹車である77号車フォードのステアリングを握ることとなった。

 ほとんどのチームが継続参戦となるなか、新たにパドックの仲間入りをするチームもある。マクラーレン720S GT3エボの10号車と58号車を走らせるガレージ59だ。GTワールドチャレンジ・ヨーロッパやブリティッシュGTなどで名を馳せるこのイギリスのチームは、昨年まで2台の720Sでレースを戦うも今季は2027年のハイパーカーデビューに向けて準備を急ぐユナイテッド・オートスポーツに代わってマクラーレン代表する。

元F1ドライバーのローガン・サージェントがフォード・マスタングGT3エボでWECデビューを果たす
マクラーレン(右)のペアとアストンマーティン(左)の1台は運営チームが変更に。前者はガレージ59、後者はハート・オブ・レーシング・チームとなった

 アメリカ籍のハート・オブ・レーシング・チーム(HoR)は1台から2台体制へとプログラムを拡大。自らアストンマーティン・バンテージAMR GT3エボのステアリングを握るイアン・ジェームス率いるチームは今年、F1界の“鉄人”ことルーベンス・バリチェロの息子で、昨年WECデビューを果たしたエドゥアルド・バリチェロを起用することで話題に。一年目に早くもポールポジションを獲得するなどスター性を発揮していることから注目の若手と言えるが、残念ながら同じ週末にアメリカで行われるIMSAのロングビーチ戦を優先するためWEC開幕戦は欠場となる。バリチェロの代役には21歳のアストンマーティン育成出身ドライバー、コービー・パウエルが起用された。

 このように両クラスでドライバーの移籍が数多く見られるなか、トヨタ・ガズー・レーシング改めトヨタ・レーシングとして再出発するトヨタは、チーム代表を兼務する小林可夢偉と平川亮の日本人2名を含む不動のラインアップで2026年シーズンを戦っていく。ただし前述のとおり、マシンには“エボ・ジョーカー”を用いた大型アップデートが投入され、その影響でフロントやリヤの外観が大きく変化している。

またマットブラックだったカラーリングも、トヨタのコーポレートカラーである赤を主体に、風をコンセプトとした白を織り交ぜ「WECに新しい風を吹き込む」という想いが込められたものに一新された。2025年は最終戦バーレーンで優勝を果たすも一年を通じて苦戦を強いられたトヨタの反撃がいま、始まろうとしている。

トヨタ・レーシングの2台は、従来のマットブラックからトヨタGT-One(TS020)を彷彿させる赤基調のカラーリングに一新された
2026年のル・マン24時間は6月13~14日に開催される

■2026年WEC第1戦イモラ6時間レース エントリーリスト(4月12日付)

