ファイナルラップの逆転劇でリアライズコーポレーション ADVAN Zが9年ぶりの勝利を挙げた!
2025年のスーパーGT第6戦がスポーツランドSUGOで開催された。ようやく秋らしい陽気となったこの1戦で、ヨコハマタイヤ勢が予選、決勝で躍動。雨上がりの戦いとなった公式予選ではCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン選手/小林利徠斗選手)が初めてのポールポジションを獲得し、決勝レースではリアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生選手/名取鉄平選手)が実に9年ぶりの勝利を挙げた。
8月末に行われた第5戦鈴鹿大会は、気温35度、路面温度も50度を超える猛暑の中での戦いだったが、1か月が過ぎた東北地方は、雨がらみの天気ということもあり週末を通して気温は25度を下回り、涼しいレースウイークとなった。雨が降るという予報だった公式予選は、その予報が外れドライコンディションでの戦いになり、GT300クラスでは10台のヨコハマユーザーがQ2に進出、熾烈なポールポジション争いを繰り広げた。
そのなかで、前戦で勝利を飾り、フルウエイトを搭載しているCARGUY FERRARI 296 GT3が見事にトップタイムをたたき出しポールポジションを獲得。Q2を担当した小林選手は「オサリバン選手がトップタイムでQ1を通過してくれて、嬉しいと同時にプレッシャーがかかりましたが、選んだタイヤがちゃんと作動してくれて、ミスなく走ることができました。悪くないタイムだろうとは思っていましたが、まさかポールポジションが獲れるとは思っていませんでした」と驚きまじりの喜びを語った。
GT500では、Q1を9番手で突破したリアライズコーポレーション ADVAN Zが、Q2での名取選手のアタックで5位にポジションアップ。決勝を見据えたタイヤ選択なだけに、翌日に向けて楽しみなスタート位置をゲットした。
暑さが戻ってくると予想されていた決勝日は、予選日の夜半から明け方にかけて雨が降った影響でひんやりとした空気の朝に。秋らしい涼しさの中、84周にわたる決勝レースがスタートした。
リアライズコーポレーション ADVAN Zは松田選手がスタートを担当し、前日の狙い通りに好ペースで追い上げていく。4周目には4番手、9周目には3番手と順調にポジションを上げていき、24周目の1コーナーではついにトップに浮上。26周目にはライバルの先行を許し2番手に後退するが、再浮上のチャンスをうかがいながら周回数を重ねていった。40周を終えるところで名取選手へと交代し、再び追い上げを開始。
ところが49周目に、コース上で複数台の車両が絡む多重クラッシュが発生し、レースは一時赤旗中断となる。幸い、ドライバーたちに大きなけがはなく、約1時間の中断ののちにレースは再開。最大延長時間も迫り、残り30分という短いスティントでの戦いとなった。
名取選手は3番手から前を目指し猛プッシュ。56周目にはGT300クラス車両が1コーナー付近でストップしてしまったことからフルコースイエロー(FCY)となり、解除のタイミングで2番手のマシンに急接近すると、1コーナーで見事な大外刈りを見せてオーバーテイクした。残り13分となり、名取選手はトップの車両を追いかける。
レース終盤になってもペースは衰えることなく、2秒というトップとの差をみるみる削っていった。テール・トゥ・ノーズの戦いは4周にわたり、名取選手は1コーナーや馬の背コーナーなどで何度も勝負を仕掛けていくが、レース巧者のライバルもしっかりとラインを防いで応戦。
残り時間が48秒となったところでコントロールラインを通過し、これがファイナルラップとなる。1コーナーでアウトから並びかけるも届かず、争っている間に3番手も迫り、三つ巴の戦いでバックストレッチから馬の背コーナーと入っていった。
ここでイン側を守りに行ったトップ車両に対し、名取選手はアウト側から横に並びかけ、サイド・バイ・サイドでSPコーナーに飛び込んでいく。馬の背からは切り返しとなるSPコーナーではイン側ポジションになる名取選手が相手の前に完全に出て、これでリアライズコーポレーション ADVAN Zはついにトップ浮上。そのまま最終コーナーを駆け上がると、チームとしては9年ぶりとなるトップチェッカーを受けた。
GT300クラスはポールポジションスタートのCARGUY FERRARI 296 GT3に2連勝の期待がかかったが、決勝レースではペースに苦しみ徐々に後退。代わっ「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手/平手晃平選手)がポジションアップしてくる。
