2025 AUTOBACS SUPER GT Round6
SUGO GT 300km RACE
会期:2025年09月20日(土)21日(日)
場所:スポーツランドSUGO(宮城県)
観客:予選:9700人/決勝:1万7200人
獲得ポイント:〈ドライバー〉13Pts/〈チーム〉16Pts
シリーズ順位:〈ドライバー〉谷口・片岡 3位(60.5Pts), 中山・奥本21位(16Pts)/〈 チーム〉1位(93.5Pts)
9月20日、21日の2日間、スーパーGT第6戦SUGOが宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。その1週間前、GOODSMILE RACING & TeamUKYOは三重県の鈴鹿サーキットで6年ぶりに開催された鈴鹿1000kmレースに参加していた為、チームは2週連続のレースとなった。
鈴鹿1000kmには今シーズンのスーパーGT参戦車両そのものを使用して参加したが、そのレース中にマシンは各所にダメージを負ったため、メカニックチームは僅かな準備期間で懸命に修復作業を行い、また鈴鹿1000kmレース専用デザインにラッピングされたマシンのデザインをスーパーGT仕様に戻す作業もやり遂げていた。
今大会のグッドスマイル 初音ミク AMGに課せられるBoP(Balance of Performance/性能調整)は前戦と変わらず、エンジン出力を制限するエアリストリクターはφ34.5mmで、BoP重量は50kgを積む。
レース戦績に応じて追加されるサクセスウエイトは100kgを上限に獲得ポイント×2kgが積載されるルールだが、今シーズンは50kg以上のウエイトには、そのウエイトを積載した状況と同等とされるタイムロスを発生させる目的で、給油装置にサクセスウエイトに応じて細くなるリストリクターが装着される。4号車は前戦に続き100kg相当と最大重量のサクセスウエイトが課せられる為、50kgの物理ウエイト積載と、最も細い給油リストリクター装着が義務付けられた。
特にこの給油リストリクター装着によるピットロスは10秒以上にもなると想定される為、1周約3.5kmとシリーズ中の最短距離サーキットであるSUGOでは、ライバル車両との位置関係によってはミス無くピット作業をしても周回遅れにされてしまうリスクがある。そのためチームは、同様の給油リストリクターを装着して戦うシリーズランキングトップグループのライバル達よりも前でチェッカーを受けることを目標に設定してレースに臨んだ。
なお、スーパーGTのレギュレーションにより、サクセスウエイトは7戦目に獲得ポイント×1kgに減らされ、8戦目にはノーウエイトとなる。シーズン6戦目となる今大会は例年シリーズ中最大のウエイトを積載して争うレースとなっている。
9月20日(土)【公式練習、公式予選】
公式予選 天候:曇り
コース:ドライ
気温/路面温度
GT300 Q1開始時:21℃/25℃
GT300 Q2開始時:21℃/25℃
終了時21℃/26℃。
午前9時15分、公式練習が始まった。前日夜から降っていた雨は止んでいたが、路面はウエットコンディションだった。天気予報ではこのあとしばらく雨が降らないことがわかっていたので、チームはセッション開始後も路面がある程度乾くまでピットで待機することを決めていた。しかしコースオープン後、同様にピット待機を選ぶチームも少なくなく、コースにマシンを出してもアウトインでピットに戻して待機を選択するチームが多く、路面はなかなか乾かずにいた。
午前9時50分、ようやくコース上の水しぶきがなくなり、ライン上が乾きだした。4号車グッドスマイル 初音ミク AMGも、スリックタイヤを装着して谷口選手が搭乗して走りだした。路面温度が低いこともあり、走りだしは思うようにグリップせず谷口選手はマシンの制御に苦労していたが、路面の改善に伴いラップタイムがまとまりはじめ、9周目には1分22秒544でその時点の3番手まであがった。谷口選手はその後11周まで走りピットへと戻った。
続いて片岡選手が乗り込み同じタイヤのまま周回を重ねた。片岡選手は16周目に1分19秒450を記録してその時点の4番手、翌周は1分19秒秒140とさらにタイムを縮めていった。しかしここで20号車がマシントラブルでピットロード入口付近にマシンを止めた事で回収の為の赤旗が出された。片岡選手はピットに戻って燃料を満タンにし、赤旗解除後はロングランのチェックを進めた。
午前10時40分からは15分間のFCYテストとなったが、午前10時52分ごろ2コーナーで60号車がコースオフ、グラベルにはまり動けなくなったことで再び赤旗が掲示された。このタイミングでドライバー交代をし、谷口選手がGT300専有走行を走行した。しかし、今度は最終コーナーで777号車が止まり3度目の赤旗中断となった。車両の回収が済み、残り6分でセッションが再開されると、そのままチェッカーまで走り切った。
ベストタイムは17周目に片岡選手が記録した1分19秒140となり14番手で公式練習を終えた。トップは52号車で1分18秒023。2番手に2号車、3番手に666号車が続いた。
