SUPER FORMULA 2025 Round 11
野尻が今季初勝利！ オオムラ・フラガと牧野も表彰台を獲得
冬の気配が漂い始めた11月21日（金）～23日（日）、全日本スーパーフォーミュラ選手権（SF）の最終大会『第24回JAF鈴鹿グランプリ』が鈴鹿サーキット（三重県）で開催されました。当初予定されていた第11戦と第12戦に、10月の富士スピードウェイ（静岡県）で悪天候によりキャンセルとなった第10戦決勝を加えた3レースを実施。21日（金）にフリー走行、22日（土）は午前に第11戦と第12戦の公式予選、午後に第11戦の決勝レース、23日（日）は午前に第10戦、午後に第12戦の各決勝レースと、変則的なタイムスケジュールとなりました。
今大会開始時点で、2025年のシリーズチャンピオンとなる権利を有するHonda勢は4選手。総合ランキング2位＃15 岩佐歩夢（TEAM MUGEN）、3位＃6 太田格之進（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）、4位＃5 牧野任祐（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）、5位＃16 野尻智紀（TEAM MUGEN）が、3レースで最大66ポイントを獲得すべく最終大会に臨みます。
（各決勝レース1位20ポイント、2位15ポイント、3位11ポイント、4位8ポイント、5位6ポイント、6位5ポイント、7位4ポイント、8位3ポイント、9位2ポイント、10位1ポイント、さらに予選1番手3ポイント、予選2番手2ポイント、予選3番手に1ポイントを付与）
21日（金）のフリー走行では、1回目で牧野がベストタイム、＃65 イゴール・オオムラ・フラガ（PONOS NAKAJIMA RACING）が3番手、太田が4番手、野尻が5番手のタイムを記録。2回目ではオオムラ・フラガを筆頭に、岩佐、＃64 佐藤蓮（PONOS NAKAJIMA RACING）がトップ3に、太田と牧野が5、6番手に続き、ホンダ／M-TECユーザーが上位に並びました。
■第11戦予選
22日（土）、2日間で3レース開催となるため、通常よりも早い8時から第11戦の公式予選が始まりました。Q1、Q2セッションを経て、総合ランキング2位の岩佐がポールポジションと3ポイントを獲得。2番手は総合ランキング5位の野尻（2ポイント獲得）、3番手はオオムラ・フラガ（1ポイント獲得）、4番手佐藤、そして5番手に岩佐と並び総合ランキング2位の太田と、ホンダ／M-TECユーザーが上位グリッドを独占する結果となりました。
■第11戦決勝
14時30分、第11戦の決勝レースのフォーメーションラップが始まりました。しかしトラブルを起こしたマシンがあり、スタートはディレイ。決勝レースの周回数は27周から1周減算の26周とされ、14時45分から改めてフォーメーションラップが始まりました。
スタートシグナルとともに2番グリッドの野尻が好発進する一方、ポールポジションの岩佐は加速が鈍く、野尻、岩佐の順で第1コーナーへ進入。さらに岩佐の背後からオオムラ・フラガが迫ると、S字から逆バンクへの進入で岩佐のイン側に並びかけます。この時、岩佐の右リアホイールとオオムラ・フラガの左フロントホイールが接触。岩佐は姿勢を崩してコースオフし、バリアにクラッシュしてレースを終えることとなりました。
このアクシデントにより、オープニングラップでセーフティカー（SC）が導入されます。この時点で、先頭は野尻、2番手以降にオオムラ・フラガ、佐藤、牧野が続いたものの、5番グリッドスタートの太田は出遅れ、12番手まで順位を落としていました。
6周目にレースが再開されると、オオムラ・フラガは先頭の野尻に攻め寄りますが、野尻はオーバーテイクシステム（OTS）を駆使してポジションを堅持。すると9周目に後方で車両クラッシュがあり再びSCが入ることに。規則により先頭車両が10周を走り終えた時点でタイヤ交換のピットストップが可能になるため、SC先導のまま全車両がピットに向かいます。
ピットストップでは、2番手を走行していたオオムラ・フラガのピット作業が先に行われたため、3番手でピットインした同チームの佐藤は作業が遅れ順位を下げてしまいます。一方、4番手を走行していた牧野は3番手でSCランに復帰し、レースは12周目から再開されました。その後2番手のオオムラ・フラガがファステストラップをマークしながらトップの野尻に迫りますが、野尻は巧妙に抑え込むとじりじりと間隔を広げ始めます。
その後方では牧野と＃1 坪井翔（トヨタ）による3番手争いが激化。さらに、ポイント圏外まで後退していた太田が猛然と6台をオーバーテイクし、数周のうちに総合ランキング首位の坪井の後方5番手まで浮上しました。太田は坪井にも猛然とアタックを仕かけたものの、OTSを使いきりそのままゴールとなりました。
