2025 AUTOBACS SUPER GT Round6
開催地：スポーツランドSUGO（宮城県）／3.586km
9月20日（予選）天候：雨／曇り　コースコンディション：ウエット／ドライ　観客数：9700人
9月21日（決勝）天候：晴れ　コースコンディション：ドライ　観客数：1万7200人

荒れた決勝を“ベテランの技”で堅実に走り切り、今季初入賞を果たす

　スポーツランドSUGOのコースレイアウトは、ドライバーにとって攻めがいがあるコーナーが連なるが、コース幅は狭いため抜きづらく、チャレンジングなサーキット。全長が短いことからGT500とGT300のマシンが交錯する頻度も高く、セーフティカーとピットのタイミングによってバックマーカーの発生率も高くなる。また、山間部に位置することから天候の変化も起きやすく、不確定要素が多い。これらの要素が複雑に絡み合い、これまでも多くのドラマが生まれてきた。

　さらに、今年はコースアスファルトを全面改修（再舗装）。＃30 apr GR86 GTは今年からタイヤをミシュランタイヤにスイッチしており、そのマッチングも含めて未知数だ。それでも今季初入賞を目指し、永井宏明と織戸学が挑む。

公式練習／22位　9月20日（土）9:15〜11:23

　公式練習開始時の気温は18℃、路面温度は21℃。朝からの雨は公式練習直前に止んだが、路面はウエットというコンディションだった。まずは織戸がステアリングを握り、持ち込みのセットアップを確認。ミシュランのウエットタイヤとしては水量が少なく適したコンディションではなかったが、フィーリングは悪くない。4周目に1分25秒872を記録し、翌周にピットへ入った。

　ダンプコンディションのなか、今度は永井がコースへ。10周目には1分25秒840にタイムを更新し、この時点での16番手タイムでピットに戻る。コースがドライアップしていくなかで、チームはスリックタイヤが履けるコンディションまでピットで待つことにした。

　レコードラインが乾くと、ウエットタイヤでのフィーリングが良かったことからドライタイヤへのアジャスト程度で織戸をコースに送り出す。本来、ウエットからドライタイヤに履き替えてもフィーリングは大きく変わらないものだが、今季常に悩まされてきたアンダーステアの症状が出てしまう。セッティングを調整して永井に代わっても、アンダーステアを消すことはできなかった。30号車のベストタイムは織戸が17周目にマークした1分19秒862に留まり、22位で公式練習を終えた。

公式予選　9月20日（土）Q1 A／14番手 14:05〜14:15 総合順位27番手

　予選開始時のコンディションは気温20度、路面温度26度のドライ。30号車は予選Q1でA組に出走。チームは予選に向けてさらにセッティングをアジャストし、織戸をコースに送り出した。織戸はアウトラップからウォームアップを3周入れて、計測4周目からアタックを開始。まずは1分19秒490で8番手につける。

　織戸は翌周もアタックを続けて1分19秒452にタイムアップするが、ライバルの伸び代のほうが大きく13番手にドロップ。最終的にはA組14番手となり、Q2に進むことはできなかった。予選での総合順位は27番手。決勝は後方からの追い上げを目指す。

永井宏明選手

「公式練習で僕が走ったタイミングはだいぶ水がはけてしまって、フロントがムービングするような感じでコンパウンドがちょっと合っていませんでしたが、ウエットタイヤでのフィーリングは非常に良かったです。ただ、ドライタイヤに換えた後はフロントの反応が悪くて、アンダーステアがきつかった。予選に向けてもアジャストして織戸選手に行ってもらいましたが、あまり良い方向の変更ではなかったのかなという印象です。前後バランスを改善しないと勝負にならないですね」

織戸学選手

「ミシュランのウエットタイヤはやっぱり良いですね。でも、ダンプコンディションよりもある程度水量が多いときのほうが適していると思います。ドライタイヤに換えてからは、フィーリングはそんなに悪くないんだけどタイムに結びつかない。予選に向けてのアジャストは、ちょっと違う方向にいっちゃったのかグリップが足りませんでした。でも、今回もチームはいろいろとトライしてくれて、流れは決して悪くない。明日の決勝にはまた違う方向のトライをして、追い上げたいと思います」

金曽裕人監督

「ウエットタイヤとのマッチングは良くて、でもドライタイヤの課題はまだ改善できていません。ドライタイヤはちょっとクセがあって合わせ込むのが非常に難しい。ウエットタイヤは素直なのに、ドライタイヤは少し尖っている感じですね。チームもドライバーもミスなく、最善を尽くしてくれました。タイヤとクルマのマッチングも徐々に取れてフィーリングは良くなっている。でも、タイムは上がらないから悩ましい。決勝に向けてもチャレンジを続けます」

決勝レース（67周）／13位　9月21日（日）13:45〜16:30

　決勝のコンディションは晴れ、気温は24度で路面温度は32度。1台にグリッド降格ペナルティがあり、30号車は26番手からのスタートになった。第1スティント担当は織戸だ。オープニングラップでは早々に2台が緊急ピットに入ったこともあるが、織戸は22番手にポジションを上げる。コース上でのバトルは続き、抜きつ抜かれつを繰り返していると、16周目にGT300車両同士の接触がありFCY（フルコースイエロー）導入。この時点で18番手までポジションを上げた。レース再開後も接近戦を繰り広げ、ピットのタイミングもあって8番手を走行する33周目にピットへ入る。

　永井がコースに戻り、ライバルのピットが落ち着くと19番手を走行。その40周目、ピットロードエンドでストップした車両があり2度目のFCY導入。永井はFCYが解除されると1台を抜いて18番手に上がる。そして後続との差を広げつつあるなか、最終コーナー立ち上がりからホームストレートにかけてGT500車両1台を含む4台が絡んだマルチクラッシュが発生。すぐにセーフティカー（SC）が導入され、46周目には赤旗が掲示された。

　コース上に飛散したパーツ、車両の回収、破損したガードレールの修復に1時間超を費やし、16時00分にSC先導でレース再開。このときのポジションは17番手。本来は84周のレースだったが、最大延長時間が16時30分までのため、残り約22分の時間レースに切り替わる。再開後は未ピットのマシン、さらに緊急ピットを強いられるマシンもあり、30号車は13位でフィニッシュ。織戸も永井もバトルを繰り広げながら堅実に走り切ったことで、今季初入賞を果たした。

永井宏明選手

「やっとポイントを獲ることができました。今週末はドライでのバランスに苦しんでいましたが、公式練習で少し改善の方向が見えて、予選では少し後退してしまいましたが、決勝に向けてもう一段調整を加えてもらって、そのおかげでレースペースは良くなりました。まだアンダーステアの症状は消えていませんが、少しは戦えるレベルに進めたかなと思います」

織戸学選手

「やっとレースができた感じですね。バトルで抜いて、ライバルのタイヤが思っていたよりドロップが早かったのもあり、順位を上げることができて楽しめたレースでした。でも、まだタイヤに対してクルマを合わせていく必要がある。どんどん良くなっているのは実感しているので、もっと上のポジションを目指していきたいですね」

金曽裕人監督

「30号車にとってレース展開がうまく進んだのもありますが、第1スティントでは織戸選手がベテランの成せる技で順位を上げてくれて、第2スティントの永井選手もかなり良いペースでしっかりと走ってくれてポイントを獲ることができました。チームもノーミス、全員がグッジョブです！　ただ、タイヤへのマシンセッティングの合わせ込みはまだ途上で完璧ではない。そのなかで最後まで走り切って、新たなデータを持ち帰れたことは大きい。この流れを残り2戦につなげます！」