14時5分、気温21度、路面温度25度の環境でGT300予選Q1がスタートした。GT300クラスの予選はチームランキングを基に14台ずつ2グループに分かれて実施され、チームランキング2位の4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは14時23分からのBグループに組み分けられた。
Q1のアタックドライバー谷口選手は、セッション開始と共にコースへと向かった。慎重にウォームアップを行い4周目に最初のアタック、まずは1分18秒041で3番手に立つ。その後ライバル達のタイムアップによりポジションをジリジリ落とすが、続く周でも全セクターで自己ベストを更新して1分17秒974までタイムを伸ばし3番手を回復、そのままチェッカーを受けて無事にQ2進出を決めた。
14時58分、GT300クラスQ2がスタートする。気温/路面温度はQ1スタート時点と変わらず21度/25度。4号車のQ2アタックドライバー片岡選手は、路面状況の良くなるセッション終盤にタイミングを合わせるため、ピットで1分待機した後にコースに向かった。
アウトラップののち計測2周のウォームアップを経てアタックを開始すると、いきなり1分17秒732を記録して4番手となった。その後ライバル達はタイムアップできず、セッションはそのまま終了した。4号車は翌日のレースに向けて4番手、セカンドローのスターティンググリッドを確保した。なお、ポールポジションは前戦優勝の7号車が1分16秒968で獲得した。
9月21日(日)【決勝】
天候:曇り/晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度
スタート前(13:30)23℃/32℃
序盤(14:00)23℃/33℃
中盤(14:30)23℃/33℃
赤旗時点(15:00)>再開(15:55)22℃/31℃
ゴール(16:30)22℃/30℃。
決勝日の朝、スポーツランドSUGOの上空には雨雲と思われる黒い雲も見られるものの、日差しがサーキットを覆い、前日より気温、路面温度ともに上がりそうな気配だった。しかし午前10時15分から行われたピットウォーク中に雲が急激に増え、雨粒が落ちる。幸いすぐに雲は薄くなり路面を濡らすには至らずに止んだ。
午後0時、決勝前のウォームアップ走行が始まった。スタートドライバーの片岡選手は決勝向けセットの最終確認とレースで使用するタイヤの皮むきなどを行う予定だったが、ここで想定外のトラブルに見舞われる。タイヤを交換した際に作業ミスがあり、右リアタイヤが適切に装着されていなかった為にピットロードの出口寸前でタイヤが外れてしまったのだ。これにより4号車は自走不能になりセッションは赤旗中断、原因を作った4号車には罰金のペナルティが課せられた。幸いすぐに車両を回収する事ができ、マシンへのダメージも軽微だった為、セッション残り数分間は走行することができた。
午後1時30分、宮城県警先導のパレードラップと、セーフティーカー先導のフォーメーションラップを経て決勝レースが始まった。4番グリッドからスタートした片岡選手はポジションをキープしつつ、前を走る0号車の後ろに着きオーバーテイクのタイミングを伺う。8周目、ストレートで0号車のサイドに並ぶと1コーナーで抜き去り3番手に上がる。その勢いのまま3.5秒先の7号車をターゲットにぐいぐいとギャップを詰めていき、10周目の1コーナーでオーバーテイクして2番手となった。
この時点でトップを走る60号車と5.6秒のギャップがあったが、16周目には2.2秒差まで詰める。いよいよバトルが始まるかと思われたところで2号車が他車と接触して停止、FCYが掲示され一時停戦となった。 2号車が回収され18周目にレースは再開する。片岡選手はすぐに60号車へ追いつき、23周目には0.2秒差とテール・トゥ・ノーズのバトルになった。 このバトルでペースが落ちた事もあり、7番グリッドからポジションを上げてきていた56号車に追いつかれ、そのまま三つ巴のトップ争いに発展した。
29周目、トップを走っていた60号車がピットへ向かった。この直前に6号車がコース上に止まった映像が流れた為、60号車はSC直前の抜群のタイミングでピットへと飛び込んだかと思われたが、6号車はすぐに動き出した為FCYやSCが導入されることはなかった。片岡選手は前方がクリアになったことで再びペースを上げ、自己ベストタイムを更新しながら後ろの56号車とのギャップを築いていった。
34周目、56号車がピットへ向かい4号車は一時トップ単独走行となるが、片岡選手も36周を走ったところでピットイン、谷口選手へと交代する。谷口選手は給油とタイヤ4輪交換を行いピットアウト。最も細い給油リストリクターの影響で想定通り給油時間が長引き、ピット作業を終えたマシンの中では5番手と大きくポジションを落としての戦列復帰となった。
41周目、26号車がマシントラブルでピットロード出口付近に停まった為にFCY掲示。その直前にピットに飛び込んだ18号車はFCYの恩恵を受けてポジションをアップ、4号車の目の前でコースへと戻った。44周目にFCYが解除されレースが再開すると、谷口選手はまだタイヤのウォームアップが済んでいない18号車を45周目の1コーナーでオーバーテイクする。