レース再開後の30分は2番手を走行していたオリベイラ選手が猛追したが、わずかに時間が足りずにトップには届かず。それでも開幕戦以来の2位表彰台獲得でチームランキングは3位浮上。オリベイラ選手は2戦を欠場しているが、チームメイトの平手選手がドライバーズランキング2位に浮上した。そして今シーズンGT300初エントリーのseven x seven PORSCHE GT3R(ハリー・キング選手/近藤翼選手)が3位となり嬉しい初表彰台を獲得した。
またグッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝選手/片岡龍也選手)は惜しくも表彰台は逃したものの4位入賞。シーズンを通しコンスタントにポイントを獲得し、今大会終了後にランキングトップに躍り出た。
松田次生選手(リアライズコーポレーション ADVAN Z)
【今回の成績 : GT500クラス 優勝】
「開幕戦で予選3位になりタイヤの方向性が見えたものの、なかなか思うようにいかないこともあり、前戦鈴鹿大会では自分のミスで申し訳ないこともしたのですが、そこでも方向性はさらに定まってきていたので、今日のレースに向けては自信を持っていました。新しくなった舗装に関しても『こういうことなんじゃないか』と予想していたものが、ばっちりとはまりました。チームにとって久々の優勝ですし、僕自身目指していた25勝目を挙げることができて本当にうれしいです」
名取鉄平選手(リアライズコーポレーション ADVAN Z)
【今回の成績 : GT500クラス 優勝】
「GT300デビューはKONDO RACINGでその年に優勝、GT500のステップアップもKONDO RACINGで、こんなに早く優勝を飾ることができ、何か運命のようなものを感じます。ここまでライバル勢が好成績を続けていて、悔しい思いをずっとしてきましたが、自分たちも負けていないんだというところを見せられてうれしいです」
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)
【今回の成績 : GT300クラス 2位】
「私たちにとって、途中でレースが中断してしまったことはあまり良いものではありませんでした。終盤、トップをとらえるにはレース時間が短すぎました。この週末、タイヤの消耗やピックアップに苦しんでいるチームが多いように感じましたが、自分たちは問題なく、ヨコハマタイヤがいいタイヤを用意してくれたと思っています。チームに最高の結果をもたらせるよう、残り2戦も集中していきます」
平手晃平選手(リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)
【今回の成績 : GT300クラス 2位】
「前半にマージンを築いてオリベイラ選手に渡せたのですが、終盤は前を追いかける時間が短くなってしまい、嬉しい2位というより悔しい2位です。想定していたよりは路気温が上がらなかったものの、今回選んだタイヤはその温度域もカバーできるものだったのであまり心配はしていませんでした」
「もちろんスイートスポットに入っていたわけではないので本来のパフォーマンスではなかったのかもしれませんが、その中でしっかりと耐えてくれて、あの展開にできたのはとても良かったです。オートポリスでは楽しみなタイヤを投入できるかもしれないので、それを武器に予選から前に行きたいです」
中崎敬介(横浜ゴム(株)タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1 グループ・リーダー)
「(24号車のタイヤについて)新しく改修されたSUGOの路面については、まだ蓄積は少ないですがその感覚やデータは持っていたので、少し硬めの耐摩耗性なども考慮した仕様で挑みました。相反するウォームアップ性能やグリップ力について、暑い今年の9月の東北の気温を読み切ることや新路面のクリップ力の変化を考慮する必要がありましたが、チームさんとメリット・デメリットについていろいろな意見交換を重ねた結果の判断は、良い結果に繋がったと思っています」
「次戦オートポリス大会は、今回の東北の気温よりもっと下がってくると思いますので、全体的に低温寄りにシフトした仕様を持ち込むことになると思いますが、引き続きチームさんと意見交換しながらベストな戦いができるよう頑張ります」
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