S-GT2025 rd6 SUGO Final
LM corsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa LC500 GT

2番手からスタートし序盤で吉本選手がトップに立つと
後半の河野選手もポジションを守り、4年ぶりの優勝を果たす

<気象データ>
気温:24℃、路面温度:32℃(決勝レース前)

AUTOBACS SUPER GTの第6戦『SUGO GT 300km RACE』の決勝レースが9月21日(日)にスポーツランドSUGOで開催された。9月に入っても全国的に35℃を超える酷暑が続いてきたが、レースウィークの今週はいくぶんか気温が下がり、決勝レース日には1万7200人のGTファンがサーキットを埋めた。

 前戦の鈴鹿サーキットラウンドでは予選で3番手を獲得して、決勝レースでも速さを見せると1台をパスして2位でチェッカー。しかし、レース後の車検で規定した車両重量に足りず、残念ながら失格となった。雪辱を果たす戦いとなった第6戦のスポーツランドSUGOもLC500 GTの特性には合っていて、チームもドライバーも鈴鹿サーキットでのパフォーマンスが実力だったことを証明するためにも好走を誓った。

 20日(土)に行なわれた公式練習は、ウエットコンディションでの走り出しとなり不安な部分も見せたが、路面が乾いていくとLC500 GTのパフォーマンスが上がりGT300クラスの28台中4番手のタイムをマーク。午後の予選ではセットアップを煮詰めていき、予選Q1を河野駿佑選手がトップで通過すると、予選Q2を担当した吉本大樹選手はタイムを伸ばして2位となり、決勝レースはフロントロウからのスタートとなった。

 決勝レース日の21日(日)は午前中から晴れ間が見えたが、昼前になると一時的に雨が降り路面を濡らした。通り雨だったためコースはすぐに乾き、12時から20分間にわたって行なわれたウォームアップはドライコンディションでの走行となる。決勝レース前の最終チェックとなる、この走行枠でもLC500 GTは順調に周回を重ねて、吉本選手と河野選手のふたりで13周を走行。1分19秒139のベストタイムで2番手をマークして、300kmの決勝レースを迎えた。

 フロントロウの2番手にLC500 GTを並べたLM corsaは、吉本選手をスタートドライバーに指名。予定より10分遅れた13時40分に決勝レースはスタートした。28台が2台の隊列となりコントロールラインを通過すると、3番手の0号車Lamborghini GT3に1、2コーナーで並ばれてしまう。しかし、吉本選手は続く3コーナーと4コーナーで前に出るとポジションをキープ。2周目には3番手との差を1秒以上に拡げると、今後は先行する7号車のFERRARI 296 GT3を追った。

 5周を越えるとトップとのギャップが一気に縮まり、7周目の1コーナーでインから抜き去った。トップに立った吉本選手は翌周には3.2秒、9周目には5.6秒まで差を拡げる。しかし、2番手に4号車のAMGが上がってくると徐々にリードが削られていった。15周目にはLC500 GTとAMGの差が2.2秒になりFCY(フルコースイエロー)を挟んだ20周目には0.8秒まで縮まった。20周目を越えると3番手の56号車GT-Rも並び掛け三つ巴のトップ争いとなる。ペースは劣っていたものの吉本選手は要所を押さえてトップを死守。そして、チームは28周目にピットインの指示を出した。

LM corsa 2025スーパーGT第6戦SUGO 決勝レポート
Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑) 2025スーパーGT第6戦SUGO

 抜群のチームワークで4本のタイヤ交換と給油、ドライバー交換を行なうと、後半のスティントを河野選手に託した。15番手でコースに復帰すると残り50周ほどのスティントとなるため、タイヤを労りながらもポジションを守っていく。30周目を越えると義務付けられているドライバー交替のために、続々とマシンがピットイン。すると、33周目には11番手、35周目には8番手、40周目には3番手までポジションを戻していった。
 