46周目、ホームストレートで複数台が絡む大きなクラッシュが発生する。GT500の64号車とGT300の20号車、777号車が大破してホームストレートにパーツを散らばせながら停止したため、SCが導入された。ガードレールにも破損があり、車両回収とコース修復の為に間もなく赤旗となった。4号車はこのクラッシュ集団のすぐ後ろを走っていたため、谷口選手は飛ばされてきた20号車をかわし切れずグラベル上で接触してしまった。 あわや4号車もリタイヤかとピットに緊張が走るが、幸いこの接触によるダメージはフロントバンパーが凹んだぐらいで済み、深刻なダメージは無い状態だった。
この時4号車の前を走っていた31号車もクラッシュに巻き込まれていたが、こちらのダメージは深刻だった様子で、SC中のピットロードクローズ中にも関わらず緊急ピットインしてポジションを下げた。一方、このクラッシュの混乱をうまく交わす事ができた18号車と666号車には先行されてしまった。なお、クラッシュしたマシンをドライブしていたドライバー達に大きな怪我はなく、皆自力でマシンを降りていた。赤旗中断は1時間に及んだ。
午後4時、赤旗が解除された。 SC先導で隊列が動き出すと52周目からレースが再開する。再開したそのラップで谷口選手は18号車を抜き、4番手にポジションを戻した。53周目、45号車が停止したためFCYが出され、さらに54周目には61号車がタイヤトラブルでスロー走行していた。止まっていた45号車はオフィシャルの救出により動き出し、56周目にFCYが解除された。
4号車は前の666号車と後ろの11号車とのバトルになったが、ペースの良い666号車とのギャップは詰められず、後ろから迫る11号車からポジションを守る戦いになっていった。 その11号車には一時0.3秒差まで迫られたが、その後谷口選手はペースを上げ、再びギャップを広げていった。
午後4時30分、1時間に及ぶ中断の影響で予定周回数を前にレースの最大延長時間を迎えた。4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは66周で4位のチェッカーを受けた。
このレースでは、シリーズ争いをしていたライバルたちの多くがが下位でレースを終えた事により、4号車はドライバーランキングでトップの65号車と8.5ポイント差の3位にポジションを上げ、チームランキングでは2位の65号車を7.5ポイント上回ってトップに立った。
安藝貴範代表
「いろいろありましたが4位フィニッシュでした。ターゲットにしていたチームたちよりは概ね前にいけました。56号車に前に行かれたのはちょっと残念でしたけど、ギリギリの合格点じゃないかなと思ってます。悔やまれるのはピットのタイミングが1周遅かった。もう1周早く入れれば、渋滞にハマらずに5、6秒、おそらく7秒くらい損せずに済んで、777号車の前に恐らく出れてた。そうするとクラッシュにも巻き込まれずに、56号車と60号車と最後の数ラップ一緒に戦えたかもなと思うので、ちょっと残念でした」
「最後のペースも悪くなかったんですけど、気温が落ちたことでタイヤがちょっと元気がなくなったのかなと思います。最後の666号車のハリー・キング、むちゃくちゃ速かったですね。あれを谷口に追い上げてほしかったんですけど叶わずでした。できれば、60号車の駿くん(河野駿選手)と一緒に表彰台に乗りたかったのですが、また次回一緒に同じ表彰台乗って一緒に喜びたいと思います」
片山右京監督
「4位でポイントをたくさん取れたのはチャンピオンシップを争う上で良かったです。ただ欲を言うと、ペースが良かっただけに給油リストリクターのロスは仕方がないとしても、ピットに入る前のトラフィックで7秒ぐらいロスしたのが残念でした。あれがなかったら60号車、56号車に絡んでトップ争いができたかなあと思うとちょっと悔しい気持ちはあります。何しろ、しっかりとポイント取れたんで良かったと思います」
谷口信輝選手
「いつもどおり後半を担当しました。前半の片岡が素晴らしいレース運びをしてくれて、トップに立ったところでバトンが来たので、僕もちょっとこう気合入れてピットロードで立ってたんですけども、ドライバー交代終わってコースインしたら56号車とかに前に行かれてて、あれ、もう行かれちゃってるけどっていうところからの走り出しでした」
「先にピットに入った向こうのタイヤがピークを過ぎたらギャップが詰まらないかなと期待して走っていました。けれど、そのあとレースが荒れてFCYや赤旗が出て、僕の思う展開にはならなかったですね。で、僕もビッグクラッシュに若干巻き込まれてぶつかったんですが、幸いレースを続けられたのが本当に良かったと思います。片岡が良い位置で走っただけに本当は表彰台、できれば1番とか淡い期待もあったんですが、ランキング上位陣と差がだいぶ詰まったということで、まだ良かったかなと思います」
片岡龍也選手
「フルウエイトの中で4位、ライバル勢に対しても上位でゴールできたという結果は非常に良かったと思います。しかしクルマが非常に調子良かっただけに、やはりあの給油リストリクターの辛さであったり、あの大きなアクシデントに巻き込まれかけたりしたのは残念です」
「今回いろいろ大変な部分もありましたが、力で乗り越えられたいいレースだったと思います。これで残りのレースにも弾みを付けられると思いますので、残り2戦もみんなで力合わせて頑張っていきます」



