■小林可夢偉(Kids com Team KCMG) 予選15番手 決勝15位

 セーフティカー導入による一斉ピットインにより、大きく遅れをとった可夢偉。当然ながら前を走るチームメイトの福住仁嶺の作業を待つ必要があったわけだが、「いろいろあって」大きく遅れることになったという。

「SCになった瞬間、もう祈るしかなかったですね。でも、だいぶ(福住の作業を)待ちましたよ。待って、『頼むぞ!』と思って行ったら、最後尾でしたね(苦笑)」と可夢偉。

「事件はひとつではないんですよ。まず仁嶺の作業でもロスしてたし、僕のときはちょっと……人が転がってたりして。あの数十秒の間に、事件はいっぱい起きていました」

 今季は第8戦SUGOでのスリックへの履き替えなど、たびたび“漢気”のある戦略も見せてきた可夢偉だが、今回の一斉ピットでステイアウトするという選択肢はなかったのだろうか?

「もう『どうする?』とかそういう相談ではなく、『ボックス!』と言われたので、もう戸惑いの余地はないんだな、と」

 日曜午前の第10戦は濃霧キャンセルとなった富士戦の代替レースとなるが、「明日は富士のレースですよね? なので、ローダウンフォースのセットアップがハマるかどうか。コーナー、めっちゃ遅いかもしれない(笑)」と、可夢偉らしい冗談で取材を締めていた。

小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
小林可夢偉(Kids com Team KCMG) 2025スーパーフォーミュラ第10戦・第11戦・第12戦鈴鹿

■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING) 予選4番手 決勝9位

 可夢偉と同様に、ダブルピットによって順位を下げてしまったのが、序盤に3番手を走行していた佐藤だった。2番手にはチームメイトのイゴール・オオムラ・フラガが位置しており、スペースを空けることもできないセーフティカー中のピットインでは、為す術がなかった。

「スタートはまずまずというところで、岩佐選手が少し出遅れたことで交錯があって順位は上がりましたけど……。後半を考えると、ペース的には非常に良くて、イゴール選手と野尻さんのところに入るポテンシャルはあったかなと思うので、悔しいですね。レースは多分、(自分が)一番速かったと思います」

「後半は少しトレインになっていたのでなかなか抜きづらかったですけど、そのなかでも抜いていくことができたので、クルマのポテンシャルは非常に高かったと思います」

 日曜の第10戦は6番手から、第12戦は3番手からのスタートが予定されている佐藤は、「スプリント(第10戦)はスタートをうまく決めて、チャンスがあったら抜きに行けるような展開作りをして。午後(第12戦)はタイトルとか関係ないので、掻き回して優勝目指して頑張りたいです」と、日曜に再び上位を走る決意を見せていた。

佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)
佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING) 2025スーパーフォーミュラ第10戦・第11戦・第12戦鈴鹿

■ザック・オサリバン(KONDO RACING) 予選14番手 決勝DNF

 9周目に入るホームストレートでオリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)に並びかけ、アウトから1コーナーでパスしようとしたオサリバンだったが、スピンオフしアウト側のバリアにリヤからクラッシュしてしまった。いったい何が起こっていたのだろうか。

「ターン1の外側から行こうとしていたんだ。それは通常なら可能な動きなんだけど、明らかに、少し速度が高すぎた。急速にグリップを失ってしまったんだ。正直言うと、僕はそれを予測していなかった。しっかりとしたスタートを決めて、プッシュできていたのに、ミスをしてしまって残念だよ」

 どうやら、OTSを使っていたこともあり、1コーナーへの進入速度が高くなっていたようだ。とはいえ、Q2進出ラインまでわずかのところだった予選でのパフォーマンスについてはある程度満足できている様子。

「正直に言って、(予選での)2周の走行には満足している。マシンの挙動にはかなり満足だ。ただ、ストレートで少しペースが落ちているように感じたので、改善が必要だね。何か改善できる点、あるいは自分自身でできることがないか、検討する必要がある」

「マシンのバランスにはかなり満足しているけど、まだ充分とは言えない」

ザック・オサリバン(KONDO RACING)
ザック・オサリバン(KONDO RACING) 2025スーパーフォーミュラ第10戦・第11戦・第12戦鈴鹿

■坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選9番手 決勝4位

 予選ではホンダエンジン勢が上位を独占。ランキング首位で最終ラウンドを迎えた坪井は「S字でミスをしてしまい、思うようなアタックができなかった」と9番グリッドに沈む結果となった。

 しかし決勝では持ち前のレース強さを見せてポジションアップ。4位でフィニッシュし、引き続きランキングをリードして日曜日の2レースを迎えることに。第11戦では、スタートでチームメイトのサッシャ・フェネストラズを抜いていたことでダブルピットにおける不利益を被らなかったこと、そして1周目でポールポジションスタートの岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が姿を消したことも、坪井にとってはリードを保てる要因となった。

 レースのリザルトについての感想を求められた坪井は「まぁ、ありがたい結果というか、願ってもいない結果だったと思います」と口にした。

「ただ、決してレースペースが速かったわけではないですし、課題は明日に向けて山積みなのですが、9番手スタートで4位フィニッシュは非常に良かったですし、ランキングを争っている2台の前でゴールできて非常に良かったです」

「今日はラッキーでしたけど、明日はこうはならないだろうし、レースペースを速くしないとお話にならないと思うので、太田(格之進)選手のようにバシバシ抜いていけるようなペースがあれば、明日のスプリントレース(第10戦)でもチャンスがあると思うので……エンジニアが頭を抱える一晩になりそうかなと思います」

 ちなみに、1周目でコースアウトした車両が岩佐の15号車だったことには、現場では気づかなかったという。

「普通に行ったら優勝されてるかなと思うので、この結果でなければ僕は(タイトル争いから)脱落かなと思っていました。ちゃんと生き残れたな、という感じです。予選が終わった時点で、正直終わったかなと感じていたので、首の皮一枚つながった感じです。最後に太田選手からポジションを守り切れたのも、もうひとつ大きかったですね」

 3位でフィニッシュした牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は第10戦のポールシッターだが、その牧野に終盤大きく引き離されなかったことも、坪井のなかでは一定の手応えにつながっているようだ。

「ぐんぐんと離されてしまうのではなく、2〜3秒くらいのギャップで常にいることができたので、明日に向けてもう少し改善できれば、チャンスもあるのかなと思っています」

「チャンスが明日まで残る以上は頑張りたいですし、一応2位とのポイント差は開いて明日を迎えられるので、そこはポジティブに捉えていきたいですね。もう(残る2レースのグリッド順では)追う立場なので、失うものもないですし、ガンガン行きたいなと思います」

坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S) 2025スーパーフォーミュラ第10戦・第11戦・第12戦鈴鹿

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