一方、トップを守り続ける野尻はオオムラ・フラガとの間隔をコントロールしながら、そのまま26周を走りきって今シーズン初優勝を遂げました。オオムラ・フラガは自身最上位の2位入賞、牧野は坪井を抑えきり3位となり、ホンダ／M-TECユーザーが表彰台を独占しました。
この結果、ポイント争いは岩佐が痛恨のノーポイントで合計96ポイント、太田は6点を加算し96ポイント、3位入賞の牧野は92ポイント、そして優勝の野尻が87．5ポイントとなり、チャンピオンの座を懸けた争いはますますし烈を極めます。
Tomoki Nojiri
＃16 TEAM MUGEN
「ようやく優勝できました。鈴鹿ではいつも、セクター1でアドバンテージを得ていましたが、今週は走り始めてみたらその感覚がなく違和感を覚えました。ですので、いろいろとアジャストして決勝に臨みました」
「自分が岩佐選手の前に出てレースを引っ張っていきたいと心の中では考えていましたが、彼のチャンピオンシップを考えると邪魔はできません。立場的に悩ましいポジショニングで第1コーナーに入るかたちになりました。レース全体を評価すると、前戦（富士）くらいからロングランのペースに手応えがあり、その感触のまましっかり走れたと思います」
SUPER FORMULA 2025 Round 12
最終戦で岩佐がポール・トゥ・ウイン。逆転チャンピオンに輝く！
11月21日（金）～23日（日）、全日本スーパーフォーミュラ選手権（SF）の最終大会『第24回JAF鈴鹿グランプリ』が鈴鹿サーキット（三重県）で開催されました。当初予定されていた第11戦と第12戦に、10月の富士スピードウェイ（静岡県）で悪天候によりキャンセルとなった第10戦決勝を加えた3レースを実施。21日（金）にフリー走行、22日（土）は午前に第11戦と第12戦の公式予選、午後に第11戦の決勝レース、23日（日）は午前に第10戦、午後に第12戦の各決勝レースと、変則的なタイムスケジュールとなりました。
■第10戦決勝
23日（日）、朝から晴天となった鈴鹿サーキットで第10戦の決勝レースが行われました。スターティンググリッドは前戦富士大会での予選結果が適用され、19周でタイヤ交換の義務づけなしのスプリント形式で実施されました。
ポールポジションは＃5 牧野任祐（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）、2番手は＃65 イゴール・オオムラ・フラガ（PONOS NAKAJIMA RACING）、以下＃6 太田格之進（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）、＃15 岩佐歩夢（TEAM MUGEN）、＃16 野尻智紀（TEAM MUGEN）、＃64 佐藤蓮（PONOS NAKAJIMA RACING）と、上位6グリッドをホンダ／M-TECユーザーが独占するかたちでのスタートとなります。
最終戦となる今大会までし烈な争いが繰り広げられた総合ランキングは、前日の第11戦終了時点で、岩佐と太田が、首位＃1 坪井翔（トヨタ）と16.5ポイント差の2位、牧野が首位と20.5ポイント差の4位、さらに第11戦で優勝した野尻が25ポイント差で5位につけています。
（各レース1位20ポイント、2位15ポイント、3位11ポイント、4位8ポイント、5位6ポイント、6位5ポイント、7位4ポイント、8位3ポイント、9位2ポイント、10位1ポイント、さらに予選1番手～3番手に3ポイント～1ポイントを付与）
9時50分にレースがスタートすると、フロントローの牧野とオオムラ・フラガが並んで第1コーナーに進入、インを狙ったオオムラ・フラガの鼻先を牧野が抑え込みます。しかし直後にオオムラ・フラガは進路を変え、アウトから牧野に並びかかると、そのまま第2コーナーへ進入。S字コーナーまでに牧野の前へ抜け出すことに成功しました。
そこからオオムラ・フラガはオーバーテイクシステム（OTS）を用いて牧野を振りきりにかかり、オープニングラップで0秒889差をつけます。一方の牧野もOTSを使ってオオムラ・フラガに迫りコンマ2秒ほどギャップを縮めますが、オオムラ・フラガはまったくミスのないコーナリングで対応し、1秒強まで引き離すと2台の間隔は徐々に開いていきます。
スプリントレースが後半に入ると、3番手の太田と4番手の岩佐のデッドヒートが展開されます。総合ランキングを競い合う2人の争いは、太田が岩佐をなんとか抑え込む一方で先頭2台からは離されていくことに。
レース終盤、タイヤ消耗の気配が出始めた牧野に対し、オオムラ・フラガはペースを落とすことなく19周を走りきり、ルーキーシーズンに自身初となる優勝を飾りました。牧野は2位、太田が3位でチェッカーフラッグを受け、第11戦に続いてホンダ／M-TECユーザーが表彰台を独占しました。