No.ClassTeamCarDriverTyre
007HYPERCARアストンマーティン
THORチーム
アストンマーティン・
ヴァルキリー
ハリー・ティンクネル
トム・ギャンブル
MI
009HYPERCARアストンマーティン
THORチーム
アストンマーティン・
ヴァルキリー
アレックス・リベラス
マルコ・ソーレンセン
MI
7HYPERCARトヨタ・レーシングトヨタTR010ハイブリッドマイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース
MI
8HYPERCARトヨタ・レーシングトヨタTR010ハイブリッドセバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
MI
12HYPERCARキャデラック・
ハーツ・チーム・JOTA
キャデラックVシリーズ.Rウィル・スティーブンス
ノーマン・ナト
MI
15HYPERCARBMW MチームWRTBMW MハイブリッドV8ケビン・マグヌッセン
ラファエル・マルチェッロ
MI
17HYPERCARジェネシス・
マグマ・レーシング
ジェネシス
GMR-001ハイブリッド
アンドレ・ロッテラー
ルイス・フェリペ・デラーニ
マティス・ジョベール
MI
19HYPERCARジェネシス・
マグマ・レーシング
ジェネシス
GMR-001ハイブリッド
マシュー・ジャミネ
ポール・ループ・シャタン
ダニエル・ジュンカデラ
MI
20HYPERCARBMW MチームWRTBMW MハイブリッドV8ロビン・フラインス
レネ・ラスト
MI
35HYPERCARアルピーヌ・
エンデュランス・チーム
アルピーヌA424アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ
シャルル・ミレッシ
フェルディナント・ハプスブルク
MI
36HYPERCARアルピーヌ・
エンデュランス・チーム
アルピーヌA424フレデリック・マコウィッキ
ジュール・グーノン
ビクトール・マルタンス
MI
38HYPERCARキャデラック・
ハーツ・チーム・JOTA
キャデラックVシリーズ.Rアール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
MI
50HYPERCARフェラーリAFコルセフェラーリ499Pアントニオ・フォコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン
MI
51HYPERCARフェラーリAFコルセフェラーリ499Pアレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ
MI
83HYPERCARAFコルセフェラーリ499Pイェ・イーフェイ
ロバート・クビサ
フィル・ハンソン
MI
93HYPERCARプジョー・トタルエナジーズプジョー9X8ポール・ディ・レスタ
ストフェル・バンドーン
ニック・キャシディ
MI
94HYPERCARプジョー・トタルエナジーズプジョー9X8ロイック・デュバル
マルテ・ヤコブセン
テオ・プルシェール
MI
10LMGT3ガレージ59マクラーレン
720S LMGT3エボ
アンタレス・オー
トーマス・フレミング
マービン・キルヒホーファー
GY
21LMGT3ビスタAFコルセフェラーリ296 LMGT3エボフランソワ・エリオ
サイモン・マン
アレッシオ・ロベラ
GY
23LMGT3ハート・オブ・
レーシング・チーム
アストンマーティン・
バンテージAMR LMGT3
グレイ・ニューウェル
コービー・パウエル
ジョニー・アダム
GY
27LMGT3ハート・オブ・
レーシング・チーム
アストンマーティン・
バンテージAMR LMGT3
イアン・ジェームス
ザカリー・ロビション
マティア・ドルディ
GY
32LMGT3チームWRTBMW M4 LMGT3ダレン・ラーン
ショーン・ゲラエル
アウグスト・ファーフス
GY
33LMGT3TFスポーツシボレー・
コルベットZ06 LMGT3.R
ブレイク・マクドナルド
ジョニー・エドガー
ニッキー・キャツバーグ
GY
34LMGT3レーシング・チーム・
ターキー・バイ・TF
シボレー・
コルベットZ06 LMGT3.R
ピーター・デンプシー
サリ・ヨルック
チャーリー・イーストウッド
GY
54LMGT3ビスタAFコルセフェラーリ296 LMGT3エボトーマス・フロー
フランチェスコ・カステラッチ
ダビデ・リゴン
GY
58LMGT3ガレージ59マクラーレン
720S LMGT3エボ
アレクサンダー・ウエスト
フィン・ゲルシッツ
ベンジャミン・ゲーテ
GY
61LMGT3アイアン・リンクスメルセデスAMG LMGT3マーティン・ベリー
ルイ・アンドラーデ
マキシム・マルタン
GY
69LMGT3チームWRTBMW M4 LMGT3アンソニー・マッキントッシュ
パーカー・トンプソン
ダニエル・ハーパー
GY
77LMGT3プロトン・コンペティションフォード・
マスタングLMGT3
エリック・パウエル
ベン・タック
セバスチャン・プリオール
GY
78LMGT3アコーディスASPチームレクサスRC F LMGT3トム・ファン・ロンパウ
アドリアン・デイビッド
エステバン・マッソン
GY
79LMGT3アイアン・リンクスメルセデスAMG LMGT3ヨハネス・ゼルガー
マッテオ・クレッソーニ
リン・ホデニウス
GY
87LMGT3アコーディスASPチームレクサスRC F LMGT3ペトル・ウンブラレスク
クレメンス・シュミット
ホセ-マリア・ロペス
GY
88LMGT3プロトン・コンペティションフォード・
マスタングLMGT3
ステファノ・ガットゥーゾ
ジャンマルコ・レボラート
ローガン・サージェント
GY
91LMGT3マンタイDKエンジニアリングポルシェ911 GT3 R LMGT3ジェームス・コッティンガム
ティムール・ボグスラフスキー
アヤハンカン・ギュベン
GY
92LMGT3ザ・ベンド・マンタイポルシェ911 GT3 R LMGT3ヤッサー・シャヒン
リカルド・ペーラ
リヒャルト・リエツ
GY

MI:ミシュラン
GY:グッドイヤー

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