 先行する2台はまだピットストップを行なっていないマシンで、LC500 GTは実質トップを走行。レースが折り返しとなる40周を越えると、スポーツランドSUGOらいしい荒れた展開となる。42周目にはGT300のマシンがストップしたためにFCYとなり、2周ほどは80km/hのリミッターが作動した状態での周回となった。44周目にリスタートすると翌周のストレートでGT300クラスの3台とGT500クラスのマシンを巻き込んだ多重クラッシュが発生。ガードレールが大きく損傷するほどの衝撃で、レースは赤旗が提示されて中断となった。

 ガードレールの修復作業に30分以上を要したが、レースは再開することがアナウンスされ、48周目からリスタートが切られた。セーフティカーが隊列を先導するなかで、河野選手がステアリングを握るLC500 GTは2番手を走行していて、トップはピットストップを行なっていない61号車のSUBARU BRZ。実質的にトップは維持したままだった。

 それでも、レース中断前は3番手の56号車と10秒ほどのギャップがあったが、アクシデントによってその差がなくなってしまう。また、決勝レースは300km(GT500クラスで84周)の予定だったが、16時30分の最大延長時間でのチェッカーとなった。残りは10周ほどのスプリントレースとなり、優勝争いはLC500 GTと56号車の2台に絞られた。
 
 56周目には2台のギャップが1.0秒まで縮まるが、翌周には河野選手も渾身のアタックで1分18秒945のファステストラップをマーク。ギャップを1.4秒差まで拡大させることに成功したが、少しでもミスをすればポジションが変わってしまう状況にあった。56号車を駆るのはGT500とGT300で数多くの勝利を挙げてきたJPオリベイラ選手で、終盤まで激しくプレッシャーを掛けていく。それでも、河野選手はペースを落さずテールトゥノーズの状況までにはさせない。最後まで白熱のバトルは続いたが、67周目にLC500 GTはトップでチェッカーを受け2021年以来の優勝を果たした。

 前戦では失格という悔しい結果となり全員が落胆したが、今回の優勝でそのパフォーマンスが実力だということが証明され、雪辱を果たすことができた。

LM corsa 2025スーパーGT第6戦SUGO 決勝レポート
表彰台のてっぺんに立った吉本大樹と河野駿佑(Syntium LMcorsa LC500 GT) 2025スーパーGT第6戦SUGO

<吉本大樹選手>

「前戦の鈴鹿サーキットと同様にスポーツランドSUGOもLC500 GTとの相性が良いと思っていて、短い期間のなかで新しいモデルを開発してくれたダンロップタイヤのお陰もあり優勝することができました」

「決勝レースはスタートを担当し、序盤のペースは素晴らしくトップを走る7号車を抜くことができました。ただ15周あたりから後続のペースが良く、押さえこむのに必死でした。それでもポジションを守り切ることができ、河野選手にバトンを繋ぎました」

「同じタイヤを後半のスティントでも履くため心配でしたが、気温が下がったことや周回数が短くなったことも後押しとなりました。それにしても、最後の30分は手に汗握る展開でよく押さえきってくれました。前回の鈴鹿サーキットの速さが実力だということを示せたことも、良かったです。

<河野駿佑選手>

「4年ぶりに優勝することができ率直に嬉しいです。2021年の優勝以降は苦しいシーズンが続き、LC500 GTにスイッチした今季も前半戦は苦労してきました。ただ、前戦からピースがうまく噛み合い、失格にはなりましたが速さは見せることができました」

「決勝レースは後半のスティントを担当し、吉本選手の状況から終盤が苦しくなるのは分かっていました。それでもピットから出て数周が勝負だと思い、後続とのギャップを築こうとしました。レース中断によってタイム差がなくなってしまい、再開後はつねに全開で周回しました」

「トラフィックに引っかかるとタイムロスが大きいので、なるべくうまく抜くことを心掛け、56号車にチャンスを与えないようにしました。前戦のあとはチームの全員が苦しい心境で過ごしてきたので、この優勝の喜びを共有できることが嬉しいです」

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