第10戦を終え、年間タイトル争いは総合ランキング首位の坪井（116.5ポイント）に対し、牧野と太田が同点（107ポイント）で2位、そして岩佐が4位（104ポイント）と4人に絞られ、同日の午後、最終戦となる第12戦にて決することになりました。
Igor Omura Fraga
＃65 PONOS NAKAJIMA RACING
「勝ててうれしかったです。感謝だったりうれしさだったりいろんな感情が混ざり、マシンの中で大泣きしていました。最初からスタートが勝負になると思っていたので、行けそうなところから飛び込んでみたら意外とうまくいって牧野選手の前に出ることができました」
「そこからはタイヤが大きくタレることもなく、安定したペースでレース運びができました。序盤は、牧野選手が迫ってくる場面もありましたが、自信を持って走ることができました」
■第12戦予選
22日（土）、第11戦の予選に続いて行われた第12戦の予選は、7台のホンダ／M-TECユーザーがQ2セッションに進出。結果は岩佐が第11戦に続くポールポジションを奪取、野尻が2番手に入り、フロントローにTEAM MUGENの2台が並びます。そして3番手以降には、佐藤、太田、牧野、オオムラ・フラガが続き、上位6台をホンダ／M-TECユーザーが占めました。
一方、総合ランキング首位の坪井は7番グリッドで、牧野、太田、岩佐の逆転チャンスの可能性が大きくなりました。
■第12戦決勝
歴史ある「第24回JAF鈴鹿グランプリ」のタイトルが懸かった第12戦は、23日（日）14時30分からフォーメーションラップが始まりました。1度のタイヤ交換が義務づけられており、1周目を終えた時点からピットストップが可能、このフォーマットが大きなターニングポイントを生み出すことになりました。
ポールポジションの岩佐がスタートダッシュを決め、3番手スタートの佐藤も抜群の蹴り出しで野尻をかわすと、アウト側から岩佐に並びかかりながら第1コーナーへ進入。それでも岩佐はがっちりインを守りトップを譲りません。出遅れた野尻は5番手まで下げたため、1周目を終えた時点でピットインを選択。これによりオオムラ・フラガが5番手に繰り上がりました。
上位勢がほぼ等間隔で周回を重ね、ピットインのタイミングをうかがう展開です。最初に動いたのは太田で、6周を終えた段階でピットに入ります。これを見たトップの岩佐は次周にピットインし、佐藤が見かけ上のトップに立ちました。タイヤ交換を終えた岩佐は太田の前でコースに戻ることに成功します。
11周目、コース上のアクシデントでセーフティカー（SC）が導入されると、ピットインのタイミングを見計らっていたマシンが一斉にピットへ。全マシンがピットアウトすると、トップの岩佐に太田、佐藤、牧野、オオムラ・フラガが続きレース再開を待ちます。
SCが14周終わりに退出し、岩佐と太田がOTSを使ったデッドヒートを展開すると、その隙をついたのが3番手の佐藤でした。ストレートで太田のスリップストリームに入ると、17周目のS字でオーバーテイクして2番手に進出。勢いに乗った佐藤はトップの岩佐に迫りますが、岩佐は1秒弱の間隔を保ちポジションを死守しました。
SC明けのタイミングで牧野をかわして4番手に浮上したオオムラ・フラガは、OTSを駆使して逆襲を試みる牧野に対し、OTSを使い果たしながらも巧妙なライン取りで数周にわたってこれをブロックし、ポジションを守りきります。
トップの岩佐はOTSを温存し、佐藤と互いに駆け引きをしながら周回を重ね、最終的に0秒731差でゴールしました。今季2勝目を挙げた岩佐には20ポイントが加算されました。総合ランキングトップの坪井は8位で終わったため、岩佐が逆転しシリーズチャンピオンに輝きました。
2位に佐藤、終盤、マシンのバイブレーションに見舞われた太田が、迫りくるオオムラ・フラガを抑えきって3位に入りました。第11戦、第10戦に続いてホンダ／M-TECユーザーが表彰台に並び2025年シーズンを締めくくりました。
Ayumu Iwasa
＃15 TEAM MUGEN
「率直にうれしいです。なかなか苦しいレースで、後ろから佐藤選手に迫られるようなかたちでしたが、プッシュを続けてなんとかしのぎました。残り周回数は（無線で）情報が入っていましたが、まったく減っていかないように感じるほど長かったです。ここまでスピードはあるのに取りこぼしが多かったのですが、今日はすべてがうまくいったからこそチャンピオンを獲得できたのだと思います」
「ピットタイミングに関しては、状況をしっかりと見てもらってチームに任せましたが、結果的に太田選手の前に出られたので、とてもいい判断だったと思います。チャンピオンの経験をどう活かすかは自分次第ですので、さらなるチャンスに変えていきたいです」
