2025 SUPER GT Rond6,“SUGO GT 300km RACE”
大クラッシュで赤旗中断。波乱のレースで一時は24番手までドロップするも、脅威の追い上げでポイントゲット!
●9月21日(決勝)
スーパーGT第6戦『SUGO GT 300km RACE』は、「菅生には魔物が潜んでいる」と言われるように、例年にたがわず、荒れた展開となりました。
昨日苦しんだセットアップの修正を決勝前のウォームアップで確認したVELOREXの6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIでしたが、前夜の雨でコースコンディションが変化したうえに、タイヤマネージメントの関係もあって古いタイヤを装着して1分20秒007をマーク。しかしタイム的には13番手ということで、一抹の不安を抱きながら決勝レースを迎えることとなりました。
決勝レースのスタート予定時刻は13時30分でしたが、タイムスケジュールの遅れにより、13時40分スタートと発表されました。いつも通り交通機動隊に先導されたパレードラップの後、されに1周のフォーメーションラップが行なわれてスタートが切られました。天候は曇り、気温は24℃、路面温度32℃、湿度58%とレースとしては絶好のコンディションとなりました。
12番手からスタートした片山義章選手は1周目に1台をパス。しかし序盤の混戦のなか、4周目にふたたびパスしたマシンに抜き返され、1コーナーでの3台が並ぶ激しい攻防でタイヤカスを拾ってしまい、ペースが上がらず15番手へとドロップ。厳しい序盤戦を戦うこととなりました。
タイヤのピックアップがはがれた後はふたたびペースを取り戻し、上位グループに遜色ないラップタイムで周回を重ねていましたが、オーバーテイクが難しいサーキットということもあり、我慢のレースが続きました。そんななか、16周目に目前で3台が絡むアクシデントがあり、13番手に浮上したところでストップした車両を排除するためにフルコースイエロー(FCY)が出されました。
21周目にレースが再開され、前のマシンを追い続けた片山義章選手は、25周終了時には12番手、そして26周終了時点で11番手まで浮上したのですが、後方から6号車のオーバーテイクを試みたマシンが3コーナーでアウト側から接触し、片山義章選手はその衝撃でスピンを喫してしまい、なんとかクラッシュすることなくコース上に留まったのですが、エンジンがストールしてしまいました。なんとか再スタートし、そのままピットに戻ってドライバー交代と給油作業、タイヤ交換を済ませましたが、エンジン停止時の約30秒という大きなロスタイムによって24番手までドロップしてしまいました。
しかしそこからVELOREXの追走劇が始まります。ロベロト・メリ・ムンタン選手は失うものは何もないとばかりに連続アタック。前日の予選に肉薄するタイムで周回を重ね、次第にポジションをアップしていきます。
40周目に21番手まで浮上したところでふたたびFCYが出され、レースが再開された直後にGT300マシン2台とGT500の1台が最終コーナー出口で大クラッシュ。コース上に破片が飛び散り危険な状況となったため、レースは赤旗中断となりました。
16時、残り時間30分でレースが再開され、まるでスプリントレースの様相を呈した『SUGO GT 300km RACE』は、激しい攻防のなか、6号車が11番手までポジションを上げた段階でチェッカーが振られました。ラスト20分の手に汗握る攻防を終えてピットに戻ってきたロベルト・メリ・ムンタン選手は、すべてを出し切ったすっきりした表情で、片山義章選手、そしてチームスタッフ全員と固い握手を交わしました。
しかしレース後、オーバーテイクの際の接触に対して5秒のタイムペナルティが課され、正式結果では12位完走という結果となりました。
●片山義章選手のコメント
「悔しいレースでした。スタートで1台抜いて、いい感じで始まったのですが、序盤はタイヤが厳しくてふたたびポジションを落とし、さらに接戦でピックアップを拾ってしまったのか、ペースが上がらず苦しいレースになりました。でもタイヤが温まってからはトップと変わらないペースで走れていましたし、もっと上位にいけると思っていました」
「最終コーナーで後方のマシンが攻めてきたのはわかっていたので、第1コーナー、第2コーナーと抑えたのですが、第3コーナーで並ばれたあとでドンって当てられてスピンしてしまいました。そのあとエンジンが再始動しなくて、大きくタイムロスしてしまいました。それでもロベルト・メリ・ムンタン選手がすごく頑張ってリカバーしてくれたおかげでポイントを獲得することができました」
「自分たちが思っていたよりは少ないポイントで残念でしたが、最低限、スタートポジションより上位でゴールできたのは良かったです。次のオートポリスに向けて、できる限りの準備をし、残り2戦を勝ち続ける気持ちで頑張りたいと思っています」
●ロベルト・メリ・ムンタン選手のコメント
「今日はとても荒れたレースでした。大きなアクシデントがありましたが、ドライバーが全員無事で良かったです。自分もその直前を走っていたので、タイミング次第では巻き込まれてもおかしくない状況でした」
「レースは追い上げることに集中し、全力でプッシュし続け、入賞することができました。本当にチームが良いマシンを仕上げてくれたおかげです。赤旗中断後の30分レースは、自分でも満足できる走りができました」
「今回は予選での失敗がすべてでしたが、次のオートポリスは得意なサーキットのひとつなので優勝目指して頑張りたいと思います。応援ありがとうございました」
●小倉啓吾チーム監督のコメント
「スタートからゴールまで、本当に大変なレースでした。タイヤが厳しくて序盤のペースがなく、片山義章選手も苦戦はしていましたが、本来の性能が発揮できる状況になってからは、上位に比べても悪くないペースだったと思います」
「後方から当てられてスピンしてしまった時には、ピットでは状況が把握できておらず、無線で指示することができないまま再スタートにとまどってしまったのが痛かったですね。タイミング的にはピット作業の予定周回に近かったので、戦略的には大きな問題はなかったです」
「ロベルト・メリ・ムンタン選手も予想以上にハイペースで追い上げてくれて、最終的には予選結果より上位でゴールできたのは良かったと思います。チームとしては良いデータが収集できましたし、改善の余地がある部分も発見できました」
「今回のレースに関して言えば、満足できる結果ではなかったですが、最低限のリカバーができたレースだったと思います。次のオートポリスの前にはテストもありますし、万全の体制でラスト2戦に臨む所存です。応援ありがとうございました」
●古場博之エントラント代表のコメント
「朝の公式練習は残されたタイヤがない状況だったので、セットアップの評価ができないまま決勝を迎えることとなりました。レースは序盤にタイヤが気温や路面温度に対してマッチしておらず、ピックアップもあって片山義章選手は苦しい戦いを強いられたと思います。混戦のなかで当てられてスピンするまでは、上位を狙えるポジションにいたのですが、残念なアクシデントに遭遇してしまいました」
「それも予選でもっと上位にいたら避けられたアクシデントだとも思いますので、やはり予選での失敗が最後まで響いたレースでしたね。片山義章選手から交代したロベルト・メリ・ムンタン選手は、受け取ったマシンが接触等で完全なジオメトリーではなかったと思いますが、素晴らしい走りで自身の予選を越えるパフォーマンスを発揮してくれました」
「予選より上位の11位でフィニッシュしてくれたのは嬉しい結果ですが、決して満足できるリザルトではありません。まだオートポリスのことは正直なんとも言えませんが、前を向いてできる限りのことをしていくだけです。残り2戦、できる限りの努力を続け、最後まで諦めすに戦い、もう一度表彰台の中央に立ちたいと思っています」
