■太田格之進「レース終盤はグリップ不足に悩まされた」
クラフト・バンブー・レーシングの77号車メルセデスAMG GT3 Evoは、グリッド28番手からスタートし、マキシム・マルタン、ルカ・シュトルツ、太田格之進の3人が計23台を追い抜いて5位でフィニッシュした。
しかし、この『東京無線タクシー』カラーを纏った同車は、序盤の好ペースが終盤にかけて失速したように見えた。太田によると、これは振動の悪化が原因であり、その影響でレース唯一のセーフティカー導入の機会を活かせなかったという。
太田はSportscar365に対し、次のように語った。
「最初のスティントはかなり順調で、コース上で最も速いクルマの一台として前車に追いついていましたが、ある時点からどこからか発生する振動に苦しめられるようになりました。それがペースダウンの原因です。チームはドライブシャフトを点検し、フロントスプリッターにテープを貼るなどの処置をしましたが、問題を解決することはできませんでした。レース終盤には、ルカも僕もグリップ不足に悩まされていました」
太田はさらに、たとえ28番手スタートでなかったとしても、ポルシェに勝てたかどうかは疑問だと付け加えている。
「ポルシェは非常に強力だったので、たとえ前方からスタートできたとしても、彼らを打ち負かすのは難しかったと思います。それでも、特定の局面では良いペースを発揮できましたし、チームに対して改めて自分の実力を示せたのではないでしょうか」
■最終2戦不在も、タイトル近づくエンゲル
DTMドイツ・ツーリングカー選手権との日程重複により鈴鹿戦を欠場したものの、メルセデスのマロ・エンゲルはインディアナポリスでの最終戦を前に、IGTCドライバーズランキングで首位を維持している。
彼は2位のストルツに7ポイント、3位のマルタンに8ポイントの差をつけている。最終戦でもDTMとの日程重複によりエンゲルに加えリカルド・フェラーとバスティアン・ブースの欠場が決まっているため、タイトル獲得の可能性が数学的に残されているのはハインリッヒのみとなる。彼は首位と22ポイント差にいるが、最終戦では最大25ポイントを獲得可能だ。
メルセデスAMGのカスタマーレーシング責任者であるステファン・ウェンドルは次のように語った。
「残念ながら、鈴鹿1000kmではすべてを完璧にこなすことはできなかった。表彰台に上がるためには、それが必要だったのだ。後方からのスタートだったが、戦略とペースのおかげで5位まで順位を上げることができた」
「週末を通して懸命に働いてくれたチームに感謝したい。今はシーズン最終戦のインディアナポリスに全力を注ぎ、チャンピオンシップのタイトルをアファルターバッハ(メルセデスAMGの本拠地)に持ち帰ることを目標にしている」
昨年の鈴鹿戦では優勝を飾ったものの、今年はプロクラスの車両をエントリーさせなかったBMWは、IGTCマニュファクチャラーズタイトル争いから脱落した。
同ブランドの最上位は、アンソニー・マッキントッシュ、パーカー・トンプソン、ダン・ハーパーが駆るチームWRTのM4 GT3 EVO(ブロンズカップ優勝車)で、総合7位だった。ハーパーは、残り時間30分強という終盤、ターン6でツナミRTのポルシェと接触したとして、ドライブスルーペナルティを科せられた。
■「世界と戦うハードルは高い」と一瀬エンジニア
K-tunes Racingから唯一エントリーされたレクサスRC F GT3は、トラブルなく完走し、総合9位でレースを終えた。一瀬俊浩チーフエンジニアはSportscar365に対し、次のように語っている。
「古い車両であることを踏まえれば、一桁順位でのフィニッシュは最大限の結果だったと感じています。とはいえ、トップとは3周の差があり、上位のブロンズクラス車両にも遅れをとったため、悔しさも残ります。世界のトップ車両と戦うためのハードルはかなり高いと感じています」
■ストレートスピードが武器となったGT-R
一方、プロクラスに参戦したもう1台の日本車、TEAM 5ZIGENのニッサンGT-RニスモGT3は、序盤にサスペンション関連のトラブルで遅れをとったものの、その後挽回し、トップから5周遅れの総合19位で完走しました。
同チームからGTワールドチャレンジ・アジアに参戦している三宅淳司は、Sportscar365に対し次のように語った。
「ポルシェ勢のペースはあまりに速かったですが、それ以外のトップ集団の車両と戦えるだけのペースはありました。僕らの車は(フォード・)マスタングと特性が似ていてストレートスピードがあるので、戦略がうまくいっていれば、他の車を後ろに抑え込むだけのペースはあったはずです。トップグループで戦えなかったのは残念ですね」
■メカニックが徹夜
プロアマクラスでは、LMコルサの60号車フェラーリ296 GT3エボ(中西慧/脇阪薫一/ジャンカルロ・フィジケラ)が優勝を飾った。
レース後、フィジケラはピットレーンレポーターのハナ・バートンに対し、「この結果を本当に嬉しく思う」と語った。
「日本は大好きだし、ここには多くのファンがいる。このサーキットも気に入っている。昨年は勝てる可能性があったが、小さなトラブルに見舞われてしまった。しかし今年はすべてが完璧だった。シゲとケイのおかげで、ドライブスルーペナルティを1回受けた以外はミスもなく、マシンもピットストップも完璧だった」
アマクラスに1台のみエントリーしたランナップ・スポーツの360号車ニッサンは、土曜朝のプレ予選でチームオーナーの田中篤が130Rでクラッシュした後、土曜の深夜に新しいシャシーがサーキットに到着し、レース直前になってようやく完全な組み上げが完了するという状況だった。
レースへの合流は遅れたものの、360号車はトップから50周遅れの総合28位で完走となった。
レース後、ピットレーンでバートンのインタビューに応えた田中は、新しいシャシーを「神様からの贈り物」だと冗談交じりに語った。また、チームメイトの田中哲也は「今回はいろいろなことがあって、メカニックたちが徹夜でマシンの準備をしてくれて、レースを完走できた。ある意味、これまでのどの結果よりも、今回の結果は嬉しいですね」と語っている。
主催者の発表によると、2日間の合計観客数は2万人で、そのうち1万1500人が日曜日のレースを観戦した。これは昨年の鈴鹿1000kmと比較して4000人の減少となる。
2027年の鈴鹿1000kmは、スーパーGTのGT300クラスのポイント対象レースとなり、グリッド数も大幅に拡大する見込みだ。開催日程は2027年9月3日〜5日に決定しており、IGTCのシーズン最終戦として開催される。
なお、2026年のIGTC最終戦はインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われる『インディアナポリス8時間レース』(10月10日)となる。同レースはGTワールドチャレンジ・アメリカの最終戦も兼ねている。








